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第29話 2章 終章

29話 帰郷ききょう


 イグニス国王に帰国した報告をするために、城に足を運んだ。

 師匠ししょうとタクマにいのおかげで、異世界である現代日本の話をすることなく、俺は任務放棄にんむほうき処罰しょばつを受けることなく無事に済んだ。

 トラス王も俺の経験を理解して、温かく迎えてくれた。

 心の中で安堵あんどの息を吐き、師匠ししょうとタクマにいは、まだ話があるようだったので、2人と別れて俺は次の目的地へと向かうことにした。


★★★★


 その足でトラビス国に向かい、亡き母に報告をすることにした。

 しかし、『母のはかはない』と師匠ししょうに言われた。

 それなら、山の中で大声で伝えることにした。

 山の頂に辿り着くと、周囲には小さな花がパラパラと咲いていて、静けさに包まれていた。


「エリー母さーん。母さんの息子ー、バートだぁー」


「会いに来られないままでゴメンねえぇー。報告したいことがあって会いに来たんだぁー」


「俺に、新しい家族が出来たんだよ! 別の世界で頑張がんばっていたんだ! その家族が危機におちいった時、俺は家族と友達を救い出した!」


「焼きイモ屋ゲンちゃんでも働いていたんだ! 守りたい、大切にしたい人が居るんだあぁぁーー」


 言葉がひびいて、風に乗って消えていく。

 母に伝えられた温もりが、心にみこ込んでいく。

 少しでも母に届いていると信じながら、焼きイモ屋ゲンちゃんのイモを山にそなえて、俺は山を後にした。


★★★★


 翌日、タクマにいの荷物を運ぶため、ウエルス国へ向かった。

 今日からタクマにいはイグニス国のアサシンから、ウエルス国のアサシンとして所属が変わるようだ。

 俺は、バン王とエミリア王妃に越権えっけん任務にんむびを入れるために、緊張しながらも心を決めて城に足を踏み入れた。

 王と王妃は、『君が姫の弟なのだな!』と温かく迎えてくれたが、やはり少しの緊張感きんちょうかんただよっていた。

 俺は2人にタクマにいとの関係や今の状況を説明して、誤解を解く努力をした。

 その後、タクマにいと記憶にないが双子の姉、フェリス姫と対面することになった。

 フェリス姫のことは知っていたが、姉を見た瞬間、思わず美空と呼び掛けてしまったが、彼女は美空ではなかった。


「あなたがバート? タクマの弟弟子おとうとでしで、私の弟なのですね」


 フェリス姫はおどろいた表情を浮かべながらも、優しく微笑んでいる。


「そ、そうだよ。フェリス姫……いや、フェリス姉さん。フェリス姉さんのことはあまり知らないんだ。別れたのが、まだ話すことが出来ない頃だったから」


「知らなくて当然よ。私もあなたのことは王と王妃から聞いていたけれど、こうして会うのは初めてね」


「色々あったけど、仲間達と一緒に生きてきたんだ。姉さん、姉さんのことをタクマにいが助けてくれたんだよね?」


「そう、タクマは私を守ってくれていたの! 彼はいつも強くて優しいアサシンよ。バート、あなたも彼のように強いアサシンなのよね?」


 俺は本当に強いアサシンなのだろうか? 美空の笑顔を守ることさえも出来なかったのに……。

 ……いや、ここに戻った以上、俺は強いアサシンにならなければならないんだ。


「タクマにいみたいに強くはないが、タクマにいのように大切な人を守れるアサシンになるよ」


「タクマが目標なら、きっとバートは強いアサシンになれるわよ」


「ありがとう、フェリス姉さん。俺も、姉さんのことをもっと知りたいんだ。分からないからこそ、姉さんに失礼なことをしたくないから」


「私もよ。これから一緒に過ごす時間があれば、たくさんのことを話せると思う」


 会話の中で、少しずつお互いの距離がちぢまっていくのを感じた。

 姉とのきずなが新たに芽生えて、心が温かくなる。


★★★★


 タクマにいに呼ばれたので、タクマにいのところにいくと、少し間を置いて、真剣な眼差まなざしで俺を見つめた。


「バート、お前が何を考えているのか、少し気になるな」


 もう俺には、やるべきことが決まっていた。


「タクマにい、ジュビルをるぞ! 俺は、ルノーン界とみんなを守るために戻ったんだ!」


 その言葉が口をついて出た瞬間、タクマにいおどろいた表情を浮かべた。


〈何故? バートはジュビルの名前を知っている……〉


 だが、すぐに真剣な眼差まざなしに変わった。


「バート、現代の日本と言うところで大人になったな! それは服部はっとり流派りゅうは兄弟子あにでしとしても賛成だ」


「力を合わせて、必ずみんなを守り、ジュビルを服部はっとり流派りゅうはの力で始末してやろう」


 ルノーン界の人達との強いきずなあらためて俺は感じた。

 仲間と共に新たな未来を切り拓いていく準備が整った。

 これからの道のりは険しいかもしれないが、俺達は決して1人ではない。

 共に戦い、守り、成長していくんだ。



GAME(現実世界)

疾風しっぷう 激烈げきれつ アサシンズ マスターズ2

ウエルス国 侵略しんりゃく戦争編せんそうへん


疾風しっぷう 激烈げきれつ アサシンズ マスターズ2(バートルート)勅令 クリア。


疾風しっぷう 激烈げきれつ アサシンズ マスターズ2(バートルート終章)帰郷 クリア。


バートルート クリア。


疾風しっぷう 激烈げきれつ アサシンズ マスターズ2(タクマルート)ルノーン界、始まる決戦 クリア。


疾風しっぷう 激烈げきれつ アサシンズ マスターズ2(タクマルート)奥義おうぎ発動と解毒げどくの希望 クリア。


疾風しっぷう 激烈げきれつ アサシンズ マスターズ2(タクマルート終章)運命の再会 クリア。


タクマルート クリア。


疾風しっぷう 激烈げきれつ アサシンズ マスターズ2

ウエルス国 侵略しんりゃく戦争編せんそうへん! クリア



GAME(現実世界)

⇒ 疾風しっぷう 激烈げきれつ アサシンズ マスターズ3

最終決戦!

妖術ようじゅつ薬師やくしジュビルの逆襲ぎゃくしゅう



REAL(現代日本)

疾風しっぷう 激烈げきれつ アサシンズ マスターズ外伝!

バート 服部 JAPAN編


現代日本での人生をスタート。


山島やましま 刃痕バアトになる クリア。


イベントでウエルス兵のコスプレイヤーと会う クリア。


ミソラの救出と強盗犯の捕縛 クリア。


この世界での新たな目標を目指す。


新商品の開発 クリア。


仲良く花火大会 クリア。


美空と涼の救出 クリア。


美空への告白 クリア。


山島家との別れ クリア。


コ、コンテニュー?



★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★

キャラクター紹介2


ロギー 服部

服部はっとり流派りゅうは創設者そうせつしゃであり、イグニス国のアサシンである。

ゲーム、疾風しっぷう 激烈げきれつ アサシンズ マスターズの主人公である。

身長178センチ 体重 60キロ 白髪交じりの黒髪の長髪を、頭の後ろで三つ網を作り、首に巻いている。目は黒い。

疾風しっぷう 激烈げきれつ アサシンズ マスターズの時代にはタクマが開発したような解毒薬げどくやくはなく、やむを得ずだが1つの国を滅ぼしたアサシン連合部隊のまとめ役であった。

バートとタクマの師匠ししょうであり、50才の男性。

オールラウンダーのアサシンで、呪力印じゅりょくいんは彼しか持たない九つの頭を持つ龍である。

使う呪文によって師匠ししょう呪力印じゅりょくいんは変化するらしい。

師匠ししょうの呪文は、全てきわみが付く。



タクマ 服部

疾風しっぷう 激烈げきれつ アサシンズ マスターズ2もう1人の主人公であり、バートの兄弟子あにでしである。

タクマは、かつてルノーン界にもう1つあった国、パーム国の生き残りであり、ロギー師匠ししょうに救われた20才の男性である。

身長188センチ 体重 72キロ 炎の呪文の使い手らしい赤髪で、髪型はサイドバックのウェーブで垂らした前髪は口のあたりまであり、瞳は青い。

師匠ししょう服部はっとり流派りゅうはの技術を学び、服部はっとり流派りゅうはのアサシンを名乗ることを許された者である。

13才の時にウエルス国へ隠密おんみつ勅令ちょくれいを受けた。

タクマは、ウエルス国の兵士に救われる行動をして、ウエルス国へ潜入して、恩返しの名目でウエルス国のアサシンとして志願して、任務にんむのためにウエルス国のアサシンとなった。

服部はっとり流派りゅうはの能力を封印して、潜入せんにゅう調査ちょうさおこない、情報をイグニス国や他国にも提供していた。

ウエルス国で薬学を学び、色々な薬の開発をしていた。

タクマの呪力印じゅりょくいんは炎の1つだが、その呪力印じゅりょくいんは背中の一面にある巨大ないんである。

この章では、ジュビルを始末するために服部はっとり流派りゅうはの奥義を解放ときはなち、本来の能力を使って戦いました。

「密かに特訓は続けていたんだ!」



ウエルス国 バン王とエミリア王妃

かつては、バン王もエミリア王妃もウエルス国のアサシンであった。

前王が亡くなったことで前王妃の推薦でウエルス国を納める王と王妃になった。

だが、妖術ようじゅつ薬師やくしのジュビルを相談役そうだんやくに任命したことで、ウエルス国は変わってしまった。

ロギー師匠ししょうの行動とタクマの解毒薬げどくやくに救われて、ウエルス国の侵略しんりゃく戦争せんそうは回避された。

2人はロギー師匠ししょうとライバル関係であり、パーム国をほろぼした時のアサシン連合部隊の仲間であり、親友であった。



フェリス姫

バン王とエミリア王妃の娘として育てられた、バートの双子の姉である。

バートが間違えたように、異世界である現代日本の美空とうり二つなほどに似ている。

タクマがフェリス姫の護衛を任されていて、タクマの隠れ家にかくまわれていたこともあり、薬の影響は受けてはいない。

彼女の呪力印じゅりょくいんは……。



イグニス国 トラス王

服部はっとり流派りゅうはのアサシン3人がつかえる王である。

グニス国は、火薬の技術に優れた国で、各国に開拓や採掘のために貢献こうけんする、ルノーン界の環境かんきょう開発かいはつを請け負う国である。

タクマの情報で、侵略しんりゃく戦争せんそうを止めるために一番初めに動いた王である。

バートとロギーへ、バン王とエミリア王妃と妖術ようじゅつ薬師やくし3名の暗殺の勅令ちょくれいを出した王である。



ジュビル

かつて、ルノーン界に存在していたパーム国の影の王であり、魔法師まほうし教団きょうだん教祖きょうそ、ジュラルの息子である。

ジュラルの息子だったこともあり、高い妖術ようじゅつの知識を持ち、自分が開発した洗脳薬せんのうやくを使い、ウエルス国で影の王、支配者となっていた。

イグニス国、ウエルス国、トラビス国、タガーイ国へ、国をほろぼされたことの復習のために、新たな洗脳薬せんのうやくを使って侵略しんりゃく戦争せんそうを起こす計画をしていた。

だが、タクマに気付かれて、流された情報により、トラス王の逆鱗げきりんに触れて、服部はっとり流派りゅうは2人に暗殺の勅令ちょくれいが出されたのだが、服部はっとり流派りゅうは3人名により、侵略しんりゃく戦争せんそうは回避されました。

だがジュビルは、まだ復習は終わっていないことを告げて姿を消しました。


★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★

文字数の関係で入りませんでしたので、ここに後書きを書かせて頂きます。


 異世界からの転移者、バート服部(山島やましま刃痕バアト)の物語、2章が終わりました。

 焼きイモ屋としての腕を磨きながら、山島家の人達と猫の先輩、トラ先輩とのきずなを深めていたバート。

 お客様との心温まる出来事や、山島家との楽しい日常、焼きイモを使った商品の開発や魅力。

 さらには花火大会やコスプレイベントでの楽しさや緊迫感といった日常の小さな出来事が続いていくのであろうと思っていました。

 ですが、現代世界に来てから1番バートが怖れていたことが、現実になってしまいました。

 ジュビルがルノーン界に最終決戦を仕掛けるという緊迫した状況が、疾風しっぷう 激烈げきれつ アサシンズ マスターズ2完全攻略本に書かれています。

 バートは山島家との別れを経験して、ルノーン界に強制的に戻されてしまい、ある決意を心に秘め! 新たなミッションに挑む覚悟をします。

 ゲームのキャラクター、バート服部としての心の葛藤と、人間としての山島やましま刃痕バアトの心の葛藤を通じて、彼の成長は続いています。

 これからの物語では、さらなる試練や出会いが待っているのでしょうか? 次回から30話、3章へ続きます。

 こちらも宜しくお願い致します。

 ここまで読んで頂きまして、本当に有り難う御座いました。

 15話から29話までが2章 サブタイトル 帰郷ききょうでした。


 3章 サブタイトル 奇跡は起きるのではない! 俺が起こすんだ。


★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★



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