3章 前書き。
『異世界転移者のアサシンは、現代世界で、売れ残りでも最高にうまい焼きイモを食う。』の3章へ入りました。
この物語は、異世界から現代の東京に転移したバート服部が、焼きイモ屋として新しい人生を歩みながら、
バートは現代日本、彼にとっては異世界での経験を通じて、友情、家族や仲間との
この章では、強制的にルノーン界に戻されたバートが、強敵ジュビルの軍団と戦う姿が書かれます。
バートの冒険はついにクライマックスを迎え、彼の選択が未来を大きく変えることになります。
果たして、仲間達と共に平和な世界を取り戻せるのでしょうか? それとも・・・・。
彼の物語の集大成を、ぜひ読んで頂けましたのなら幸いです。
さあ、バートのクライマックスがどのようになるのか? ご一緒に行かれませんか?
3章 本篇
30話 激しい修行、越えなければならない壁
ルノーン界に戻った俺は、
毎日、朝早くから夜遅くまで続くその訓練は、体力的にも精神的にも俺を追い詰めていく。
「バート、もっと力強く! その動きじゃジュビルには勝てないぞ!」
ピリッとした
「はい、
全力で応えようとするものの、俺の体は思うように動かない……。
そのそばで、タクマ
「力を抜いてリズムを意識するんだ! バート。お前の体に合った動きがあるはずだ」
タクマ
「ハァ、ハァ……ハァ、ハァ……」
何度も繰り返す特訓の中、激しく息が上がるだけで、出来ない自分がもどかしく
★★★★
特訓の合間に少しでも体力の回復をさせるため、山の中で1人静かに座り込み、周囲の景色を見渡していた。
美しい自然が広がっているが、俺の心には重い雲がかかっている。
「お前、何を考えているんだ?」
その時タクマ
「俺は……強くなりたい。みんなを守りたいのに、どうしても出来ない自分がいる」
地面を見つめて、俺は言葉を絞り出した。
「それは誰でもそうだろ! 大切なのは諦めないことだ。お前には出来る力がある」
「でも、俺は……」
言葉を続けようとしたが、何も出てこなかった。
「自分の弱さを認めるのはなかなか難しいよな! でもな、お前の力は必ず開花する。
そう言って、タクマ
その言葉に勇気をもらい、大きく深呼吸をしてから俺は、再び特訓に戻ることにした。
心の中で決意を新たにして、もう一度挑戦することにした。
★★★★
「よぉーし、やってやるぞ!」
自分に言い聞かせるように声を出して、
その中で、少しずつ体が反応するようになってきた。
「そうだ、その調子だ! もっと力を抜いて自然に動け!」
体が疲れ果てても、体が反応するようになってきたことが、心の中に新たな希望を芽生えさせていた。
……その時だった。
「バート、
力強い
「いけ! バート!」
タクマ
限界を越えながら、
「諦めてたまるかぁー! やってやる! いくぜぇー! 俺の命をくれてやる。出ろおぉー、
呪文を唱えた瞬間、3つの力強い風を巻き上げる
「おー! 出来たじゃないかバート」
あっ、あれ!?
「う、うん。で、でき・・・・」
〈ドスッ・・・・〉
俺は完全に意識を失ってしまったようだ。
★★★★
目を覚ますと、俺は寝床に寝かされていたようだ。
どのぐらいの時間、意識を失っていたのだろう? 居間の方からは、いい匂いがしている。
「
「意識を戻したかバート。今日の修行は終わりだ! 飯にしよう」
いい匂いは
「おいバート、1人しか分身は出なかったが、2頭の
喜びながらの声で、タクマ
(雷? 水の
自室から居間にいき、俺はテーブルの椅子に腰を下ろした。
食事中に俺達は今日の特訓の話をしていたが、話が途切れた時に
「バート、お前が畑で育てている現代日本のイモと言う物を私達にも食べさせてくれ。お前はそれを販売していたのだろ?」
タクマ
「はい。
★★★★
(ちゃんと焼きイモ用の小石は集めていたんだぜ! ナイスだぞ俺!)
甘い香ばしい匂いが気になるのか? タクマ
焼き上がったので、頭を下げて、
「
2人は初めて食べる焼きイモに、
「ほぉー、これは甘くてうまいぞ。バート」
「これはデザートか? フェリス姫に持ち帰ってもいいか? あっ、王と王妃にも」
美味しそうに食べている2人の笑顔を見ていると、少しずつ自分の心も温かい気持ちになっていた。
(
「ああ、いいぜタクマ
親指を立てて、俺は笑顔で答えた。
「バート、今日のお前は
焼きイモを食べながら、タクマ
「うん、まだまだだけど、少しずつ出来るようになってきた」
その時、どんなに
「明日も
「うん、明日も頼みます。タクマ
心の中で決意して、
そして、さらなる特訓に