33話 姉の力、雷の
カインとの戦いを経て、仲間達と共にウエルス城に戻ってきた。
俺の心には、フェリス姉さんとの再会に対する期待が高まっている。
姉さんが雷の
広場に戻ると、フェリス姉さんが待っていた。
姉さんはウエルス国の姫として、
その優しく微笑み掛けている姿が一瞬、美空と重なって見えてしまった。
「タクマからバートが来ると聞いていたから、待っていたんだよ」
姉さんは俺に気付くと、明るい声で呼び掛けられた。
「ゴメン姉さん! ウエルス国の戦士部隊の隊長さんに
「隊長と戦って勝ったよ!」
俺は普通に報告をしたつもりだったのだが、姉さんには
手を口に
「それは素晴らしいことね、バート。あなたの成長を頼もしく思うわよ」
姉さんは、俺の頬に優しく手を
「姉さん俺、もっと強くなりたい。母さんの力を受け
姉さんは頷き、俺の口に優しく指を当てた。
「私の雷の
(やはり姉さんが、雷の
「本当にいいの?」
期待に鼻息が荒くなるほど、俺の胸は
「
姉さんに『場所を変えましょう』と言われて、俺は姉さんの部屋に連れていかれた。
★★★★
美空の部屋へ入る時もドキドキするが、姉さんとは言えウエルス国のお姫様の部屋に入るのは、違うドキドキがしていた。
(ビックリした。姉さんの部屋の香りは、美空の部屋の香りと同じような香りがしていた)
姉さんが俺に手を差し出して、服を脱ぐのを手伝ってくれている。
俺は真剣な表情を向けて、姉さんと目を合わせた。
「姉さん、背中を見せてもいいかな?」
「いいわよバート。お願い」
姉さんは優しく微笑んでいた。
目を閉じて心を落ち着かせて、姉の力を感じようと気持ちを集中させている。
姉さんは、初めて聞くような呪文を唱えるているようだった。
呪文を唱え終えると、俺の背中にある風の
その瞬間、初めて感じる激しい痛みが俺の全身を
全身から変な汗が出るぐらいの激痛に耐えていると、今までなかった雷の
鮮やかな雷の光が俺を包み込み、力強いエネルギーが流れ込んでくる。
「これで私達、双子の力が一つになったわね」
姉さんは
「す、
俺は
俺の中に流れる雷の力は、まるで新たな命が宿ったかのようだった。
「この力を大切にして、仲間達を守るために使うのよ!」
姉さんは微笑んで、優しく告げた。
「任せてよ、姉さん。絶対に守ってみせるから! 雷の
力強く笑顔で答えると、周囲に風が吹いて俺の体を優しく包み込む。
その感覚を楽しみながら、自分の中に宿った雷と風の
(これから、もっと強くなってみせる。仲間を守り、ルノーン界のみんなを守ってみせるぜ!)
心の中で決意を固め、俺はジュビルとの最終決戦に向けて仲間のところに戻った。