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第36話

36話 ジュビル登場! 現れた邪神龍じゃしんりゅう


 戦の幕が上がり、彼らの闘志が燃え上がる中、ジュビルの侵略しんりゃくに立ち向かう戦いが始まった。

 しかし、その時、ふと空を見上げた俺は、タガーイ国にドス黒い霧のような物が掛かっているのに気づいた。

 その異様な光景に俺の心はザワついた。


「見ろ、あれは何だ?」


 指を差して、俺は仲間達に叫んだ。

 タクマにいも空を見上げて、眉をひそめた。


「あれは霧ではない。何か異常な力が働いているかもしれない!」


 周囲の兵士達もその霧に気付いて、不安の表情を浮かべている。

 黒い霧は徐々に広がり、タガーイ国の空をおおいつつあった。

 その様子はまるで、死の気配けはいが迫っているかのようだった。


(何か、嫌な感じがする。このままでは、何かヤバイことが起こるかもしれない……)


 心の中で感じた恐怖を必死に、俺は打ち消そうとしていた。

 その時、イグニス国から師匠ししょうが姿を現した。

 師匠ししょうは冷静な表情で霧を見つめている。


「これはただの霧ではない! ジュビルの妖術ようじゅつが関与している可能性が高い。アンデッド達を操っている様に、霧を通じてタガーイ国に侵入しようとしているのだ」


「ならば師匠ししょう、どうすればこの霧を突破できるのですか?」


 あせりをかくせずに俺は尋ねた。


「雷の力を使うのも一つの手だが、霧の正体を見極めることが先決だ。この霧が持つ魔力を打ち破るためには、仲間と共に連携し、力を合わせることが必要だ」


 師匠ししょうは言い、俺達に向かって続けた。


「お前達の力を信じている。だが、決して油断してはならない」


 タクマにいは頷き、俺達に指令を出した。


「よし、霧の中に入ってその正体を突き止めよう。みな、しっかり着いて来てくれ!」


 俺達アサシン連合部隊の士気を高めた。

 心を集中させて、師匠ししょうから教わった通りに雷の力を感じ取りながら、俺は仲間達と共に霧の中へと突入することを決意した。


雷撃らいげき、俺に力を与えよ!」


 呪文を唱えて、周囲にエネルギーを集めようとしたのだが……黒い霧は、まるでその雷を吸収するかのように、俺の集めた光を呑み込んでしまった。


「おいおい、マジかよ!」


 おどろいて、俺の胸には恐怖が広がり、顔が引きつってしまった。


「この霧は普通の霧ではない! このままでは、タガーイ国が危うい! われわれが先に行動を起こさなければならないようだな!」


 師匠ししょうの目には、決意が宿っていた。

 俺は仲間達を見渡して、状況を把握はあくしていた。


「この霧の正体を暴き、タガーイ国を守るために進もう!」


 仲間達もその言葉に応じて、再び士気を高めた。

 その時、何かが空に上がって行くのが見えた。

 そのドス黒い霧がアンデッド達を吸い上げている。

 ドス黒い霧の一部が集結を始めて、暗い光を放ち、まるで心臓しんぞう脈打みゃくうつかのように動いているように見える。

 衝撃的な光景に俺達は、ただその異様な光景を見続けていた。


★★★★


「ケェケェケェー。貴様らとのお遊びは、もう終わりだ!」


 耳にした声は、ジュビルの気色きしょく悪い笑い声だった。

 師匠ししょうが呪文を唱えて、閃光せんこうきわみを放った。

 閃光せんこうきわみに照らされて、現れた姿はドス黒い龍だった。


「な、何だよ! あれは!」


 思わず俺は声を上げてしまった。


「もう、お遊びは終わりと言っただろ! 貴様ら。邪神龍じゃしんりゅうの復活だあぁ!」


「ルノーン界を終わらせて、ジュビル様が新たな世界の王となってやるよ」


 ジュビルは邪神龍じゃしんりゅうの上に立ち、俺達を見下ろしている。


(このままでは、本当にルノーン界が終わってしまう)


 この異様な光景にアサシン部隊のみんなが、動けず立ちつくしていた。


★★★★


「タクマ、バート、来い」


 師匠ししょうの大きな叫びが聞こえる。

 われを取り戻して、素早く師匠ししょうの元にいくと、師匠ししょうが俺達に告げた。


「お前達には申し訳ないが、2人の命は私が預かる」


「お前達に服部はっとり流派りゅうは 究極きゅうきょく 奥義おうぎさずける」


「この技は本当に危険な技だ! 最悪は死に至る。だが、ジュビルの野望を止めるには、もうこれしかない。いいか? 2人とも」


 俺とタクマにいは目を合わせて、同時に言った。


服部はっとり流派りゅうは 究極きゅうきょく 奥義おうぎ 心してさずかります」


 師匠ししょうが俺達のひたいに手をかざして、呪文を唱えている。

 タクマにいに何が伝わっているのか分からないが、俺には大きな銀狼ぎんろうのイメージが頭に伝わってきていた。


「お前達に服部はっとり流派りゅうは 究極きゅうきょく 奥義おうぎさずけた。強くイメージをしろ!」


「さすれば、それは、お前達の力となるであろう。死ぬなよ、お前達。われより先に」


 師匠ししょうはそう告げて、戦いに戻った。

 俺もタクマにいと目を合わせて、戦いに戻った。



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