39話 完全攻略本
他のことは何が書いてあったのか、正直あまり覚えていなかった。
でも、これだけは1日たりとも忘れなかった、美空に教えてもらった完全攻略本に書いてあったことを試している。
ジュビルの開発した毒針の効果と、タクマ
だが、タクマ
飲む量で転移する距離は変わり、イグニス国からウエルス国にも転移できている。
タクマ兄の
毒の耐性のない俺は、酷い日は1日トイレから出られない日もあった。
★★★★
バートに
タクマはウエルス国の研究室で、ジュビルの研究資料を探している。
「おいタクマ、お前が探している物は、これじゃないのか?」
タクマに声を掛けたのは、洗脳から解放された親友のライヤだった。
「ライヤ、これを何処から持って来たんだ?」
「おいおい、忘れるなよタクマ。お前にジュビルから渡された毒針の吹き矢を渡したのは誰だ? お前は優秀だからな、1本で成功させただろ。残りを頂いておいたのさ! ジュビルから返せと命令がなかったからな」
ドヤ顔をしてから、ライヤはタクマに2本の吹き矢を渡した。
「こ、これだよ、ライヤ! この毒針の先を調べれば、毒の成分が分かるかもしれないぞ」
興奮を
「これが、お前の探していた物なら、フェリス姫様とのお茶会のセッティングでいいぜ! アサシン部隊の隊長さん。いや、アサシンナイトさん」
そう言い残して、ライヤはタクマに笑顔を向け、親指を立てて研究室を出ていった。
吹き矢を手に取り、真剣な表情でタクマは考え込んだ。
(これでジュビルの毒針の調合が分かるぞ。バートの思いに応えてあげることが出来るのかも知れない)
★★★★
俺はタクマ
タクマ
飲む前に場所のイメージが出来て、飲む量を間違えなければ、ほぼイメージした場所に転移が出来る。
俺が走れば3時間程の距離を、瞬時に転移させてくれるんだぜ。
(でも薬は……本当に死ぬほどマズイんだけどね)
「こんにちは、タクマ
「おっ、バートか! これを見てくれ!」
タクマ
「この毒針の先を調べれば、ジュビルがどんな成分を使っているのか分かるかもしれないぞ」
「本当に? それなら、早速調合に取り掛かろうよ」
期待を込めて俺は言ったが、タクマ
「でも、まずは慎重にいこう。ジュビルの毒は強力だから、失敗は許されない」
真剣な表情でタクマ
俺達は、お互いの目を合わせて頷いたあと、タクマ
タクマ
「まずはこの成分を分解してみる」
薬液を手に取り、タクマ
「バート、約束はやっているのか?」
「ああ、タガーイ国王には
「そうか、なら今日はバン王とエミリア王妃とフェリス姫の
「うん。今日はバン王とエミリア王妃とフェリス姉さんに
「なら気合いを入れて、いってこい。姫様を泣かすなよ」
そう告げてタクマ
★★★★
研究室を出て、王と王妃に
王と王妃に会って、話をさせていただき、俺の思いを伝えて無事に
残念がっていたが、王室を出る時に『
(次は姉さんかぁ・・・・)
なんだろう? 姉さんに話をするのは気が重い。
双子であったことを知り、母さんと姉さんの
「ふぅ~」
大きな息を吐き、姉さんの部屋の前にたった。
女性の
「姫様、バート様が
「バートが来たのね~。入ってもらってー」
(あーもう、当たって
「姉さんバートです。入ります」
★★★★
部屋に入ると姉さんは、ハサミとクシを持って、ドレッサーの前で目を
(えっ! なんじゃ~この状況は?)
「はい、バート座ってね~」
状況が分からないまま、姉さんが、なかば強引に俺を椅子に座らせた。
「バート、タクマから聞いているわよ! ルノーン界の探索のために旅に出るんだってね」
「旅に出るなら、その焼け焦げた髪を
俺は心からタクマ
姉さんに話をしてくれていたんだ……。
「はい、姉さん。長旅になるからさぁ~、バッサリとお願いするね」
姉さんは楽しそうに、
(……あれ? なんだこれ?)
目から熱いものがポロポロと流れていた。
「なにバート。姉さんに髪の毛を切ってもらって感動しちゃった?」
「ああ、ウエルス国のお姫様にカットをしてもらえるなんて、光栄の
カットが終わったようで、俺をアチコチの方向から見て、満足そうにハサミとクシを鏡の前に置いた。
「はい、バート終わったわよ。バートは
「有り難う。フェリス姉さん」
「タクマ
「当たり前よ~! 姉さんも応援するからね。
「うん、
「じゃ~タクマ
「……じゃ、またね!」
最初で最後の
最後に姉さんの顔を良く見て、一礼をして部屋を出た。
★★★★
研究室に戻るとタクマ
俺も親指を立てて、最高の笑顔で合図を返した。