41話 バート服部 =
俺達が家に入ると
2人で旅立ちの準備をしている時に俺は気付いた。
「ほとんど持って行ける物なんて、ねえじゃんかぁー」
〈プッ!〉俺達は顔を見合わせて笑った。
体格があまり変わらないこともあり、俺は感謝を込めて、
俺からは渡しずらかったので、タクマ
2人でゴソゴソと支度をしていると、
「タクマ、バート、来い」
★★★★
俺達が椅子に座ると、
「タクマ、お前はウエルス国で、お前の
「バン王、エミリア王妃の影となり、フェリス姫と共にウエルス国を支えよ。良いな!」
「
「私、タクマ服部は、
タクマ
「バート、お前はバート服部の名を名乗ることを止め、やり残していることに全力で挑戦せよ!」
「アサシンとしての
「アサシンの力で、救える命がある時は、その命を守り、新たな人生を歩め! お前の思い人と共に。良いな」
俺も椅子の横で片膝を付き、頭を下げた。
「
「死んでしまう可能性があった俺を救出し、ここまで育てていただきまして、本当に有り難う御座いました」
「
「暗殺の
こうして俺は、タクマ
全員からの
「確かに、全員の
俺はタクマ
「
「育ててくれたお礼を伝えたばかりですが、死んでしまったら俺の人生は、それまでだったと思って下さい」
「ロギー
「おい、バート。誰が
涙を流していたが、タクマ
「元気でなバート。またな!」
「じゃ、またね! 2人とも」
ラシン王からもらった服を着て、師匠からもらった靴を履き、肩掛けバックに入る荷物だけを持ち、俺は
外に出て、
★★★★
日が暮れたトラビスの山頂は、(うわ、寒みぃ~)思った以上に寒かった。
山頂の周りを良く見ると、父さんがイモの世話をしているようだ。
小さなイモ畑が出来ていた。
「父さん、少しもらったからね。母さんには、まだ、だったからね」
「最後になっちゃってゴメンね。母さん」
母さんに最後のお供えをするために、火を
体も暖まってきて、甘く香ばしい匂いが周囲に
大きく深呼吸をして、出せる全力の声で、エリー母さんに最後の報告をした。
「母さーん、バートだぁー。父さんにも会ったんだよー」
「父さんから母さんとの思い出の服をもらったんだー! イカしているだろー。これを着て旅立つよー」
「母さんが最後になっちゃってゴメンねえぇー。父さんが育てたイモを俺が焼いたんだあぁー」
「姉さんと俺を産んでくれて・・・・・本当に・・・・・ありがとうね」
「俺は、大切にしたい人のところに帰って、その人のために自分が決めた目標を目指すんだあぁぁ」
・・・・・母との別れは・・・・・何故か涙が出なかった。
最後の挨拶を無事に済ませて、新たな旅立ちの報告が出来たことのほうが嬉しかったのか、少しキリッとした顔になっていたはずだ。
「さて、行くか!」
タクマ
箱の中に手紙が入っていた。
〈バート、この
〈
(…………)
「ああ、読めなくなるから持って行くよ。タクマ兄さん」
見たことがない
俺の体が光に包まれていく。
さらば! 俺達のルノーン界。
いつまでも、平和な世界を・・・・・。
★★★★
意識を失なっていた俺の体が光に包まれる。
〈あなたが決めた世界で、あなたの大切にしたい人達を守れるように
〈あなたにはもう、言葉の呪文は要らないはね。その世界で1年も
〈最後に美味しい焼きイモを、お供えしてくれて本当にありがとうね。私の大切な息子・・・・・バート〉