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第7話 ロルタリアを目指して

フレイヤは、スイーツ店で甘美なデザートを堪能し、満足そうに大きなため息をついた。「やっぱり甘いものは最高ね。お腹も心も幸せでいっぱいだわ。」彼女の顔には、至福の表情が浮かんでいる。


ティアマト、通称ティアちゃんは、そんなフレイヤを見ながら優しく微笑んだ。「主様がご満足されて何よりです。甘いものをお楽しみいただけて、私も幸せです。」


その時、店の外で警戒を続けていたフェンリル、通称わんわんが、急ぎ足で戻ってきた。「主様、王国の使者たちがまた近づいてきています。貴族らしき者たちも一緒です。」


「またなの?」フレイヤは少し眉をひそめ、面倒そうに言った。「さっきから何度もしつこいわね。追放された私を聖女に戻すとか、そんな話には興味ないのよね。」


「とはいえ、主様が再び聖女として迎えられることは、彼らにとっても重要なことなのでしょう」とティアちゃんが静かに付け加えた。


「まあね。でも、一度追放された私が簡単に戻るなんて、ちょっと癪に障るし、隣国の聖女スカウトの話を聞くだけのために戻るのも退屈よ。」フレイヤは肩をすくめ、少し考え込んだ。


店の外に出ると、そこには王国の騎士たちがずらりと整列し、さらに貴族と思しき使者たちも並んでいた。彼らは厳粛な態度を保ち、まるでフレイヤを迎えるために何時間も待ち続けていたかのようだった。


フレイヤはため息をつきながら、彼らを見渡した。「なによ、これは?」


すると、一人の貴族が前に進み出て、丁寧に頭を下げた。「フレイヤ様、国王陛下より、正式な聖女に任じるとの辞令が下されております。つきましては、国王陛下自らその辞令をお伝えしたく、どうかこちらへお進みください。任命式がございますゆえ。」


フレイヤは貴族をしばらく無言で見つめた後、肩をすくめた。「はぁ?私は追放された身なのよ。この国の民じゃないし、聖女に任命される資格なんてないわ。」


使者たちは慌てて一歩前に出ようとしたが、わんわんとティアちゃんがフレイヤの後ろに立ち塞がり、静かにだが圧倒的な存在感で道をふさいだ。


「フレイヤ様、どうかお考え直しを!国王陛下も、かつての過ちを深く反省されております。貴方がいなければ、この国はもはや……」


「興味ないわ」とフレイヤはピシャリと切り捨てた。「スイーツの方がずっと大事よ。」


わんわんが鋭い目つきで使者たちを睨みつけた。「主様に対してこれ以上無礼を働くなら、覚悟しろ。」


使者たちはその威圧感に一歩退き、次に何を言うべきか迷っている様子だった。ティアちゃんも優雅に微笑みながら、「主様のご意思を尊重すべきです」と付け加えた。


フレイヤは使者たちを無視して歩き出し、ふと何かを思いついたように言った。「あ、そうだ。隣国の話を聞くついでに、さらにその先にあるロルタリアという国に行こうかしら。あそこのスイーツが評判なのよ。」


ハムちゃんことバハムートは静かに頷き、「ロルタリアは、そのスイーツだけでなく、異なる文化や風景でも知られています。旅先としては最適かと思います」と淡々と言った。


フレイヤは微笑み、肩を軽くすくめた。「じゃあ、決まりね!隣国のスカウト話も聞いてみるけど、そのついでにロルタリアまで行ってみましょう。スイーツ女王の噂も気になるし、そこに行かない手はないわ。」


わんわんは少し不安そうに言った。「ロルタリアは少し距離がありますが、主様が望まれるのであれば、全力でお守りいたします。」


「もちろん、わんわん。あなたたちがいれば安心よ。スイーツのためなら、少しの距離なんて気にならないわ。」フレイヤは軽やかに笑った。


ティアちゃんは優雅に一礼し、「主様、ロルタリアのスイーツがどれほどのものか楽しみですね」と言った。


フレイヤは満足そうに頷き、窓の外を見つめた。「ええ、きっと最高の旅になるわ。」


こうして、フレイヤたちは新たな目的地を目指して旅立つことを決意した。スイーツ探しの旅は、ますます広がりを見せていく。



---


一方、王国の王宮では、王の怒りが玉座の間に響き渡っていた。


「何故、フレイヤを止めなかったのだ!」王は椅子から立ち上がり、怒りをあらわにして叫んだ。


側近の大臣たちは困惑しながらも、王をなだめようと一歩下がり、一人の大臣が冷静に口を開いた。「陛下、どうかお落ち着きください。確かにフレイヤ様は去られましたが、魔王軍はすでに撤退し、魔王もフェンリルによって討たれました。王国を脅かす大きな危機は、すでに去ったものかと存じます。再び魔王軍が侵攻して来る可能性はほとんどないかと思われます。」


「だが……彼女こそがこの国の真の聖女であったのだ。彼女がいなければ、我が王国はどうやって未来を守るというのだ……」王は不安げに言葉を続けようとしたが、大臣はその言葉を遮った。


「陛下、冷静にお考えくださいませ。確かにフレイヤ様は強大な力をお持ちですが、彼女の性格は、いささか怠惰でございます。今後、彼女に頼り続けることが果たして王国のためになるでしょうか?それに、フレイヤ様に恩給を支払い続ける必要もありません。あの方を無理に留め置くよりも、自然に旅立たせる方が、財政的にも賢明かと存じます。」大臣は落ち着いた口調で提言した。


王は一瞬考え込むように沈黙したが、再び声を上げた。「だが、フレイヤがいなければ、我が国はどうやって未来を守るのだ?」


別の側近が進み出て言葉を続けた。「陛下、ご安心ください。王国の騎士団も健在ですし、我が国には新たな聖女もいます。フレイヤ様を無理に引き留めることなく、我々の力で王国を守り抜くべきです。」


「……そうだな。だが、彼女がいないと、この国はどうなるのか……」王は深い溜息をつき、再び椅子に座り直した。


こうして、フレイヤを無理に引き留めることなく、王国は自らの力で未来を切り開くことを決断したのだった。


そして、フレイヤは既に次のスイーツ探しの旅に出発していた。その目的地は隣国ヴェルデ公国、そしてさらにその先にあるロルタリアという国であった。彼女の旅は、まだまだ甘い冒険が待っているのだった。




フレイヤ一行が次なる目的地である隣国ヴェルデ公国へと旅立ったのは、王国の使者を振り切ってから数日後のことだった。王国の使者たちがあれほどしつこく説得を試みたものの、フレイヤの関心はすでに別のところに移っていた。彼女にとって王国の命運や聖女という役割よりも、スイーツを求める新たな旅のほうが遥かに魅力的だったのだ。


「本当にあの王国の使者たちはしつこかったわね。まあ、もう面倒なことに巻き込まれるのはごめんだわ。」馬車の中でくつろぎながら、フレイヤはカップケーキを口に運びつつ、そう言った。


ティアちゃんは優雅にティーカップを持ちながら微笑んで答えた。「確かに、王国側にとっては大切なことだったのでしょうが、主様の決断が最も正しいかと存じます。何より、主様が求めるスイーツが待っている新たな冒険の方が重要ですから。」


「もちろんよ。あんな聖女なんて肩書き、誰が欲しいっていうの?」フレイヤは苦笑しながら言葉を続けた。「そんなことより、隣国ヴェルデ公国のスイーツがどれほど美味しいのかが気になるわ。」


フェンリル、通称わんわんは、馬車の外を警戒しながら、「ヴェルデ公国は、スイーツの他にも美しい山々や緑が広がる自然豊かな国だと聞いています。警戒は怠りませんが、主様が安全に旅を楽しめるよう、しっかり守ります」と答えた。


「ありがとう、わんわん。でも、そんなに心配しなくても大丈夫よ。私たちが旅してる限り、誰も邪魔なんてできないわ。」フレイヤは軽く肩をすくめながら言った。


「そうですね、主様の力があれば、どんな困難も問題にはならないでしょう。」ハムちゃんことバハムートは、馬車の中で静かにそう言った。彼の冷静な眼差しは、常に周囲の状況を見渡しており、何が起ころうと迅速に対応できるよう準備していた。


フレイヤは窓の外に目をやりながら、次のスイーツ店を想像していた。「そういえば、ヴェルデ公国にはスイーツフェスティバルなんていうイベントがあるらしいわ。丁度その時期に行けたら最高ね。」


「スイーツフェスティバル?」ティアちゃんは興味深そうに聞き返した。「それは楽しそうですね。主様が心から楽しめるイベントになりそうです。」


「ええ、だから早く行って確認したいのよ。でも、途中で新しいお店を見つけるのも悪くないわね。」フレイヤは目を輝かせ、次々にスイーツを楽しむプランを思い描いていた。


ヴェルデ公国へ向かう道中、馬車は緑豊かな森を抜け、清らかな川を越えて進んでいた。道端には小さな村々が点在し、村人たちはフレイヤ一行を興味深そうに見つめていた。彼らが驚いているのは当然だった。フレイヤはただの旅人ではなく、かつての聖女であり、さらに強大な仲間たちを従えているという異様な光景だったからだ。


「何だか村の人たちがじろじろ見てくるわね。」フレイヤは村人たちの視線を感じながら言った。


「主様、それは当然のことです。主様があまりにも美しく、そして神々しいお姿でいらっしゃるからです。村の者たちもきっと主様に驚嘆しているのでしょう」とティアちゃんが優雅に答えた。


「まあ、それはそれでいいけど、ちょっと居心地が悪いわね。目立つのは好きじゃないのよ。」フレイヤは気まずそうに笑った。


フェンリルは馬車の外で静かに見張りながら、「彼らはただ、私たちがどれほど強大な存在かを知って畏れているのでしょう。主様に危害を加える者などいません」と断言した。


「そうね。まあ、わんわんがいれば安心だし、何かあっても私たちがいるから大丈夫よ。」フレイヤは自信満々に言った。


旅は順調に進んでいたが、途中で馬車を止められることがあった。ヴェルデ公国の国境近くに差し掛かると、国境警備の騎士団が待ち構えており、フレイヤ一行を一旦停止させたのだ。フレイヤは馬車の窓から外を見ながら、少し面倒くさそうに息を吐いた。


「また何か騒ぎかしら?」フレイヤは騎士たちの姿を見つめながら言った。


すると、騎士団の隊長らしき人物が馬車に近づいてきた。「これは失礼いたしました。私はヴェルデ公国の国境警備隊長でございます。こちらにお越しいただいたのは、元聖女フレイヤ様とお聞きしておりまして、何かお困りごとはございませんか?」


「困っているのは、早くスイーツを食べたいのに道を塞がれていることぐらいね。」フレイヤは少し不満そうに答えた。


隊長は申し訳なさそうに頭を下げ、「それは失礼いたしました。すぐに道をお通しします。ただ、もしよろしければ、我が国の大公がフレイヤ様にお会いしたいとのことです。聖女としてお迎えしたいとのお話もございますので、一度お話を聞いていただければ幸いです。」


「また聖女の話?」フレイヤは頭を抱えながら、ため息をついた。「聖女なんてもういいって言ってるのに。でも、まあ、その話を聞きながらスイーツでも出してくれるなら考えてあげてもいいわ。」


隊長は目を輝かせながら頷いた。「もちろん、スイーツもご用意いたします。どうぞ、大公の元へお越しください。」


フレイヤはティアちゃんとわんわん、そしてハムちゃんに目を向け、「どうする?少し寄り道して大公とやらのスイーツを試してみるのも悪くないかも。」


ティアちゃんは微笑みながら「主様がそうお望みなら、私たちはお供いたします」と言った。


わんわんは静かに頷き、「どんな場所でも主様をお守りいたします」と誓い、ハムちゃんも同意を示した。


こうして、フレイヤ一行はヴェルデ公国の大公邸へと向かうことになった。贅沢なスイーツが待っているという期待感に満ちたフレイヤの顔には、再び楽しげな笑みが浮かんでいた。旅はまだ始まったばかりだが、その道中には甘い冒険が待ち受けているに違いない。




フレイヤ一行は、ヴェルデ公国の大公邸に向かっていた。道中、彼らは美しい山々と緑豊かな大地を目にしながら、国境の警備を受けた後、順調に進んでいた。ヴェルデ公国は王国とは異なり、穏やかで平和な空気に包まれており、フレイヤもその静かな風景を楽しんでいた。


「ここはのんびりしていていいわね。騒がしい王国よりずっとマシだわ。」フレイヤは窓から外の景色を眺めながら、ふとつぶやいた。


「主様も、この地のスイーツを楽しんでいただけるでしょう。ヴェルデ公国のスイーツは特に美味しいと評判ですから。」ティアちゃんは微笑みながらフレイヤに話しかけた。


「それならなおさら期待できるわね。早く大公邸に着いて、どんなお菓子が出てくるのか楽しみだわ。」フレイヤは胸を膨らませながら言った。


フェンリル、通称わんわんは外の様子を警戒しつつも、「公国の領内は非常に安全なようです。怪しい気配はありませんし、主様が安心してお過ごしいただけるかと存じます」と静かに報告した。


「まぁ、あんたがそう言うなら安心ね。」フレイヤは軽く笑い、次の目的地に期待を寄せていた。


やがて、馬車がヴェルデ公国の大公邸に到着した。そこには立派な門があり、豪華な邸宅が広がっていた。門を通ると、花々が咲き誇る庭園が一面に広がり、その奥に威厳ある城がそびえ立っていた。


「わあ、なかなかの豪邸ね。」フレイヤは感嘆の声を上げ、馬車から降り立った。


すると、すぐに大公邸の使用人たちが出迎えに現れ、彼女を迎え入れるために整列していた。彼らは一様に礼儀正しく、丁寧に頭を下げながらフレイヤたちを歓迎した。


「ようこそ、ヴェルデ公国へ。フレイヤ様のご到着を心よりお待ちしておりました。」一人の侍従長が前に進み出て、深々と礼をした。


「まあ、そんなに畏まらなくていいのよ。」フレイヤは肩をすくめながら、少し照れた様子で返事をした。


侍従長はにこやかに笑みを浮かべ、「主様、どうぞ大公邸へお進みください。大公陛下がフレイヤ様をお迎えする準備を整えております。そして、陛下からのご招待として、本日は特別なスイーツをご用意しております。」と言った。


その言葉に、フレイヤの目が輝いた。「スイーツね!それは楽しみだわ。」


ティアちゃんとわんわん、そしてハムちゃんも後に続きながら、大公邸の中へと案内された。内部は豪華で、天井には美しいシャンデリアが輝き、壁には高級な絵画や装飾が施されていた。どこを見ても、格式の高い建物であることが一目でわかるような空間だった。


「この国、なかなかやるわね。」フレイヤは周囲を見回しながら、少し感心したように言った。


やがて、一行は大きな食堂に案内された。そこで待っていたのは、ヴェルデ公国の大公本人だった。彼は壮年の男性で、優雅な雰囲気を纏いながらも、どこか威厳を感じさせる人物だった。大公はフレイヤを見て、にこやかに微笑みながら立ち上がり、彼女を歓迎した。


「ようこそ、フレイヤ様。私がヴェルデ公国の大公、ロルヴァントです。あなたをここにお迎えできることを大変光栄に思います。」彼は丁寧に頭を下げながら、フレイヤを歓迎した。


「まあ、どうも。」フレイヤは軽く手を振りながら、さほど緊張感もなく返事をした。


「さあ、こちらにおかけください。特別なスイーツをたっぷりご用意いたしました。フレイヤ様のお気に召すことを祈っております。」大公はフレイヤに席を勧め、すぐにスイーツが運ばれてきた。


テーブルには、豪華なデザートプレートが並んでいた。チョコレートムース、フルーツタルト、クリームパフなど、様々な種類のスイーツが所狭しと並んでおり、その美しさに目を奪われるほどだった。


「すごい……これはなかなか期待できそうね。」フレイヤは嬉しそうに微笑み、早速スプーンを手に取った。


彼女は一口食べると、その美味しさに目を見開いた。「ん……美味しい!これは本当にすごいわ。甘さも絶妙だし、素材の風味がしっかりしてる。」


ティアちゃんも微笑みながら「主様が気に入っていただけて、私も嬉しいです。」と応じた。


わんわんも少し安心した様子で、「主様が満足されたのなら、この旅は成功と言えるでしょう」と静かに言った。


その間、大公ロルヴァントはフレイヤの様子を見ながら、少しずつ話を切り出した。「フレイヤ様、もしよろしければ、このヴェルデ公国にしばらく滞在されてはいかがでしょうか?貴女のような強力な存在が我が国にいらっしゃることは、大いに力となることでしょう。」


フレイヤはスイーツを食べながら、あまり関心がなさそうに答えた。「うーん、そうね。スイーツがある限りは、滞在するのも悪くないけど。聖女とかそういうのには興味ないのよ。」


大公は微笑みながらも、少し焦りを感じたようだった。「もちろん、無理にとは申しません。ただ、我が国は貴女の力を非常に頼りにしており……」


「まあ、スイーツが美味しい間は滞在してもいいわ。でも、他に何か面倒なことがあるなら遠慮させてもらうわね。」フレイヤは軽く笑ってそう答えた。


ロルヴァントは少し肩を落としながらも、フレイヤがしばらく滞在することに少し安堵したようだった。「かしこまりました。どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。何かご不便がございましたら、すぐにお知らせください。」


こうしてフレイヤ一行は、ヴェルデ公国でしばらくの間滞在することになった。彼女は毎日のようにスイーツを楽しみ、大公もそれを見守りながら、少しでも彼女をこの国に留めようと心を砕いていた。しかし、フレイヤの心はすでに次の目的地――ロルタリアのスイーツ女王に向けられていた。


「この国のスイーツもなかなか美味しいけど、ロルタリアにはさらに素晴らしいものが待ってるって聞いたわ。行くしかないわね。」フレイヤは次なる冒険に心を躍らせながら、甘いものに囲まれて幸福な時間を過ごしていた。




ヴェルデ公国での滞在中、フレイヤは毎日のようにスイーツを堪能していた。彼女の生活は優雅そのもので、午前、午後、そして夜のティータイムには、贅沢なデザートが欠かせない日々だった。ティアちゃんとわんわん(フェンリル)、そしてハムちゃん(バハムート)もまた、そんなフレイヤを見守りつつ、穏やかな時間を過ごしていた。


ある日の午後、フレイヤはヴェルデ公国の城下町に出かけ、噂話を耳にした。城下町のカフェで出されたケーキを食べながら、周囲の会話に自然と耳を傾けていると、興味深い話題が飛び込んできた。


「ねえ、知ってる?ロルタリア王国にしかない幻のスイーツがあるらしいよ。」


「ええ、聞いたことあるわ。それに、ロルタリアの女王様が自らスイーツを手作りしているとか。」


「すごいわね。あんな高貴な方がスイーツを作るなんて。しかも、その女王様がスイーツ女王(クイーン)って呼ばれてるのも納得よ。」


その噂を聞いた瞬間、フレイヤの手が止まった。口に運ぼうとしていたケーキのフォークを静かに置き、目を輝かせた。


「ロルタリアでしか食べられない幻のスイーツ?しかも、女王自らが作るスイーツだなんて……これは絶対に行かないと!」フレイヤは内心で決意し、スイーツを堪能した後、すぐにティアちゃんたちに伝えた。


「主様、何かお考えですか?」ティアちゃんが優雅に微笑みながら尋ねた。


「もちろんよ!ロルタリアという国に行くわ。そこでしか食べられない幻のスイーツがあるって聞いたの。しかも、その女王様がスイーツ作りの達人らしいのよ。」フレイヤは興奮気味に話した。


「スイーツ女王ですか……それは確かに主様が興味を持たれるに相応しい存在ですね。」ティアちゃんは静かに頷いた。


「よし、決まりね!」フレイヤは意気揚々と立ち上がり、次の冒険に向けた準備を始めた。


その夜、大公ロルヴァントとの夕食の席で、フレイヤは突如としてロルタリアへの旅を宣言した。大公は驚きつつも、彼女を引き留めようと試みた。


「フレイヤ様、ヴェルデ公国での滞在はいかがでしょうか?もっとゆっくりと滞在していただいても構いませんよ。スイーツもまだまだご用意しておりますし、何かご要望があればお聞かせください。」


「スイーツは美味しいわ。でも、私は次の冒険を求めてるの。それに、ロルタリアには幻のスイーツがあるって話を聞いたのよ。しかも、女王様自らがスイーツを作るらしいわ!」フレイヤはキラキラと目を輝かせながら言った。


大公は少し困惑しながらも、「確かにロルタリアのスイーツは評判です。しかし、どうかもう少しだけ滞在していただけませんか?フレイヤ様がこの国にいることは、私たちにとって大変な名誉であり、何よりも心強いことなのです。」と懸命に引き留めようとした。


しかし、フレイヤの決意は固かった。「ありがとう、でももう決めたの。ロルタリアで幻のスイーツを食べるまで、この心の炎は消えないわ。」


「それならば仕方ありませんね……」大公は渋々ながらも、フレイヤの決意に折れた。


「安心して。いつかまたこの国に立ち寄ることがあれば、その時はスイーツを楽しみに来るわ。」フレイヤは軽く手を振りながら言い、席を立った。


翌日、フレイヤ一行は早速ヴェルデ公国を出発し、ロルタリアへ向けて旅を再開した。馬車に乗り込み、再び広大な大地を進む彼女たちは、新たな冒険とスイーツの発見に心を躍らせていた。


「ねえ、ハムちゃん、あなたならもっと早くロルタリアに連れて行ってくれるんじゃない?」フレイヤはふとバハムートに問いかけた。


バハムート、通称ハムちゃんは落ち着いた声で答えた。「もちろん、私が皆を乗せて飛ぶこともできます。ですが、主様は道中のスイーツ店を訪れることを楽しみにしているのでは?」


「その通りよ!」フレイヤは大きく頷き、「寄り道しながら新しいお店を開拓するのも旅の醍醐味なのよ。だから、急いでロルタリアに行くよりも、ゆっくり楽しみながら行きたいの。」と言った。


ティアちゃんは笑いながら、「主様の旅にはスイーツが欠かせませんから、途中で素敵なお店を見つけるのも重要ですね」と賛同した。


こうして、フレイヤ一行はロルタリアに向けて新たな旅を続けることになった。道中、立ち寄るスイーツ店や新たな出会い、そして未知の冒険が待ち受けている。彼女たちの旅は、まだまだ終わりそうにない。


フレイヤは、窓から流れる風景を眺めながら、次にどんな美味しいスイーツに出会えるのかを楽しみにしていた。そして、ロルタリアの女王との出会いが、彼女の旅にどんな展開をもたらすのか、誰もが予想できないまま、物語は新たな方向へと進んでいく。


「ロルタリアのスイーツ女王……これは絶対に見逃せないわ!」フレイヤは心の中でそう決意し、再び甘い冒険に胸を躍らせていた。









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