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第195話 先客二名。不法侵入です!


 《グリード王国・スペードツータウン》




 ヒロユキたち3人は、今後の旅に向けた支度をするため、久しぶりに拠点として使っていた“家”へと向かっていた。

 そして今日は、その家をたまこに紹介する日でもあった。




 「……それで、ジュンパクの居場所は?」




 「私が知ってるわけないじゃないですか。寝てたんですよ?」




 「……あれは寝てるというより“死んでる”」




 「人を死人にしないでください!?」




 「そうよ~、私が治したんだから、死んでないわよ~?」




 「ふふ、じゃあ――ここですよここ! マイホーム!」




 ユキが嬉しそうに指差した先に、小さな門と白い外壁の建物が見えてくる。

 この家はグリード王国スペードツータウンの一角にある。

 ヒロユキたちはここに武器や魔皮紙などを保管しており、必要に応じて取り寄せる拠点として使っていた。




 「へぇ~? けっこう大きいのねぇ?」




 「当然です! 依頼をコツコツこなして、コツコツコツコツ貯めて――ようやく買ったんです!」




 「……本当なら、俺のギルドカードで一発だった」




 「そんなのダメですよ! お金は“働いた対価”なんです!

 お母さんが言ってました。“自分で稼いだお金で買った物が一番大事にできる”って……

 だから――ちゃんと大切にしてくださいね♪」




 「…………」




 「……なにか文句ありますか?」




 「はいはい、夫婦喧嘩はそこまで~。

 とにかく、早く見せてちょうだいな~? 私の荷物、多いのよ~?」




 「ふっふっふ……では! いざ、ご覧あれ!」




 ユキは家の前に立ち、いつものように玄関に手をかざして魔力を流す。




 「――ん?」




 「どうした?」




 「いえ……鍵が、開いてました?」




 「え?」




 「鍵の閉め忘れってこと?」




 「いえ、そんなことはないはずです。

 この家、玄関の鍵を2時間以上開けっぱなしにしてると、自動で閉まるように設定してあるんです」




 「つまり~……」




 「っ!」




 ユキは表情を強張らせ、勢いよくドアを開け、ドタドタと中へ駆け込んでいった。




 そして、リビングの扉を開け放つ――






 「やぁ、おかえりー」




 「おかえりさね」






 「ルコサさん!? なんでここに居るんですか!!」




 そこには、まるで自分の家のようにくつろぐルコサとルダの姿があった。



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