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第218話 リュウト達、世界樹に到着!

《アバレー王国 一突》

 世界樹ウッドを中心に広がる巨大都市――《一突(いっとつ)》。


 古来よりアバレー王国の政治・信仰・防衛の全てが集まる“象徴”であり、今なお絶えぬ賑わいを見せているこの都市に、リュウトたちはついに到着していた。




 「改めて近くで見ると……すごいな」

 リュウトが息を飲む。空へ突き刺すようにそびえ立つ“世界樹”の幹。根元から放射状に広がる都市設計は、まるで一国そのものを思わせた。




 「アカネ、キールから借りたローブの調子はどうだ?」




 「はい、ここに来るまでに何度か騎士の方々とすれ違いましたが……問題なさそうです。やっぱりすごいですね、グリードの魔法技術は」




 アカネとキールは、それぞれ黒いローブを身にまとっていた。


 このローブには【認識阻害】の魔法が込められており、特定の条件下では視認されていても“意識に残らない”ように作用する。まるで「風景の一部」に紛れ込むかのように。


 姿が消えるわけではないが、視線を向けられてもその存在に注目されにくくなる――いわば、“都市部における歩行専用ステルス”だ。


 キールにとって、このローブは“代表騎士”という肩書きを持つ以上、常に携帯しておくべき必需品だった。




 「君は……アバレーでは“カジノ壊し”の犯罪者だからな」




 「はい……ご迷惑おかけします……」




 苦笑まじりにアカネがうなだれる。かつての騒動の爪痕が、まだこの地に色濃く残っているのだ。




 「さて……ここからは2手に分かれる」




 リュウトは立ち止まり、周囲を一瞥してから静かに続けた。




 「キールとアカネは、そのローブの効果を活かして――予定通り、女王の元へ向かってくれ。俺たちが持つ“山亀”に関する情報を交渉材料に使うんだ」


 「そして俺達は仲間を集める……会ったんですよね、あの人に」


 「あぁ、しかし……“彼女”に何か出来るようには思えないが……」


 「確かにあの人は戦力としては何も出来ないかもしれません……でも____」


 リュウトは思い出す。


 ミクラルで戦っているとき、聞こえて来たあの美しい声を__


 その声を聞くだけで心の底から力が溢れてきた感覚を____


 「____俺達はアオイを探す!」




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 《一方その頃……》


 「いったぁぁぁあ!!!頭いったぁあ!」


 ドゴーーーーンと轟音が洞窟の中にまで響き渡り、気絶していたアオイは宙に浮き、そのまま落ちて思いっきり頭を打った。


 「ぼ、僕どれくらい寝てたんだろ」


 周りを見渡すが助けが来ている様子ではない、でもさっきの爆発はもしかしたら


 「洞窟の塞がった入り口をダイナマイトかなんかで爆発させてるのかな!助けが来る3時間前みたいな?」


 一気にテンションが上がるアオイ。


 「あと少しで助けが来る!やった!」



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 【山亀】到着まで後三日


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