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第303話 美少女コンテスト予選

 {さぁ今年も始まりましたモルノスクール美少女コンテスト!}


 「「「おおおおーっ!」」」


 {今年も可愛い女の子が揃いに揃ってます!会場のみなさんも、盛り上がっていきましょー!}


 「「「うおおおおおお!!!」」」


 舞台裏にいる俺は、ウェディングドレスのまま、その盛り上がりを聞いていた。

 ……心中? もう、むちゃくちゃ複雑だよ。


 どうして、女のゴールみたいなウェディングドレスを男の俺が着てるんだよ! 

 いや、たしかに身体は女だけどさ……!


 {エントリーNo.1番!どうぞ!}


 一番の子がスポットライトの中へと進んでいく。

 ちなみに俺はラスト、6番目。


 その時——。


 「ふむ、お前も来たのか。《アドベンチャー科》一年代表」


 「は、はい……生徒会長も出場されるとは意外でした」


 俺の視線の先には、堂々とウェディングドレスを着こなした生徒会長の姿。

 この人、いつも凛としてて、かっこよくて、ちょっと怖いが、そんな生徒会長だからこそ、その姿がギャップで好印象なのだろう。


 「ふむ、私は友人に言われてな。今年も出場だ」


 「今年も……? ってことは、前にも……」


 「うむ……」

 会長は少し苦い顔をした。な、なんかあったのか……? ていうか、何かあるのか!? 美少女コンテストに!?


 {さて!予選は《自己PRタイム》です!出場者の特技や魅力を聞いたあと、審査員から質問が飛びますよ〜!}


 「……始まったみたいだぞ」


 「は、はい……」


 「一年マジック科です〜。友達にエントリーされちゃって〜、えっと、得意なのはぁ……」


 ……一番手の子が色々言ってるが……予選落ちを狙うならここだな、絶対目立たず終わらせる!!


 {では次に!No.5番さん、どうぞー!}


 そんなこんなで、生徒会長の番がやってきた。

 彼女はすっと前へ進み、ウェディングドレス姿でスポットライトの中心に立つ。


 {なんと!去年の優勝者です!そして今ではこのモルノスクールの生徒会長!}


 ——え、ええええええええ!?

 生徒会長って去年の優勝者だったの!?

 マジかよ、ちょっと待って情報量!


 「しぇ、しぇいと会長でありゅ」


 へ?


 一瞬、俺の脳がバグった。


 彼女は一度うつむき、深呼吸して——もう一度挑む。


 「わ!私は!生徒会長でありゅ!」


 生徒会長ぉぉおおおぉぉおおおお!!!


 真っ赤な顔で手で顔を隠して、もう照れが爆発してる。

 う、嘘だろ……普段あんなに凛々しくて怖いくらいの人が、こんな……可愛いことある?


 {出ましたーっ!生徒会長の恒例・噛み噛みPR!このギャップに惚れて去年も優勝したとかしないとか!?}


 「こ、こんな服また着せりゃれて無理だよぉ……」


 そう呟いて、ぐしぐしと自分の頬を擦ってる姿。


 生徒会長おおおぉぉおおおおお!!!


 生徒会長おおおぉ!?!?


 ギャップの暴力!?

 見た目も中身も強い系かと思いきや、ウェディングドレスで前に出るの恥ずかしがってるって……可愛すぎか!!!


 そうして生徒会長は真っ赤な顔のまま、ゆっくりと戻ってくる。

 そして俺の横を通るとき——


 「……気を付けろ。あがるなよ」


 と、俺の肩に手をポンと置いて去っていった。


 いやいやいやいや!

 今、誰よりもあがってたのあんただからね!?

 ……ってツッコミたかったけど、なんかもう全部が愛しいから我慢した。


 ——そして、いよいよ俺の番が来た。


 みんなの前に立つ。



 {おおおおおおおおおおお!おおおおおおおおおおお!}


 おい、実況。実況しろ!


 {う、うつくしい......}


 前からみんな褒めてくれるけど正直「可愛い」とか「美しい」とか!俺男だからどう反応していいかわかんないんだよ!!!

 嬉しいけどなんかこう......こう!言葉にならないモヤモヤ!


 「こんにちは、僕はアドベンチャー科一年のアオイと言います。」


 「「「きゃぁぁあああきーーーあぁぁあ!!おおおおおああああ!!」」」


 おい男子ども、それはもはや奇声だろ!?


 {なんとなんと!最後の最後に!我々男子の期待に応えてくれました!この学校で噂は絶対に耳にしてるはず《謎の金髪美女》!そして噂は本当だった体育祭の時に現れた《アドベンチャー科》一年!そしてそしてそしてそしてそしてそしてそしてそしてついに!名前が!明かされました!!!その名は}



 {アオイ!}



 「「「「うわぁぁぁおおおおおおおおああああ!!!!ぐわぁぁあああ!!!ああおおおおおおおあああ!!」」」」



 会場にガソリンでも撒いて火をつけたくらいに燃え上がる!

 その会場の歓声でなんやなんやと他の人も集まってくる......いやぁぁぁあ!これ以上増えないでぇえ!!



 「し、質問はありますか?」


 これ以上はヤバイと思い俺はPRをどうぞって言ってくれると思い話を振ると__


 「好きな男のタイプは!?」


 「暇な時間ありますか!」


 「服はいつ干してますか!」


 「この後どうですか?」


 「結婚しませんか?」


 {僕と寝ませんか!}




 実況の奴が一番怖い質問してるんだが!?


 ............こいつらは駄目だ......

とりあえず最初の質問......って好きな男のタイプは?って俺男なんだけど!?


 どう答えんだよ!


 「あ、あーえーっと......」


 答えようとするとみんな黙ってこっちをみる......視線がいたい......



 「好きな男のタイプはって良く分からないけど、顔だけで決めたりはしないかな?」


 うん、別に嘘じゃないしね......何より俺は女性恐怖症だったからかわいい女子の顔全部同じに見えるし。


 だけど、なんだろ......シーンとしてるけど嵐の前の静けさのような......マグマが出てくる前みたいな......


 「では、顔が良くなくても誰にでもチャンスがあると?」


 「え?そ、そうですね」



 「「「うおおおおおおおおおおおおお!」」」


 えええ!?なんで!?


 {これはつまりここの会場全員にチャンスがあるということです!もう質問は以上です!これ以上だと会場が歓声で窓とか割れそうなので!}


 「ち、ちょっ」


 {では!予選の発表のち次に移ります!}










  えええええええええ!?




 予選落ち......狙ったのに1つの質問を解答しただけで俺の番が終わった……







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