俺の全身からダラダラと汗が出てくる。
「外の様子はどうだった?」
嫌な汗を出しながら笑顔で会話は続ける……えーーーっと……エスはなんて言ったっけな。
「外は見たこともない物でいっぱいですぞ」
確か、はっきりと『媚薬』って言ったよね………………………
「そっかぁ、どんなのがあったのー?」
ぎゃぁぁぁああああああああああいいいああああ!!?!?
どうすんだよ!飲んじゃったよ!?
媚薬!?
媚薬?
びーーーやーーく?
冗談じゃねぇ!!!んなもん今の俺が飲んでみろ!
中身30近いおっさんがうっふんあっはん言ってしまう状況になるぞ!てか飲んじゃったんだけどさ!?
「特に目が引いたのは武器ですぞ、見た目などはアバレーのアヤカシを使った武器に似ているですぞが中身がまったく違うですぞ」
「へぇ〜」
うるせぇ!こっちはそれどころじゃねぇんだよ!
俺の人生最大のヤバい状況が起こるかもしれない恐怖なんだ!
どどどどどうしよう!?
どうなるの?飲んだらどうなるの!?
今すぐ外に出て聞きたい!
いや、待て、よくよく考えたらあんな見え見えのヤバそうな飲み物を飲む人が今のパーティーに居るか?
…………居ない!みんなヤバい強さを持った人たちばかりだ!
間違ってもあんな物飲まないだろうし飲んだふりとかして誤魔化しそう。
と言うかルカに関してはあの伝説のクリスタルドラゴンだしそもそも媚薬とか効かなさそう……やべぇ、口が裂けても「あ、僕飲んじゃった、僕また何かやらかしました?」なんて言えねぇ!
ま、待てよ?そう言えばさっきの感覚……。
「ち、ちょっと僕、顔洗ってくるね」
「御意ですぞ、私はここで待ってますですぞ」
「うん」
この客室は基本構造はホテルと一緒みたいなので部屋の入り口付近の洗面所に入ると思った通り、トイレとお風呂があった。
「……」
俺はドアをゆっくり閉め……
「ーーーーーーーーーーー!」
思いっきり叫びたいけどその気持ちを抑えてその場に両手を顔で覆って座り込んだ……うわぁぁぁぁぁあああああ!どうしよどうしよどうしよ!?
誰か、誰かこのいつ爆発するか分からない状態をなんとかしてくれー!
なんか昔、お尻の穴にブレスケアを入れたら新世界が開くってスレ高校生くらいの時に見たことあるけどそれと同じ感覚なのかな!?いや知らんがな!
「そ、そうだ……まずは“確認”を……」
冷静になれ、落ち着け俺。
今のところ怪しいのは――“あの瞬間のアレ”だけだ。
……勘違いかもしれない。そう、俺には【勇者】の力があるんだし、耐性とか、きっとある。そういう希望的観測もある。うん。
「……よ、よし……」
俺は深呼吸をひとつして――
おそるおそる、自分の胸に手を添え……ゆっくりと“揉んだ”。
「っ!!……んんんん!?」
ぶわっと全身に広がる得体の知れない快感。
“ぐわん”と脳まで震えて、背筋がびくっと海老反りに浮く。
慌てて片手で口を押さえて、変な声が漏れないように耐えたけど……目から涙がにじんでくる。
「はぁ……っ、はぁっ……な、なんだコレ……っ!!」
まるで、“触れただけでイク寸前”みたいな反応――!
身体の奥で何かのスイッチが入りかけてるのが、わかる。
でも、押しちゃダメだ。絶対。絶対!!
俺は男だ。自我を支えてるこの一本の信念だけは、今だけは折っちゃいけない!
「……ま、待てよ……?」
ふと、嫌な想像が頭をよぎる。
「この状態で……尻尾、触ったら……?」
ゾクッと背中が震えた。
あの尻尾。普段だって**「男の急所」レベルにヤバい**のに、今みたいな敏感状態で触れようものなら――
(爆発する……色んな意味で……!)
けど今は敵の拠点のド真ん中。
もしもここで獣人化を解いたら、“五感で敵を察知する能力”がガタ落ちする。
そして俺は、元々そこまで強くない。
「ま、まぁ魔皮紙で隠してるし問題無いよね」
詳細に言うと今着ている黒インナースーツは特別製で尻尾は魔法陣の中に突っ込んでいて外には出てない状況みたいな感じだ。
「はぁ…………先が思いやられる」
…………………
…………
「んっ!!!!!!あぁん♡」
その後、しっかりと媚薬にかかっている自分を確認した俺であった……。