《グリード王国 ヒロユキ家》
時刻は深夜……ヒロユキ達が寝ている中、1人外に出ていた。
「リーダーからの……メッセージ……」
ヒロユキ達に悟られない様に家からどんどん離れていき、人気のない所へ行く《六英雄》の1人……たまこ。
「私がなってから初めてよね〜、リーダーを見るのは〜……その前に〜」
たまこは振り向かずに“後ろについて来てるだろう”人物に声をかけた。
「一緒に見る〜?ユキ〜」
「…………なんで分かったのですか、気配は消えていたはずです」
まさかの問いかけに驚きながら夜の暗闇から出て来たのはユキ。
「そりゃ〜わかるわよ〜、何年もの付き合いよ〜」
「解りました、それで何しにコソコソと?」
「コソコソはお互い様よね〜?」
「…………」
「じゃぁ、本題よ〜、これ、知ってるわよね〜?」
たまこは右手の甲をユキに向けると暗闇の中で赤く紋章が光出した。
「はい、六英雄だけが持つ称号ですね、その称号は引き継ぎが可能」
「相変わらず話してないのに知ってるのね〜、そしてこの魔皮紙はこの称号を認識して起動する」
紋章と連動して1枚の魔皮紙が映像を映し出す。
映像には肌が真っ白で胸にコアがあり恐竜のような尻尾と爬虫類の目をした特殊な魔族が居た。
{こんにちは、私の名前はウジーザスです……知ってますよね?}
「……」
「……」
{このメッセージを使うのはいつぶりでしょうか……平和ゆえに使われてなかったのは良い事でしょう}
「平和ね〜……」
{しかし、平和は永遠には続きませんでした____現在、平和だった世界はこの3人の人間に滅ぼされました}
「これは!」
「ヒロユキくん達の写真ね〜」
映し出されたのはヒロユキ、リュウト、アオイの3人の写真。
{かつて私達は世界から戦争を無くすために力を合わせてそれを成し遂げました、魔族同士でトラブルがあれば話し合いで解決する様になり……人間も、奪い合う物でも滅ぼす物でもなくお互いに共有していく様に……}
「確かに、魔族の視点からしたらそうですね」
「人間事態が取り合いになるなら〜、それを滅ぼそうとした魔族も居たかもしれないわね〜」
{そして、我々《六英雄》の役目は終わり、それぞれの道を歩んでいきました……}
たまこは静かに、自らの手の甲――そこに光る“紋章”に目を落とす。
それはかつて、師匠から託された大切な証だった。
{……もう、気づいている方も多いでしょう。
魔王のいない時代、居場所を失い、怯えながら身を潜める魔族たち。
あるいは、この“3人”によって――種族ごと滅ぼされた魔族たち……}
「…………」
言葉を挟むでもなく、ただたまこは映像を見つめていた。
⸻
{再び――この世界は、私たち《六英雄》を必要としています。
……どうか、理解してください}
そう言い残して、メッセージは静かに終了した。
⸻
「……」
「……」
長い沈黙のあと、たまこがふわりと問いかける。
「これを聞いて、どう思う〜?」
ユキは小さく息を吐いて、いつもの無機質な声で答えた。
「余計な詮索は無用です。このメッセージを見るまでは……私も動かなかったので」
「ん〜? へぇ〜?」
「……明日の朝、出発します。行き先は――」
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「《アバレー王国》、熊さん組の所へ」