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第462話 一緒に・・・・・・

 「……!」


 ヒロユキたちが静かに構える中、不気味に影が蠢き出す。


 「なるほど……俺は誘い出されたか。兄者が気付いたのも、何か関係があるんだろうな?」


 「っ!」


 たまこは、その姿を目にした瞬間、こみ上げる涙を必死にこらえる。

 現れたのは――六英雄の一人、《暗殺神》レナノスだった。


 「ヒロユキさん!」


 「……あぁ」


 ヒロユキが頷くと同時に、地面が大きく隆起し、彼らを包むように巨大な土のドームが形成される。


 「【光源バースト】!」


 真っ暗になった空間に、ユキが小型の太陽のような魔法を打ち上げ、辺りを照らす。


 「皆さん、まぶしいですが我慢してください! 相手は“影”を使います!」


 「ふふっ……ついに来たか、ミーの眼帯解禁タイム!」


 「「「…………」」」


 「……え? なんでみんな『忘れてた』みたいな顔してるの!?」


 「……すまん」


 「アニキまで!?」


 「とにかく、これで夜のレナノスさんの強みは封じました。できれば、戦いたくはありません。話し合いで解決できませんか?」


 「俺の能力まで知っておきながら、それを言うか……」


 「えぇ。ですが、もしあなたが冷酷な暗殺者だったなら、今この場に私たちの首はなかったはずです」


 ――彼が手を下さない理由。それは、ヒロユキたちの中に“たまこ”がいるからだ。

 ユキはそれを知っていた。たまこの存在がなければ、今ごろ皆殺しにされていただろう。


 「……兄者が俺を見つけられたのも、お前の仕業か?」


 「はい。あなたが命日になると、あの道場にバンガさんを見に来ることを利用しました」


 「……それを、なぜ知っている?」


 「さあ……本人が、つい話したんじゃないですか?」


 「……もういい。君と話すことはない。――それで」


 レナノスはたまこに目を向けた。


 「……君が、救難信号を出したのか?」


 「…………えぇ」


 「自分が何をしたか、わかっているのか?」


 たまこは無言で、しかし強く頷く。


 「……そうか。君は俺の命の恩人だ。戦いたくない。……此方へ来い、たまこ」


 「……迷っていたのだけど……」


 「?」


 「一緒に、戦えないかしら~?」


 「……誰と?」


 「……魔神よ」


 その言葉が出た瞬間、レナノスの空気が変わった。


 「……何を、言っている」


 「私たちが力を合わせれば、魔神にも――」


 「黙れ!」


 「っ!?」


 声と同時に、全員が“逆鱗”に触れたと理解する。


 「魔族が、世界中で怯えている……! 生き残った者たちは、洞窟に身を潜め、自分たちが滅ぼされる日をただ待っている!」


 「そ、それは――」


 「それが、なんだ? 確かに魔族の中には、人間を虐げた者もいた。だが、そいつらは魔族の中でも犯罪者として扱われ、俺たち自身の手で裁いていたんだ!」


 「……」


 ヒロユキたちは言葉を失う。

 だが、何かが違う……そう思った時には、もう遅かった。


 「……構えろ。お前たちは、壊しすぎた」


 レナノスが小刀を構えたと同時に、たまこ以外の全員が戦闘態勢に入った。


 「影が少なくとも俺はお前たち如きには負けんぞ」






 レナノスの手の紋章が光出してヒロユキパーティーとの戦闘が開始された。













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