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第472話 『未来視』が見たユキ

 「みんな!」


 ヒロユキたちは鏡から飛び出し、ウジーザスたちの前に立ちながらも、まずはアオイに反応する。


 「……久しぶりだな」


 「やっほー、お姉ちゃん」


 「お久しぶりです、アオイさん」


 アオイ、ヒロユキ、ジュンパク、トミー、ユキ──それぞれが戦闘態勢を取り、互いに呼吸を合わせる。だが、ウジーザスはまっすぐユキだけを見つめた。


 「あなた……まさか__」


 「すみません。その話をするのなら、全部包み隠さず話します。でも、ここじゃなくて……ちゃんとした場所でお願いします。理由は……あなたなら、わかるはずです、ウジーザスさん」


 「……」


 「どうでしょう?私もウジーザスさんも、悪い条件ではないと思いますが」


 「……わかりました。たまこさん」


 「は、は〜い〜?」


 突然話を振られて、たまこは少し驚いたように返事をする。


 「アナタが今、どちら側に付くかは問いません。──その代わり、レナノスを治療してあげてください。それで今回は、見逃しましょう」


 たまこはユキに視線を向けると、ユキは無言で頷いた。


 「……分かったわ〜」


 たまこが倒れているレナノスに向けて手をかざすと、彼の上に魔法陣が展開される。それは静かに下へと降り、レナノスの身体を通過していく。


 その瞬間──レナノスは立ち上がった。


 「え、えぇ!?あんな遠隔で全回復!?なに、ターンアップみたいな感じ!?」


 アオイだけが騒いでいるが──誰も相手にしていない。


 「…………」


 「レナノス、今すぐ私とマーク、そしてそこの背の小さな魔法使いを“影移動”で初期アジトまで運びなさい。絶対に他の者には攻撃しないこと」


 「………………御意」


 レナノスは一瞬でウジーザスの元へと移動し、マークもその場へ歩み寄る。


 そして──


 「……ユキ」


 ヒロユキが声をかけると、ユキは彼を見て静かに言葉を返す。


 「ヒロユキさん。今後のことは、アオイさんに従ってください」


 「……え?」


 「えぇ?」


 予想外の言葉に、ヒロユキもアオイも同時に困惑の声を上げる。


 「それだけです。ジュンパク!」


 「は、はいアネキ!」


 「……期待してますよ」


 「…………」


 それだけを告げて、ユキは静かにウジーザスのもとへ歩み寄った。


 「では、行きましょう」


 「はい」


 夜の闇が蠢き、4人を包みこむと──彼らの姿は、地面に溶けるように消えていった。




 …………敵のいなくなった闇に、しんと静寂が広がっていく。






 「あー、えっと……」


 静寂を破ったのはアオイ。







 「とりあえず、みんな……ウチ来る?」










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