「みんな!」
ヒロユキたちは鏡から飛び出し、ウジーザスたちの前に立ちながらも、まずはアオイに反応する。
「……久しぶりだな」
「やっほー、お姉ちゃん」
「お久しぶりです、アオイさん」
アオイ、ヒロユキ、ジュンパク、トミー、ユキ──それぞれが戦闘態勢を取り、互いに呼吸を合わせる。だが、ウジーザスはまっすぐユキだけを見つめた。
「あなた……まさか__」
「すみません。その話をするのなら、全部包み隠さず話します。でも、ここじゃなくて……ちゃんとした場所でお願いします。理由は……あなたなら、わかるはずです、ウジーザスさん」
「……」
「どうでしょう?私もウジーザスさんも、悪い条件ではないと思いますが」
「……わかりました。たまこさん」
「は、は〜い〜?」
突然話を振られて、たまこは少し驚いたように返事をする。
「アナタが今、どちら側に付くかは問いません。──その代わり、レナノスを治療してあげてください。それで今回は、見逃しましょう」
たまこはユキに視線を向けると、ユキは無言で頷いた。
「……分かったわ〜」
たまこが倒れているレナノスに向けて手をかざすと、彼の上に魔法陣が展開される。それは静かに下へと降り、レナノスの身体を通過していく。
その瞬間──レナノスは立ち上がった。
「え、えぇ!?あんな遠隔で全回復!?なに、ターンアップみたいな感じ!?」
アオイだけが騒いでいるが──誰も相手にしていない。
「…………」
「レナノス、今すぐ私とマーク、そしてそこの背の小さな魔法使いを“影移動”で初期アジトまで運びなさい。絶対に他の者には攻撃しないこと」
「………………御意」
レナノスは一瞬でウジーザスの元へと移動し、マークもその場へ歩み寄る。
そして──
「……ユキ」
ヒロユキが声をかけると、ユキは彼を見て静かに言葉を返す。
「ヒロユキさん。今後のことは、アオイさんに従ってください」
「……え?」
「えぇ?」
予想外の言葉に、ヒロユキもアオイも同時に困惑の声を上げる。
「それだけです。ジュンパク!」
「は、はいアネキ!」
「……期待してますよ」
「…………」
それだけを告げて、ユキは静かにウジーザスのもとへ歩み寄った。
「では、行きましょう」
「はい」
夜の闇が蠢き、4人を包みこむと──彼らの姿は、地面に溶けるように消えていった。
…………敵のいなくなった闇に、しんと静寂が広がっていく。
「あー、えっと……」
静寂を破ったのはアオイ。
「とりあえず、みんな……ウチ来る?」