《アオイ家》
「ただいま〜」
「ふむ、おかえり」
俺が帰ると、師匠が椅子に座って酒をちびちび飲みながら出迎えてくれた。
あのお酒……日本酒みたいな味で俺のお気に入りなんだけど飲み干されてないかな……まぁ、師匠が飲んでるから文句言えないけど。
「師匠、ちょっとお客さんが来てるんですけど、大勢なんですよね」
「ふむ、儂は帰った方がよいかの?」
「いえ、できれば師匠にも居てほしいです。たぶん、かなり関係ある話になると思うので」
「……ほう?」
俺の家はそんなに広くないから、今はみんな外で待ってもらっている。
「ってことで、師匠も外へどうぞ」
「そうじゃのう」
そう言いながら、師匠は「よっこらしょ」と本当にお爺ちゃんみたいに椅子から立ち上がる。
いや絶対そんな演出いらないでしょ!?この人、ほんとは超絶動けるはずなんだけどなぁ……。
師匠と一緒に外に出ると、真っ先に気づいたのはジュンパクさんだった。
「師匠!? お久しぶりです!」
「ほう、久しぶりじゃのう、ジュンパク」
「えぇ!? えぇ!? えぇっ!?!?」
その呼び方ってことは……もしかして!
「ジュンパクさんも、《龍牙道場》の出身だったんですか?」
「そうだよ? あれ? お姉ちゃん、知らなかったの?」
「う、うん……」
「ええ〜!? ユキのアネキが言ってくれてるかと思ってた……うぇ〜ん」
「うぉっ」
ジュンパクさんは棒読みみたいな泣き声をあげながら、俺に思いっきり抱きついてきて、胸に顔をうずめてくる。
「たまらんなぁ、クンカクンカ……ぐへへ、ふへ……」
「あ、相変わらずですね……」
「……ジュンパク」
「……あ、ごめんアニキ。久しぶりだったから、つい……」
ヒロユキの冷たい声に気づいて、ジュンパクさんはもう一度俺をぎゅーっと抱きしめてから、ようやく離れた。
「……アオイ、これからどうする?」
弟に呼び捨てにされるのって、今さらだけどなんか変な気持ちだな。
「とりあえず、幸いにもここに《六英雄》が3人もいるし。しっかり話を聞いてからかな」
「………………アオイ」
「ん?」
「……《六英雄》って何なんだ?」
「ミーも噂でしか聞いたことないー!」
「え……」
う、嘘でしょ!? パーティーメンバーにたまこさん居るのに!?
……いや、でもよく考えたら、俺も必死に情報集めても出てこなくて、詳しく知ったのは魔王からだったし。
師匠が六英雄ってのも最近知ったばっかだし……そうか、案外そんなもんかも。
「ホッホッホ……まずは、それを話すところから始めんとなぁ、たまこ」
「そうね〜……ここまで来たら、隠してても仕方ないものね〜」
「うんうん、話も長くなりそうだし、ちょっと待ってて」
俺は神速を使い、みんなの分のイスと《焼肉セット》、それからお酒を取り出してサッと並べた。
きっとみんなから見たら一瞬の出来事だったろう。
「とりあえず、お腹減ってるよね? まぁ、焼肉で小腹を満たしながら……お酒でも飲んで、落ち着いて話そうよ」
──よーし、二次会だ! ……じゃなくて、作戦会議の始まり、ね!
飲むぞ〜