《ナルノ海岸》
リュウトはパーティーメンバーを集合場所に連れてきていた。
「うわぁ、すごいですね」
海岸を埋め尽くすほどの人達、それぞれが自分達のパーティーメンバーと【光源】を囲って話している。
「ヒロユキに聞いた話だとほとんどが魔族の存在を知っている人達みたいだ」
「なるほど、それなら話は早いですね」
「…………」
みやはこの戦いが決まってからと言うもの、黙っている事が多くなった……事情を知っているアカネ達は下手に声をかけない様にしている。
「……それより、本当にいいのか?」
「ん?」
「この戦いは、これまで以上に激しくなる……引き返すなら今だ。遠慮はいらない……むしろ、ここまでついて来てくれて……ありがとう」
「「「……」」」
リュウトの静かな問いかけに、場が一瞬、沈黙に包まれ――
「なーに言ってんのよ」
バンッと、アンナがリュウトの背中を叩く。
「確かに最初は“記憶を取り戻すまで”って言ってたけどさ。ここまで来てんのよ? 最後までアンタに付き合うに決まってるでしょ」
「アンナさんの言う通りですよ! 私だって、奴隷じゃなくなっても……リュウトさんに一生ついていきますっ!」
「ますたーの子ども作るまではついてくよ〜」
「みんな……後、どさくさに紛れて何言ってんだあーたん」
「えへへ……」
リュウトは、静かにみやへと視線を向ける。
「……みや」
「う、うんっ、リュウトっ、私もリュウトと――」
「……無理しなくていい。お前はユキと一緒に残れ」
「え……?」
「魔神が、怖くてたまらないんだろ? だから……お前はユキと部屋で、留守番しててくれ」
「……リュウトっ…………うんっ…………」
その言葉にみやの心に芽生えたのは――怒りではなかった。
胸を締めつけるような、深くて重たい……悲しみ。そして、絶望。
涙がこぼれそうになるのを堪えて、顔を俯かせた。
「……がんばっ、てねっ……」
みやは、一人。
トボトボと町へ帰って行った――。