早朝、家の中で多人数で階段を上る激しい足音がした。勝則がまどろんでいると、沙耶が耳元でささやいた。「兄さん、どんな形で離れ離れになっても必ず会いに来て、私たちは待ってるから。兄さんならできるわ。」
勝則が返事をする間もなく、部屋のドアが開けられた。すぐに勝則は二人の体の大きな男に取り押さえられ、何を言う間もなく家の外に連れ出された。その間、沙耶と伽耶はそれぞれ女性に押さえつけられて身動きができなかった。
勝則は父親の言っていたオルタナティブスクールに連れていかれたのだろう、と沙耶と伽耶は思った。
責任者らしき男が達也に書類を差し出した。達也はサインをして男に返した。勝則は黒いワンボックスカーに乗せられ、連れられて行った。