エリザベートとマルグリットの間で密かに進められていた王位継承を巡る陰謀は、ついに動き始めた。二人はそれぞれの勢力を結集し、互いに牽制し合いながらも、共通の目標である「リアナの排除」に向けて手を組む。
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宮廷の密談
ある夜、エリザベートは自分の派閥に属する貴族たちを集めて会合を開いた。部屋の中には、高位貴族や影響力を持つ宮廷官僚たちが顔を揃えていた。
「諸君、リアナの存在がどれほど無益であるかは、ここにいる全員が理解しているはずです。」
エリザベートの言葉に、貴族たちは頷いた。彼らの表情には、リアナに対する軽蔑が浮かんでいる。
「しかし、リアナが無能であれば問題はない。だが、あのような存在がこの継承争いにおいて利用される危険性を考えると……無視はできません。」
エリザベートは冷たい視線を貴族たちに向けた。
「ですので、リアナが公の場から排除される必要があります。そのための策を、皆で考えていただきたいのです。」
エリザベートの提案に、貴族たちは互いに顔を見合わせた後、次々と意見を出し始めた。彼らの中には、リアナを公開裁判にかけるべきだという声もあれば、密かに失脚させるべきだという意見もあった。
「リアナを裁判にかけるには、何らかの罪状が必要です。ですが、あの子は目立たない存在でありながら、意外にも過ちを犯していません。」
エリザベートは冷静に議論を取りまとめつつ、自分の計画を練り直していた。
その場にはいなかったが、第二王女マルグリットも同様に、自分の派閥を動かしてリアナを排除する計画を進めていた。二人の王女が互いに競い合いながらも、目指す方向が一致しているため、その動きは徐々に大きな力となりつつあった。
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リアナへの嫌疑
一方、リアナはその日の夜、自室で侍女セシリアから報告を受けていた。セシリアの顔は緊張でこわばっており、声には焦りがにじんでいる。
「リアナ様、姉上方が、あなたに反逆の罪を着せる計画を進めているようです。」
リアナは冷静にセシリアを見つめた。
「反逆の罪……ですか?」
セシリアは頷き、さらに説明を続けた。
「ええ、何らかの証拠を捏造し、あなたが父上を裏切ろうとしていると宮廷内で広めるつもりのようです。」
リアナはしばらく黙り込んだが、やがて静かに口を開いた。
「姉様方らしい手ですね。ですが、それが成功するとは思えません。」
その言葉にセシリアは驚いたような表情を浮かべた。
「しかし、もし証拠が捏造されれば、リアナ様は……!」
リアナは微笑みを浮かべながら、セシリアを落ち着かせるように言った。
「安心しなさい。私は既に姉様方の動きを察知しています。それに、このような状況に備えて、私にも手はあります。」
リアナの落ち着いた態度に、セシリアは少し安堵したようだった。
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姉たちの策略の裏側
エリザベートとマルグリットは、それぞれ別々の手段でリアナを追い詰めようとしていた。エリザベートは、王国の保守派貴族と結託し、リアナが密かに他国と接触しているという捏造した証拠を準備していた。一方で、マルグリットは民衆の信頼を利用し、リアナが王国の資源を私的に流用しているという噂を流す計画を進めていた。
「リアナが表向きは無能だと見せかけていることを利用するのよ。」
マルグリットは自らの侍女にそう言いながら、微笑んでいた。
「民衆は無能な者を信じません。そして、それが逆に嘘を隠すための偽装だと考えたとき、一気にリアナへの不信感が高まるでしょう。」
彼女は、自分の計画が成功することを確信しているかのようだった。
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リアナの反撃
翌日、リアナは密偵のオスカーを呼び、姉たちの動きをさらに詳細に調査するよう指示を出した。オスカーはリアナの指示を受けると、すぐに動き始めた。
「リアナ様、エリザベート様の計画には、いくつかの矛盾点があります。それを利用すれば、彼女たちの策略を崩せるでしょう。」
オスカーの報告に、リアナは静かに頷いた。
「彼女たちが捏造した証拠を逆手に取ります。それを利用して、彼女たち自身を追い詰めましょう。」
リアナの目には、冷静で鋭い光が宿っていた。
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策略の発動
数日後、エリザベートとマルグリットは宮廷の重要な会議で、リアナに対する嫌疑を表明しようと計画していた。しかし、その前にリアナは動いた。
リアナは自らの情報網を使い、姉たちの捏造した証拠を事前に入手していた。それを基に、彼女たちが陰謀を企てていることを示す証拠を準備し、さらに王宮内で信頼できる勢力を味方につけていた。
「姉様方、私を無能と侮っているようですが、それは大きな間違いです。」
リアナは小声でつぶやきながら、決戦の準備を整えた。