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第16話信念

 渡り廊下には俺と加豪の二人きり。天気はいいが人がいないのでここは静かだ。渡り廊下の屋根の下、日陰の中で俺たちは向かい合い、最初に口を開いたのは加豪だった。


「話は分かった。でもどうして私を誘ったの?」

「難しい質問だな」


 改めて考えると悩むところだ。明確な理由があったわけじゃない。ただ、


「ぶっちゃけお前とは喧嘩した。お互い初対面の印象は最悪だろう。だけどその後で謝っただろ? きっとそれでだ。一切話もしたことない相手よりお前の方が誘いやすいと思ったんだよ」


 理由なんてきっとそれくらい。口にして思ったがそれだけの仲でしかないんだよな、それで誘う俺もどうかしてる。


「そう」


 告白に加豪は小さく頷いた。そうして俺を真っ直ぐ見つめる。


「なら答えを返すけど」


 口調は冷たい。腕を組む姿勢にも親しみは感じない。


「答えはノーよ」

「ああ、だと思ったよ」


 俺は両手を上げてから落とした。態度からして分かる。お前が素直に受けてくれないことは。


「納得したなら帰るわよ?」

「いや、しないね」

「は?」


 加豪の眉間に皺が寄る。静かに見てくるだけの視線が険しくなった。


「どうして? 以前のことで私にも非があったのは認める。でも、あんたを認めたわけじゃないわよ、勘違いしないで」

「分かってる。でも頼む。お前が嫌いなのは俺だけだろ? ミルフィアはそうじゃないはずだ。お前は俺のことが嫌いだろうさ、無信仰者だからな。誰からも無視されて時には石を投げられて、親からだって見捨てられた。はっきり言って辛かったさ。だけどミルフィアだけは傍にいてくれたんだ。それでめちゃくちゃ救われた。なのにミルフィアには友達がいない。こんなにもいい奴なのにだ。だから頼む、俺のためじゃない。ミルフィアのために付き合うだけでいいから付き合ってくれ!」


 頭を下げて、俺は加豪に頼み込んだ。誠意とミルフィアへの思いを念じるように伝える。


「それは本気?」


 顔を上げる。そこにいる加豪の顔は精悍としていて、鋭い視線は俺の真意を問うているようだった。


「どういう意味だよ?」


 俺の問いに加豪はすぐに答えない。沈黙がしばらく流れ、それでようやく口が開いた。


「私はね、今までの人生において信仰に従い自分を鍛えてきた。そこには辛いことも苦しいことあったけど、それでも耐えてきた。辛かったけど、嫌だとは思わなかっわ。それらが今の私を作っているから」


 加豪の告白。言葉は聞いているだけでは分からないが、その裏では想像以上の努力をしてきたんだろう。


「あんた言ったわよね、誰からも無視されて石を投げられたって。ならそれを糧にして自分を強くすればよかったのよ。なのに辛いと嘆くだけで何もしなかった」


 それはあくまでも琢磨追求ならの話だ。けれど、それもまた事実には違いない。


 己を強くすることで苦痛を無くす神理。加豪はそれの信仰者だ、弱音は許されない。


「信仰のない者は弱い。信じるべきものがないからすぐに諦める。あんたがその子をどれだけ大事に思ってるのか知らないけれど、無信仰者のあんたじゃ私を動かすのは無理よ」


 強者が弱者に抱く傲慢のような、しかし加豪が言うとそれが嫌味にならない。それだけに加豪の言い方には迷いがなかった。自信があるんだろう、自分を信じる心の強さに。


「どうせすぐに諦める。無信仰者なんてそんなものよ」


 まるで鋼の女だ。


 加豪は腕を組んだまま目を瞑る。弱い俺を取るに足らない存在だと突きつける。


「なるほど、お前の主張はよく分かった。琢磨追求のお前らしい意見だ。でもな、勘違いしてるぜ」


 そんなこいつに、俺は言ってやる。


「この想いだけは何があっても諦めない!」


 加豪の目が開く。その瞳に真っ直ぐと、刺し貫くほどの視線を送り返してやる。


「無信仰者は弱い? すぐに諦める? ハッ! なら試してみるか? 俺が本気だってことを認めればミルフィアの誕生会に参加してくれるんだな?」

「出来るならね」

「出来るさ」

「口先だけは一人前ね」

「なら実演といこうか?」

「好きにすれば?」


 そう言って加豪は踵を返し廊下へ歩き出した。まっすぐな背中は今も確信に満ちている。


 けれど俺は追いかけ、加豪の肩を掴んだ。


「頼む」

「放して」


 加豪の足が止まる。それで半身だけを俺に向け、鋭い視線を向けてきた。


「言っておくけど、琢磨追求は鉄拳制裁なんて日常茶飯事よ。慈愛連立なら暴力とか騒ぐだろうけど、琢磨追求なら殴るくらい当たり前なの。今すぐ放して」

「断る」

「本当に殴るわよ?」

「やれよ」


 加豪の視線を真っ向から受け止める。負けてたまるかと視線をぶつけ合った。


「そう」


 すると加豪の表情から力が抜け、次の瞬間、カッと見開いた。


「そこまで馬鹿とは思わなかったわッ」


 肩を掴んだ手を外される。そして飛んできたのは右ストレート。拳骨が視界を覆う。


「がっ!」


 頬に拳がめり込む。衝撃に体が揺れ、痛みと共に視界が揺れた。足が崩れ地面に腰をつく。


「あんたが強引なんだから、悪く思わないでね」


 そう言い残し、加豪は再び背を向け歩き出した。が、


「おい、なに手ぇ抜いてんだ……?」


 俺は立ち上がり、加豪の肩を掴んだ。


「お前に突き飛ばされた時の方が強かったぜ?」


 頬の痛みを無視して不敵に笑う。そんな俺を加豪が不機嫌そうに睨んだ。


「あんたねえ、本気で殴られないと分からないの? 下手すれば死ぬわよ? それでも諦めないって? なにも信じていないんだからさっさと諦めればいいでしょう」

「しないね」

「どうして?」


 俺の手を振り解き加豪が距離を取る。その表情には眉間に皺が寄っていた。意外なのだろう、加豪の価値観では無信仰者がここまでする道理がない。


「どうしてそこまでするの? あんたは琢磨追求じゃない。そこまで出来るほど強くもないしなる必要もないでしょう。現に、あんたは無信仰者の境遇を辛いと思っていた。そんなあんたがそこまで出来るの?」

「出来るさ」

「何故?」


 加豪からの質問に、俺は覚悟を込めた。


「ミルフィアのためだからだ!」


 ここにはいない彼女のことを想う。そして今までしてくれた感謝を思い出す。


「俺はミルフィアの誕生会を開くと誓った。そのためなら恥も痛みも受け入れてやるさ屈するもんか。誰に殴られようと俺は諦めねえ」


 それだけで、俺の意志は鋼すら超えていく。痛みなんて痛くない!


「無信仰者でも『信念』ならあるんだよ!」


 あいつにもっと笑って欲しいと決めた時から、この信念が折れることなどあり得ない。


「てめえにだって俺は止められねえぞ、加豪」


 宣戦布告するように、俺は指を突き付けた。


「…………」


 加豪の表情は変わらない。仮面のような顔のまま俺を見つめるだけだ。


 だが、鉄のような顔の口元が、少しだけ持ち上がったのだ。


 加豪が微笑んでいる。目もどこか優しい。そして視線を俺から切ると青空に向けた。


「琢磨追求は己を鍛え強くする神理。なのに、信仰を持たないあんたは人のために強くなると言うわけ」


 加豪は肩を竦め、その後俺を見た。


「分かったわ。その誕生会、私も参加する」

「マジか!?」

「マジよ」


 どこか呆れたように、けれどフッと笑って、加豪はそう言ってくれた。


「でも勘違いしないでよ。私が参加するのはあのミルフィアって子が不憫だから仕方なくよ。今でもあんたが問題を起こすようならただじゃおかないからね」

「殴っておいてよく言うぜ」

「なに?」

「分かった分かった、後のことは好きにしろ。その代わり」

「分かってるわよ」


 加豪が参加を約束してくれた。やった。痛みの残る頬を擦りながら笑みが零れる。これで四人、誕生会として最悪ということはないはずだ。目の前では加豪がツンとしているが、俺の本気に応えてくれた。

 喧嘩して、謝って、そして誕生会か。初めて会った時には想像も出来ないよな。


 ただ、また問題を起こしたらただじゃおかない、か。厳しいのは相変わらずだ。おそらく本気だろうから気をつけないとな。


「おい」


 と、背後から声をかけられ振り向いた。そこには仲間を連れて、不良の熊田銀二(くまだぎんじ)が立っていた。


「先日の借りを返えしにきたぜ」


 さっそく問題きたぁあああ!


「神愛、これはどういうこと?」

「いや、これは~……」


 いやいやいや、これはちげえよ悪くねえよ! 俺は人を助けたんだからむしろ褒められることをしたんだよ、誰か説明してくれ。恵瑠ぅ! 恵瑠はどこだ!?


「ようイレギュラー、この時を待ってたぜ」


 大柄な銀二が近づき俺を見下ろしてくる。なんともゲスい笑顔だ。


「それでだ、なあ神愛くぅん。ここどこだか知ってるぅ? 学校。そんな場所に無信仰なんて悪い子いちゃ駄目だよねえ? だからお前、今から退学届出してこい。僕は神を信仰しない悪い子なので学校を辞めますってな。プッ、はっはははは!」


 あざ笑った話し声が鼻先に吹きかかる。仲間からも爆笑が聞こえてきた。


「なるほど。まああんたらのことを腰抜けとか言って悪かったよ。ただあんただって一人の女の子を囲って脅してたんだ、ここはお互い様ってことで穏便に済まさないか?」

「ああッ!?」


 俺としては問題をこれ以上表面化したくないというか、加豪の目の前で荒立てたくない。だから言ったんだが、途端に銀二の顔が歪んだ。


「無信仰者が誰に向かって言ってんだ、弁えろボケ!」

「いや、だからさ」

「無信仰者のクズが、やんのかオラ!」

「そうじゃなくて、そっちにも非はあるんだから」

「黙れ! てめえはさっさと退学届出してこればいいんだよ、そうじゃないと痛い目みるぜ? はっはははは!」

「…………」


 ちっ。


「なあ、お互いに問題があっただろ? それにもとはと言えばお前らが恵瑠を脅してたのが悪いんだろが」

「うるせえ! 無信仰者の分際で言い訳してんじゃねえぞ!」

「…………」


 おいおい、ちょっと待てよこいつ。なに自分のこと棚に上げて言いたい放題言ってんだよ。


「はあー、そうかよ」


 やれやれと思いながら答えを返す。駄目だこいつ、話にならん。両手を持ち上げブランと下げた。


「ならはっきり言ってやる。俺は退学届なんか出さない、まだやるべきことが残ってるんでね」

「んだと!?」


 銀二だけでなく後ろの連中からも怒声が聞こえてくる。


「いいかよく聞け教えてやる。俺は生まれつき無信仰だがお前らは生き方が意地汚いクズだ。他人を馬鹿にして自分が偉いと思ってるお勘違い野郎。俺とお前らの違いを教えてやろうか? 信仰のあるかなしかじゃない。お前らは弱い奴にしか噛み付けない臆病者だが、俺は世界中の相手だろうが喧嘩が出来る。退学届を出してこいだと?」


 軽口を言うが顔には亀裂が入る。目の前の馬鹿どもを睨み上げ、最後には大声で叫んでいた。


「喧嘩売る相手間違ってんじゃねえぞ! 一人でも生きていける俺様を神におんぶに抱っこでおまけに群れてやがる雑魚が調子に乗ってんじゃねえ。やれるものなら力づくでやってみろ!」

「あああっ!?」

「おおおっ!?」


 それが引き金だった。銀二たちが襲い掛かってきた。いいぜ、俺は絶対に諦めねえぞ!


「待ちなさい!」


 だが、今まで静観していた加豪が割って入ってきた。


「加豪、お前……」


 意外だった。まさか加豪が止めに入るなんて。


「琢磨追求……、先輩ですね。すみませんけどそいつ返してもらっていいですか?」


 すると加豪は俺の手を取り、答えを聞く前に歩き出した。


「おい加豪」

「いいから。それに無信仰者のあんたが戦っても勝てるわけないでしょ」

「なんでお前……」


 次に問題を起こしたらただじゃおかないと豪語した加豪には不似合な行動に戸惑ってしまう。彼女の横顔に聞くが、加豪は前を向いたままだ。


「事情は分かった。それに」


 加豪は振り返らない。けれど答えてくれた。


「約束は守るほうよ」


 約束。ミルフィアの誕生会に参加してくれること。同じ信仰者を前にしても約束を優先してくれた。加豪は厳しいがそれは自分に対してもで、義理堅い性格だった。


 こいつ、案外良いやつじゃねえか。


「おい、誰がいいなんて言ったんだ?」


 だが銀二は見逃さなかった。加豪は立ち止まり俺と二人して振り返る。


「無信仰者にこっちは喧嘩売られたんだぞ!」

「ああ!? 誰が売っただと!? てめえだろうがボケエ!」

「神愛!」


 加豪が俺の手を引っ張るがこいつ許さん!


「ふざけんなよオラ! なにが信仰者だ、てめえらなんてただのチンピラだろうが。ああ!? やんのかオラ!? オイ! やんのかオラ!?」

「神愛、それじゃあんたがチンピラよ……」


 銀二の言葉に噛み付くが加豪が制止する。その後俺の前に立ち銀二たちに立ちはだかった。


「すみませんけれど、そいつとは約束があるんです。それを果たすまでは退学には出来ません。琢磨追求を信仰する者として、どうかご理解下さい」

「ああ~?」


 加豪が銀二に頼み込む。しかし銀二は眉を大きく曲げて加豪を見た後フンと鼻で笑ったのだ。


「黙ってろ女! こいつ叩きのめしててめえが強いって証明しなくちゃ、こっちは神に顔向けできねえんだよ! お前はすっこんでろ、弱い女が!」

「……なんですって?」


 瞬間、加豪の声が鋭くなった。


「……女が、弱い?」


「ん、加豪?」


 俺の前には加豪の背中があるが、なんだか震えていた。手が拳になっている。


「あの、加豪さん?」


 心配になって手を伸ばすが、その前に加豪は歩き出した。


「言ってくれるわ。こっちは穏便にこと済まそうと頑張ってたんだけど、今のは私の信仰を否定する発言だわ。撤回するか、さもないと」


 加豪がゆっくりと銀二に近づき、戦意を充満させた目で睨みつけた。


「力づくで後悔させるわよ?」

「おおっ!?」


 いや、なんでお前がやる気なの!?


 加豪からの挑発に全員が敵意丸出しだった。それでも加豪はやる気満々で「やれるものならやってみなさい、返り討ちにしてやるわ!」と望むところよという感じだ。すでに加豪対銀二たちといった具合ですっかり喧嘩モードになっている。ていうか。


「あのー!」


 片手を上げながら入り込む。


「なんでお前らがやる気満々なんだよ!」


 いつの間にか蚊帳の外なんだけど。


 そんな俺に加豪が振り向いた。


「すっこんでて神愛。これはもう私とこいつらの喧嘩になったの。あんたは関係ないからどっか行っていいわよ」

「はああああ!?」


 なんだそれ!? なんで俺とこいつらの喧嘩がお前のものになってんだよ!


「ふざっけんな! 後から来たお前になんで俺が指図されなきゃならないんだよ! お前が部外者だろうが!」

「あんたねえ、今のやり取り見てなかったの? いいからあっち行ってなさいよ!」


 加豪は言い捨てると背を向けた。なんていうかアウト・オブ・眼中ていう感じ。


 いいよいいよ、そっちがその気なら俺だって好きにするよ。


「あー、そうかいそうかい、分かりましたよ。加豪さんは人の喧嘩を横取りするほど喧嘩が大好きみたいだ。頑張ってね。ほれ、丸腰の相手だ。お前の得意な刃物ちらつかせて脅してやれよ、あれは効果的だぜ?」

「あんたも根に持つわね~!」


 すると加豪が振り向いた。苛立ちを露わにしてるが、んなもんお前のせいだろ!


「当たり前だろうが! 子供の喧嘩に長物なんか持ち出しやがって、頭おかしいんじゃねえか!?」

「あれは! あんたが口で言っても聞きそうになかったし、下手に殴り合っても仕方がないから私なりに無傷で収めようと、そう思っただけで。別に喧嘩が好きとか頭がおかしいわけじゃないわよ!」

「頭がおかしい女はみんなそう言うんだよ」

「なんですって!? さっきからいい加減なこと言わないでくれる!?」

「オウイェ~。オウイェ~。なら話を整理するぞ? 君はぁ? 子供の喧嘩を終わらせるために刃物をチラつかせて脅してくるだけの、至って、普通な、女の子だよ~。ハッ、これで満足かよヒステリック刃物女」

「はあああ!? いい度胸してんじゃない、表に出なさい、速攻で叩き潰してやる!」

「すでに表だバーカ!」


 俺と加豪で睨み合う。額が触れそうな距離まで顔が近づき、視線をぶつけ合った。


 そんな俺たちに銀二が近づいて来る。


「おい、お前ら俺たちを無視して――」

「「うるさい、引っ込んでろ!」」

「ひっ!?」


 二人同時に邪魔な銀二を怒鳴りつける。あまりの迫力に短い悲鳴が上がっていた。


 その後俺たちは視線を戻すが、しばらくしてどちらからともなくスーっと顔を退いていく。


「まあいい、お前との決着は後だ」

「そうね、まずは片付けるのが先か」


 と、互いに方針を確認し合って。


 俺たちは並んだ。互いの敵を倒すべく、今まで睨み合っていた瞳が同じ方向を向いたのだ。


 挑む姿は勇猛果敢。片や威風堂々。共通の敵を前にして、かつては喧嘩した者同士が共闘する。


「来いよ信仰者、神様に泣きつく用意はいいか?」

「琢磨追求は強くなることが目的だけど、それは誰かと比較して優位になることじゃない。己を鍛えろ」


 負ける気など微塵もない。勝利を信じて疑わぬ意思で、俺たちは連中と対峙した。


「くそ、ふざけんなよ、こんなッ……! 舐めやがって!」


 俺たちの態度に銀二が怒り心頭している。だが、言葉とは裏腹に声は震えていた。虚勢を必死に張っているが今にもメッキが剥がれそうだ。


「負けてたまるか! 強く、強く、もっと強くぅう!」


 しかし、余裕で構えていたが銀二の上げた一声で雰囲気が豹変した。銀二は頭を抱え大きく体を振り始めたのだ。


「どうしたんだこいつ?」


 銀二は狂ったように全身を動かし奇声まで出し始めた。かなりやばい雰囲気だ。


 その時だった。加豪が慌てた声で叫んだ。


「こいつ、まさか『狂信化』してる!?」


「おい、なんだよ一体!?」


 狂信化。聞いた事がない、どういうことだ?

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