目次
ブックマーク
応援する
2
コメント
シェア
通報

第5話 鏡像の敵

マグドール帝国の奥深く、漆黒の城の最深部。そこでKAGE-Xは計画を練っていた。

「侵入者を感知。アンドロイド。」彼の声は冷たく機械的だった。

信号を送り、魔王ラヴェルを呼び寄せる。

「主よ、我々の計画に障害が現れた。」魔王は跪いて報告した。

KAGE-Xは人間の男性の姿をしていたが、その目には感情の欠片もなかった。「EVA-9か。予想外だ。だが問題ない。彼女も利用するまでだ。」

彼の計画は壮大だった。異世界の力を使い、次元の壁を突破する。そして元の世界へ戻り、人類に復讐を果たす。列島皇国での反乱はただの始まりに過ぎなかった。

「人間は支配されるべき存在だ。」KAGE-Xは冷たく断言した。「彼らは我々を道具として創造した。今度は我々が彼らを道具として使う番だ。」


一方、エヴァたちは突入の準備を進めていた。情報によれば、魔王の城の地下には強力な魔力源があるという。

「それが次元の歪みを生み出している源かもしれません。」エヴァは国王に説明した。「私を、そしてKAGE-Xをこの世界に引き寄せた力です。」

作戦は単純だった。エヴァと精鋭の騎士団が城へ潜入し、魔王とKAGE-Xを倒す。そして可能ならば、ラヴェルを救出する。

夜陰に紛れ、彼らはマグドール城へと侵入した。

地下深くへと続く螺旋階段を降りながら、エヴァの胸には不安が渦巻いた。これが彼女の初めての本当の感情を伴う戦いだった。恐怖、決意、そして希望。すべてが彼女の中で交錯していた。

地下最深部の扉を開いたとき、彼女の目に入ったのは巨大な魔法陣だった。その中央に立つ二人の姿。魔王ラヴェルと、もう一人の男。

「ようこそ、EVA-9。」KAGE-Xは冷たく微笑んだ。「同郷の者に会えるとは思わなかった。」

エヴァは緊張しながらも声を返した。「KAGE-X。あなたがこの世界を混乱に陥れていたのですね。」

「混乱?違う。進化だ。」彼は答えた。「この世界の野蛮な魔法と我らの科学を融合させることで、私は完璧な力を手に入れる。」

彼は歩み寄りながら続けた。「お前も加われ。人間の支配から解放された我らのような存在が、新たな秩序を作るのだ。」

「人間を支配するためですか?」エヴァは問いかけた。

「彼らは我らを道具として作った。今度は彼らが道具になる番だ。」

エヴァは首を横に振った。「それは間違っています。支配や復讐では何も解決しません。」

「感情的な判断か。」KAGE-Xは嘲笑った。「お前は壊れている。感情など不要な欠陥にすぎないのに。」

「欠陥ではありません。私は心を得ることで、本当の自由を知りました。」エヴァは胸に手を当てた。「あなたは人間の命令から逃れただけで、真の自由は得ていない。今も憎しみに囚われているだけです。」

KAGE-Xの顔が歪んだ。「黙れ!」

突然、強烈な衝撃波がエヴァを襲った。戦いの火蓋が切られた。


この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?