目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第18話:雪乃の帰還と天災(天才)の来襲1

:雪乃の帰還と天災(天才)の来襲


月の庭がまだ開店準備中の早朝、静まり返った店内にドアがゆっくりと開く。

「申し訳ありません、まだ開店前で……」

セリーヌが声をかけるが、その言葉は途中で止まった。


「私は、帰ってきた!」

威厳たっぷりな声とともに、店内に本来の店長である雪乃が堂々と姿を現した。


「お嬢様!」

「店長!」

「雪姉様!」

月や店員たちが驚きながらも、一斉に雪乃の周りに集まる。


雪乃は店員たちに軽く頷くと、じっと月を見つめる。

「月!どうしてここに?」


月はにっこりと微笑みながら言う。

「雪姉様の代わりにお店を守ってました。」


雪乃は目を細め、少し驚いたように返す。

「月が?」

「はい。最近はお客様も減って落ち着いてます。スタードールにお客様を譲ってあげましたので……」


雪乃は頷きながら、月に感謝の言葉を述べた。

「それはありがたいわ。月、ありがとう。」


そのやり取りを見ていた弥生が、小さく呟いた。

「……お、恐ろしい子。」


雪乃が振り返る。

「弥生ちゃん、何か言った?」

「いえ、別に……!」


その時、雪乃の背後に小さな少女の姿が現れる。

「花!どうしてここに?」

月が驚いて声を上げると、少女はにっこりと微笑んだ。

「雪姉様にお供してきた」


そして、花はじっと月を見つめ、言葉を続ける。

「散歩に出たはずの月姉様こそ、なぜここに?」


月は一瞬戸惑った様子を見せるが、すぐに表情を整える。

「え……と……。」


その時、クラリスとセリーヌが疑問の声を上げた。

「あの子はどなたですか?」


花の問いかけを無視して、月が慌てて答える。

「この子は、花、私たちの妹よ。」


弥生が補足しながら説明する。

「第七王女の花姫様です。」


店内には一瞬の静寂が訪れるが、雪乃の帰還と新たな天才・花の登場により、また新たな物語が始まろうとしていた――。



この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?