弥生が保温ストレージを見つめながら、ふと疑問を口にした。
「しかし、こんなに重いものをよく持ってこれましたね?」
花は得意げに微笑みながら、布を広げて見せた。
「この布はね、重量制御ができるマジックバッグの一種なの。」
クラリスが目を丸くして布を指さした。
「つまり、この布で包めば重さを軽減できるということですか?」
花は頷きながら布を振り回してみせる。
「そういうこと!いくら重いものでも、この布を使えば羽のように軽くなるのよ。」
忍が思わず呟いた。
「それは……便利すぎる……。」
弥生がため息をつきながら感想を漏らした。
「保温ストレージだけでも驚きなのに、その運搬用の布まで作るなんて……本当に恐ろしい子ですね。」
花は軽く肩をすくめて答えた。
「便利でしょ?これがあれば、どんな重いものでも持ち運びできるから、移動中に困ることなんてないの。」
雪乃が感心したように布を手に取ると、その軽さに驚きの表情を浮かべた。
「確かに……全然重くないわね。本当に魔法って便利だわ。」
クラリスが半信半疑の様子で尋ねた。
「その布……私たちも使ってみてもいいですか?」
花は笑顔で頷き、布を渡した。
「もちろん!重いものを運ぶときに使ってみて。きっと感動するわよ!」
試しに布を手に取ったクラリスが、近くにあった重い鍋を包む。すると、鍋がまるで空っぽの箱のように軽くなった。
「本当に軽い……これなら、大きな鍋や食材を運ぶのも楽々ですね!」
店員たちは驚きと感心でしばらく呆然としていた。雪乃は、花の発明の才能に改めて感嘆しながら、彼女の肩を軽く叩いた。
「本当にあなたには驚かされるわね。でも、こんなものを一人で作れるなんて、やっぱりすごい。」
花は少し照れながら笑った。
「雪姉様のためだもの。これくらい当然でしょ!」
店員たちはその言葉に感動しつつ、花の恐るべき才能に改めて驚かされるのだった――。
「とんでもない魔法使い」
弥生が呆れたように花を見ながら呟いた。
「確かに、こんなマジックアイテムをいくつも作れるなんて普通じゃありませんよね……。」
雪乃は満足そうに頷き、花の頭を撫でながら続けた。
「この子が、こんなに自在にマジックアイテムを作れるのは、魔力量がとんでもないからなのよ。」
クラリスが驚きの声を上げた。
「魔力量がとんでもないって……どれくらいなんですか?」
雪乃は自分のことのように誇らしげに語る。
「普通の魔法使いが一日で使える魔力量の……何倍かしら?十倍?それ以上?とにかく規格外なの。」
花は少し照れくさそうに笑いながら、控えめに付け加えた。
「まあ、作るのが楽しいだけで……別にすごいとか思ってないけどね。」
セリーヌが感心しながら問いかけた。
「それでこんなに優れたマジックアイテムを次々と作れるわけですね。でも、それだけ魔力量があるなら、普通の魔法もすごいんじゃないですか?」
雪乃はその言葉を待っていたかのように目を輝かせた。
「実はね、マジックアイテム作りに夢中になってるけど、実は花はとんでもないレベルの魔法使いでもあるのよ!」
忍が驚いて問い返す。
「それは具体的にどんな……?」
雪乃は少し得意げに語り始めた。
「例えば、火の魔法ならギガエクスプロージョンを出せるし、水の魔法なら大津波を作れるくらい。空を飛ぶこともできるし、どんな高度な魔法でも無詠唱で使えるの。」
花は慌てて手を振りながら否定した。
「魔法そのもの使うのは、工夫がいらない分面白く無いからあまり好きじゃない」
雪乃は微笑みながら花の肩に手を置いた。
「謙遜しなくてもいいのよ。姉として誇りに思ってるんだから。」
弥生がしみじみとした表情で呟く。
「本当に天才てすね。」
忍も苦笑しながら頷いた。
「その魔力量と才能を持つ子が、こうして喫茶店にいること自体が奇跡のようなものですね。」
花は照れ隠しに笑いながら、小声で呟いた。
「雪姉様が楽しそうだから、一緒にいたいだけだよ。」
その言葉に雪乃は目を細め、優しく花を見つめる。
「そう言ってくれるのが、何より嬉しいわ。」
店員たちはその光景を見ながら、姉妹の絆と花の恐るべき才能に改めて感心するのだった――。
弥生が冗談交じりに問いかけた。
「もしかして、花様って勇者レベルなんじゃないですか?」
雪乃は肩をすくめながら微笑む。
「そうね、少なくとも本国の魔法省から声がかかってるくらいだから、そうかもしれないわね。」
月も話に加わり、少し皮肉っぽい笑みを浮かべながら言った。
「それどころか、『すでに筆頭宮廷魔導士を超えている』なんて話もあるくらいよ。」
セリーヌが驚いて声を上げる。
「筆頭宮廷魔導士を……それは本当なんですか?」
花は慌てて首を振りながら否定する。
「いやいや、そんなのただの噂だよ!私はただ、魔法が楽しくて色々やってるだけで……そんな大それたことはないよ!」
雪乃は穏やかに微笑みながら、花の肩に手を置いた。
「でも、月の言う通り、本国では花の名前が結構話題になってるわよ。」
クラリスが半信半疑の表情で尋ねる。
「それで、なぜそんな方が喫茶店にいるんですか?」
雪乃が花を見つめながら優しく答えた。
「この子は、ただ私と一緒で好きなことをしていたいって言うから。」
花は照れくさそうに目を逸らしながら、小さく呟いた。
「だって、雪姉様が楽しくお店やってるのを見たかったんだもん……。」
月が笑いながら話に加わる。
「本国の魔法省からスカウトされても、のんびり喫茶店にいるんだから、本当に自由すぎるわよね。」
忍が苦笑しながら呟いた。
「さすが、雪乃様の妹……自由さも規格外ですね。」
セリーヌも感心したように頷いた。
「それにしても、そんな方がここにいるだけで、私たちも安心して働けますね。」
花は少し頬を赤らめながら、小さな声で言った。
「そんな大したことないよ……私はただ、雪姉様を守りたいだけだから。」
雪乃はその言葉に目を細め、嬉しそうに微笑む。
「本当にいい妹たちね。花も月も、頼りになるわ。」
その場にいる全員が、花の才能と姉妹の絆に感心しながらも、自由奔放なその性格に改めて驚かされるのだった――。