月が新作スイーツの案をスタッフに伝える閉店後のミーティング。
「明日のスイーツはフルーツサンドにします。」月が自信満々に宣言する。
雪乃が少し首を傾げながら指摘した。「月、フルーツサンドを作るとパンの耳がたくさん残るけど、それどうするの?」
月が一瞬戸惑いながら答える。「え?どういうことですか、雪姉様?」
「捨てたりしないわよね?」雪乃の声には、優しいけれど厳しい響きが混じる。
「え、えっと……捨てるつもりはありませんが、使い道が思い浮かびません……」月は困ったように答えた。
雪乃がにっこり微笑みながら腕をまくる。「そんなの、簡単なことよ。これでスイーツをもう一品作ればいいだけ。」
「え?パンの耳で?そんなものがお客様に出せるスイーツになるんですか?」月は半信半疑で尋ねる。
雪乃は微笑を崩さないまま手早く作業を始めた。キッチンに小気味よい音が響き、雪乃が材料を巧みに扱う姿に、スタッフ全員が釘付けになる。
数分後、雪乃が皿に盛り付けたのは、見事にチョコレートコーティングされたラスクだった。
「はい、パンの耳チョコレートラスク。」雪乃が笑顔で月に手渡す。
月は驚きと感嘆の声を漏らした。「すごい……パンの耳なのに、まるで高級スイーツみたいな仕上がり。雪姉様、本当にすごいです……」
「月、あなたの腕は確かよ。でも、まだまだ足りないのは創意工夫とアイディアだけ。これを見て、学びなさい。」雪乃が優しく教えるように言う。
「はい、雪姉様!」月は力強く頷いた。
雪乃は満足そうに微笑みながら言葉を続けた。「明日のスイーツは、フルーツサンドにパンの耳チョコレートラスクを添えて提供することにしましょう。お客様に喜んでいただけるはずよ。」
次回、第23話:「フルーツサンドとパンの耳チョコレートラスク」
新しい試みがもたらす、月の庭のさらなる進化とは?雪乃の創意工夫に触発された月が、新たな一歩を踏み出す!