月の庭が新しい一日を迎えるための準備が整いつつある早朝。いつも通り月が厨房に立ち、翌日のスイーツを考えながら作業を進めている。
「明日のスイーツはフルーツサンドにします。」
月が作業台に並べられた材料を見つめながら宣言する。
雪乃がのんびりと紅茶を飲みながら、ちらりと月を見た。
「月、パンの耳がたくさん残ってるけど、どうするの?」
「え?どういうことです雪姉様?」
月は振り返り、パンの耳が入ったボウルを見つめる。
雪乃は優雅にカップを置きながら軽くため息をついた。
「捨てたりしないわよね?」
「捨てるなんて、そんなことは……でも、使い道がないのでは?」
雪乃は少し微笑みながら立ち上がり、ボウルを手に取った。
「これでスイーツをもう一品作るわ。」
「え?パン耳で?そんなの、お客様に出せるスイーツになるの?」
月は少し不安そうな表情を浮かべた。
雪乃はキッチンに立つと、手際よく作業を始めた。
「月、あなた、まだまだね。見てて。」
まず、パンの耳を適当なサイズにカットし、ボウルにチョコレートとバターを溶かして混ぜ合わせた。カットしたパンの耳をチョコレート液に絡め、トレイに並べてオーブンで焼き上げる。しばらくして、キッチン中に甘い香りが漂い始めた。
「はい、パンの耳チョコレートラスク。」
雪乃が焼き上がったばかりのラスクを月の前に差し出す。キラキラと輝くチョコレートコーティングが高級感を醸し出していた。
月は驚きの表情を浮かべながら一口かじる。
「すごい……パンの耳なのに、高級感あふれるスイーツに……雪姉様、本当にすごいです。」
雪乃は微笑みながら肩をすくめる。
「そんなことはないわ。あなたの腕は確かよ。足りないのは、創意、工夫、そしてアイデアだけよ。」
月はその言葉に頷きながらも、再び驚きの眼差しを雪乃に向けた。
「雪姉様の創意工夫には、本当に敵いません……。」
雪乃はテーブルに座り直しながら、軽く笑って言った。
「明日のスイーツは、フルーツサンドにパンの耳チョコレートラスクを添えてよ。」
その後、月はフルーツサンドの試作を進めながら、雪乃のアイデアに感心し続けた。厨房の中には甘い香りと、姉妹の和やかな会話が広がっていた。
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フルーツサンドのレシピ
1. 食パンの耳を切り落とす。
2. 生クリームを泡立て、砂糖を加えて甘さを調整する。
3. イチゴやキウイ、バナナなどのフルーツをスライスする。
4. パンに生クリームを塗り、フルーツを挟んで形を整える。
5. 冷蔵庫で30分ほど冷やして完成。
パンの耳チョコレートラスクのレシピ
1. パンの耳を適当な大きさにカットする。
2. チョコレートとバターを湯せんで溶かし、混ぜ合わせる。
3. パンの耳をチョコレート液に絡め、トレイに並べる。
4. オーブンで180℃で15分ほど焼き上げる。
5. 冷ましてから皿に盛り付けて完成。
明日に向けて準備は完璧。月の庭はまた新たな魅力を引っ提げて、開店の時を待つのだった。