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第23話フルーツサンドとパンの耳チョコレートラスク2:開店 ~好評のフルーツサンドとパンの耳チョコレートラスク~



朝の準備が整い、いつものように月が店のドアを開ける。

「雪の庭、開店です。本日のスイーツは、フルーツサンドとパンの耳チョコレートラスクです。ラスクにはレシピをお付けしますので、ぜひご家庭でもお試しください!」

明るい声が店の外に響き渡ると、すぐにお客様たちが店内へと入ってきた。



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店内では雪乃がいつもの定位置でお茶を楽しんでいる。ただし、今日はいつもと少しだけ違う光景があった。雪乃の頭の上に、小さなぴよぴよさんがちょこんと止まっているのだ。


「……花なら可愛いけど、私だと間抜けにしか見えないわね。」

雪乃はため息をつきながら、頭の上の小鳥をちらりと目で確認した。


「雪姉様、ぴよぴよさんってば、本当に雪姉様が好きなんですね。」

月が笑顔を浮かべながら声をかける。


「好きというより、守っているつもりらしいわ。でもこのままじゃお客様に笑われてしまう。」

そう言って雪乃は軽く手で追い払おうとしたが、ぴよぴよさんは器用にバランスを保ち、どこまでも離れようとしない。


「雪乃様、それも可愛いですよ。」

クラリスが控えめに微笑みながらフォローを入れる。


「可愛いかどうかは別として、お客様が『店長さんがペットを飼い始めたのか』なんて勘違いしないか心配よ。」

雪乃は紅茶を一口飲みながら冷静に返す。



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スイーツを求めるお客様で店内は次第に賑やかになってきた。今日の目玉であるフルーツサンドとパンの耳チョコレートラスクは、開店直後から好評だった。


「フルーツサンド、見た目も可愛いし、フルーツの甘さとクリームが絶妙ね!」

「このラスク、パンの耳とは思えないくらい美味しいわ!」


お客様たちの感想が次々と飛び交う。

月がスイーツを提供しながら満足そうに微笑んだ。

「フルーツサンドは、新鮮なフルーツを贅沢に使っているので、より一層美味しく感じていただけるんです。ラスクは雪姉様のアイディアなんですよ。パンの耳でもここまでお洒落に仕上げられるんです。」


「ほんとだ、パンの耳なんて思えない!このレシピ、家でも作れるかしら?」

「もちろんです。ラスクにはレシピを添えておりますので、ぜひお試しください!」


弥生がフロアを回りながら、お客様の対応をしていると、雪乃の頭上のぴよぴよさんが注目を集め始めた。

「あら、小鳥さんが頭に乗っているわ!店長さん、可愛いペットをお持ちなんですね!」

「ペットではないんです。ただの……魔導具ペットみたいなものです。」

雪乃が苦笑しながら適当にごまかすと、周りのお客様たちは「かわいい!」と大盛り上がり。



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一方、厨房では月が次々とスイーツを仕上げながら弥生に声をかけていた。

「ラスクが思った以上に人気みたいね。雪姉様に感謝しないと。」

「本当に。パンの耳がこんなにお洒落になるなんて驚きです。」

弥生が感心したように答える。


厨房の片隅では、花が自分のポシェットを開き、何かをいじっていた。

「ぴよぴよさんの挙動、やっぱりちょっとおかしい気がする……。あとでチェックしないと。」

小声で呟きながら、魔導端末を取り出して設定を確認している。









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