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第26話:「本日のスイーツはルバーブとブラムリーのクランブルでございます」3:雪の庭開店

 ヴィクトリアが厨房から顔を出し、落ち着いた声で雪乃に報告する。

「雪乃様、準備が整いました。本日もよろしくお願いいたします。」


雪乃が微笑みながら席を立ち、姉妹たちに声をかける。

「それじゃあ、そろそろ開店ね。ヴィクトリア、お願いできるかしら。」


ヴィクトリアは一礼し、スッと外に出ていく。


 店の入り口に立ったヴィクトリアは、その優雅な佇まいと完璧な姿勢で訪れる客を迎える準備を整える。

すでに開店を待ちわびていた常連客たちが入口に集まっている。


ヴィクトリアが一歩前に進み、清らかな声で宣言する。

「雪の庭開店でございます。本日のスイーツはルバーブとブラムリーのクランブルでございます。」


その声は、店の外にいるすべての客に届くよう、程よい響きで通りを包み込む。


常連客たちの顔が一気にほころび、店内へ足を運び始める。


「待ってました! ヴィクトリアさんの声を聞くと、今日も安心してスイーツを楽しめるわ。」


「今日のクランブル、どんな味かしら。もう楽しみで仕方ないわ!」


ヴィクトリアは客一人一人に優雅にお辞儀をしながら迎え入れる。

「いらっしゃいませ。本日もゆったりとお楽しみくださいませ。」


 雪乃たちはカウンターの後ろで、客たちが次々と席に着く様子を見守っている。

「さすがヴィクトリアね。あの対応だけで、店の雰囲気が一段と上品になるわ。」


月が感心しつつも少し羨ましそうに呟く。

「私もあんな風にお客さんを迎えられるようになりたいな……。」


星姫が笑いながらフォローする。

「月には月の良さがあるわよ。無理にヴィクトリアを目指さなくてもいいと思うけど?」


花は横で設計図を広げながら、どこか他人事のように呟く。

「それより、私はクランブルの冷却効率が完璧か気になる……。」


雪乃が苦笑いしながら、店内の様子を見守る。


ヴィクトリアの店外での一礼


店内が徐々に賑わいを見せる中、最後の客を店内に送り出したヴィクトリアが、店の外で一礼し、扉を静かに閉じる。

その所作に、通りを行き交う人々も思わず足を止めて見とれる。


「あれが噂の『雪の庭』か……一度行ってみたいな。」


締め:開店後の様子


雪乃が店内の賑わいを眺めながら、静かに呟く。

「今日も忙しくなりそうね。でも……これが『雪の庭』の良さなのかもしれない。」




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