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第30話ロブロと夜 1:ロブロの始まり



雪の庭の静かな朝、キッチンでは月がエプロンをつけて雪乃の隣に立っていた。雪乃は優雅に微笑みながら、手元の材料を指差した。


「月、今日の本日のスイーツはロブロよ。」


「ロブロ……?」

月は聞き慣れない名前に首を傾げた。


雪乃は頷きながら、テーブルの上に並べられた材料を一つ一つ見せていく。

「そう。ロブロは、卵と砂糖をたっぷり使った焼き菓子で、ほんのり甘い香りが特徴なの。見た目は素朴だけど、一度食べると忘れられない味わいよ。」


「へぇ、そんなスイーツがあるんだね。でも、なんだか難しそう……。」

月は少し不安そうに生地を混ぜるボウルを見つめた。


雪乃は手を止め、月に優しい声で語りかける。

「大丈夫よ、月。ロブロは丁寧に作れば、誰でも美味しくできるわ。さあ、始めましょう。」


ロブロ作りの始まり


雪乃はまず、バターをボウルに入れて、滑らかになるまで混ぜ始めた。

「まず、バターをしっかりクリーム状にしていくの。これがロブロのふわふわな食感の鍵よ。」


月は雪乃の動きを真似て、バターを力強く混ぜ始めたが、なかなか滑らかにならず苦戦していた。


「力を入れすぎないで。優しく、でもリズミカルに混ぜるのよ。」

雪乃が手を添えながらアドバイスをすると、月は「あ、なるほど」と頷き、動きを調整した。


次に雪乃は砂糖を加えながら説明を続ける。

「砂糖を少しずつ加えながら混ぜるのよ。一気に入れると混ざりにくいから、少しずつね。」


「うん、少しずつ……こうかな?」

月は慎重に砂糖を加えながら、ボウルを覗き込んだ。生地が少しずつ滑らかになっていくのを見て、嬉しそうに微笑む。


ロブロに込められる想い


雪乃は生地を混ぜながら、ふと遠くを見るような表情を浮かべた。

「ロブロってね、家庭の温かさを感じるお菓子なの。だからこそ、丁寧に作ることが大事なのよ。」


「家庭の温かさ……か。」

月はその言葉に少し考え込みながら、生地を見つめた。


焼き上げの準備


混ぜ終わった生地を型に流し込み、オーブンに入れる準備が整った。

「さあ、後はオーブンに任せて待つだけよ。」

雪乃が微笑みながら言うと、月は少しホッとしたように肩の力を抜いた。


「これで完成……ってわけじゃないけど、思ったよりも簡単だったかも。」


「そうでしょう?あとは焼き上がりを楽しみにするだけ。月の初めてのロブロ、きっとお客様にも喜んでもらえるわ。」


焼き上がりと香り


しばらくして、オーブンから甘く香ばしい香りが漂ってきた。月はその香りに思わず深呼吸する。

「わぁ、すごくいい匂い!これがロブロなんだね!」


雪乃はオーブンを開け、焼き上がったロブロを取り出す。表面がこんがりと焼けたその姿に、月は目を輝かせた。


「うん、いい出来栄えね。月、初めてにしては上出来よ。」


「ほんと?よかった……!」

月は嬉しそうに微笑み、達成感に満ちた表情を浮かべた。


次への期待


焼き立てのロブロを目の前に並べながら、雪乃が最後に語りかける。

「スイーツ作りは、焦らず丁寧に。そうすれば、きっと美味しいものができるわ。」


「うん、次も頑張る!」

月の明るい声が店内に響き、雪の庭はまた新しい一日を迎える準備が整った――。




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