雪の庭の前には、星姫を見送るために雪乃、花、夜だけでなく、月、そしてジパング出身の弥生や忍も集まっていた。朝日が昇り始め、静かな空気がその場を包んでいる。
星姫は馬車の前に立ち、全員を見回すと、柔らかな笑みを浮かべた。
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月の想い
月が一歩前に進み、深くお辞儀をしながら星姫に言葉をかける。
「星姉様、ここでの時間、本当にありがとうございました。おかげで私たちもたくさん学べました。」
星姫はその言葉に優しく微笑みながら、月の手をそっと取った。
「月、ありがとう。あなたが厨房をしっかり守ってくれたから、安心して交渉に集中できたのよ。」
月はその手を握り返しながら、感謝の気持ちを込めて言葉を続けた。
「いつでもお戻りください。星姉様には、ここでの席をいつでもご用意しています。」
「ええ、ありがとう。次に来たときには、またあなたの新作を楽しみにしているわ。」
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弥生と忍の別れ
ジパングゆかりの弥生が少し緊張した様子で言葉をかける。
「星姉様、どうか道中お気をつけてくださいませ。」
忍は一歩後ろに控えながらも、静かに頭を下げる。
「私もここでの任務を全ういたします。星姉様に恥じぬよう努めます。」
星姫は二人に優しく頷き、柔らかな声で答える。
「弥生も忍も、ありがとう。あなたたちがここにいてくれるおかげで、ジパングの誇りを感じられるわ。」
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雪乃と花の贈り物
雪乃が星姫に歩み寄り、感謝の気持ちを込めて深々と頭を下げる。
「星姉様、本当にありがとうございました。また、いつか必ずお会いしましょう。」
「ええ、雪乃。あなたと話す時間は私の癒しだったわ。また元気な姿を見せてね。」
続けて花が小さなバスケットを差し出す。
「星姉様、これ、みんなで作ったものです。移動中に召し上がってください。」
星姫はその贈り物を受け取ると、中に入った美しいセルロティを見て目を輝かせた。
「まあ、素敵ね。ありがとう、花。あなたの繊細さは本当に素晴らしいわ。」
花は少し照れたように微笑みながら答えた。
「次にお会いするときは、もっと腕を上げておきますね。」
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夜の静かな別れ
最後に夜が星姫の前に立つ。夜はどこかぎこちない動きで頭を下げた。
「星姫様……道中の無事をお祈りします。」
星姫はその様子に気づき、優しい笑みを浮かべながら問いかけた。
「夜さん、あなたともっと話す時間があれば良かったのだけれど……きっとまた機会があるわね?」
夜はその問いに、少し間を置いてから静かに答えた。
「……そのときは、どうぞよろしくお願いします。」
星姫はその答えに微笑み、夜の肩にそっと手を置いた。
「ええ、その時を楽しみにしているわ。」
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星姫の旅立ち
星姫は再び全員の方を向き、ゆったりとした動作で深く一礼した。
「みんな、本当にありがとう。私の力だけでは、ここまで来られなかったわ。また、必ず会いましょう。」
雪乃、花、弥生、忍、そして月がそれぞれ手を振りながら見送る。
「星姉様、どうかお元気で!」
星姫は馬車に乗り込むと、窓から顔を出し、柔らかな笑みを浮かべながら最後に一言。
「ええ、皆さんも元気でいてね。また会いましょう。」
馬車がゆっくりと動き出し、その姿が見えなくなるまで、一同は見送り続けた。
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残された雪の庭
馬車が見えなくなると、月が静かに口を開いた。
「星姉様がいなくなると、少し寂しくなりますね。」
雪乃は穏やかに頷きながら言葉を返す。
「そうね。でも、私たちで雪の庭を守っていかなきゃ。」
花は天井に目を向け、ぴよぴよさんが梁の上で静かに羽ばたく様子を見て微笑んだ。
「みんなで力を合わせて、もっと素敵な場所にしましょう。」
夜は遠くを見つめるように静かに立っていたが、小さく頷いて同意を示した。
星姫を送り出した雪の庭には、新たな日常が静かに戻っていった――。