ラルベニア王国での友好条約締結の根回しを無事に終えた星姫が、ジパング王国へと帰還した。星姫の帰国を聞いた壱姫は、玉座ではなく、彼女の私室で迎えることにした。
星姫は堂々とした足取りで扉を開け、深々と一礼した。
「姉上、ただいま帰還しました。」
壱姫は椅子に深く腰掛け、満足げに頷きながら答える。
「星姫よ、大義であった。」
国王引退の報告
星姫はその言葉に感謝の意を込めて微笑みつつも、少し真剣な表情を浮かべて問いかけた。
「父上が引退なさると伺いました。どのような経緯があったのでしょうか?」
壱姫はその問いに少し肩をすくめ、扇をゆっくりと閉じながら答えた。
「そう、かしこまるな。ここは姉妹の対話の場じゃ。非公式で良い。」
壱姫はソファに腰掛けた星姫の隣に座り、優雅な仕草で話し始めた。
「父上も高齢じゃ。その身を案じ、引退をお勧めしたまで。」
星姫の疑念
星姫はその言葉を聞きながらも、どこか納得のいかない表情を浮かべた。
「確かに国王の責務は重責で、その心労が体に影響を与えることも考えられます。しかし、父上がよくご承諾なさいましたね?」
壱姫は微笑みを浮かべ、少しだけ冗談めかした口調で言った。
「妾がどれほど父上を案じておるかを真摯に説き伏せた結果じゃ。父上も感激され、快く承諾されたのだ。」
その言葉を聞き、星姫は一瞬困惑した表情を浮かべたが、すぐに察したように口を閉じた。
「快く……ですか。」
壱姫の微笑みの裏にある圧力を感じた星姫は、それ以上追及しないことを選んだ。
即位の話題
星姫は話題を変えるように尋ねた。
「では、姉様が即位なさるということでしょうか?」
壱姫は軽く頷きながら答えた。
「いずれはそうなる。だが、今すぐとは行くまい。妹たちの日程を調整せねばならぬ。」
星姫は少し考え込むようにしながら言った。
「確かに、七姫揃わなければ即位の儀は行えませんね。」
壱姫はその言葉に静かに頷き、少し目を細めた。
「そうじゃ。特に夢の帰還が鍵を握る。だが、それを逆手に取れば、夢に合わせて全てを調整すれば良いだけのこと。」
姉妹の絆
壱姫は星姫の肩に軽く手を置き、穏やかな表情で言葉を紡いだ。
「お前がラルベニアで大義を果たしてくれたおかげで、妾も動きやすくなった。感謝しておるぞ。」
星姫はその言葉に微笑みを浮かべ、静かに頷いて答えた。
「姉上のお役に立てたのなら、これ以上の光栄はありません。」
壱姫はその言葉に満足そうに頷き、再び扇を広げた。
次なる準備
壱姫は真剣な表情で星姫に告げた。
「さて、これで一つ片付いたが、次は妾の旅立ちじゃ。お前も準備を整えよ。」
「準備と言われますと?」
「しれたこと。妾が本国を留守にする間、お前に、ジパングを護って守らねばならぬ。」
星姫はその言葉に少し驚いた様子を見せたが、すぐに頷いて立ち上がった。
「かしこまりました。準備を進めます。」
壱姫のもとに戻ったヴィクトリア、そして帰還した星姫。姉妹たちが再び集まり始めたことで、物語は新たな展開を迎える準備を整えつつあった――。