「雪乃、紅茶とスイーツじゃ!」
壱姫が店のドアを勢いよく開け放ち、堂々とした声で叫びながら入店した。
「いらっしゃいませ、壱姉様。」
雪乃がカウンター越しに微笑みながら迎えた。
「ヴィクトリア、お前もここにおったか。」
壱姫はすでに店内でお茶を楽しんでいたヴィクトリアに気づき、軽く手を挙げる。
「はい、壱姫様。少し先にここでゆっくりとした時間を過ごさせていただいております。」
ヴィクトリアが礼儀正しく微笑む。
「雪乃、妾にも同じものを頼むぞ。」
壱姫は悠然とヴィクトリアの隣の席に腰を下ろし、リラックスした様子で注文を告げる。
アレックスの登場
店内の穏やかな空気を破るように、大きな花束を抱えたアレックス王子が入店してきた。
しかし、彼の前に夜が立ちはだかる。
「迷惑行為をされるなら、退店していただきます。」
夜の静かながらも威圧感のある声が店内に響く。
アレックスは冷静に答えた。
「雪乃さんとは、少しだけ話をするだけだ。迷惑をかけるつもりはない。」
雪乃が奥のカウンターから声をかける。
「夜ちゃん、通してあげて。」
夜は渋々道を譲り、アレックスは雪乃の前へ進んだ。
アレックスの謝罪
月と花が警戒する中、アレックスは花束を手に深々と頭を下げた。
「雪乃さん、今日は私の本心を聞いていただきたく参りました。」
「どのようなお話でしょうか?」
雪乃は静かに問いかける。
「すまない、私はあなたがジパングの姫であることで婚約を申し込んでいた。そのことについて、深く謝罪したい。」
アレックスはまっすぐな目で雪乃を見つめ、続けた。
「婚約を申し込んだことを撤回させていただきます。失礼極まりない話であった。」
雪乃は少し驚いた表情を浮かべたが、すぐに穏やかに微笑んだ。
「王族ならば、当然の選択だったと思います。」
「しかし……壱姫殿下のお言葉で目が覚めました。」
「壱姫姉様が?」
雪乃が驚きの声を上げる中、壱姫は涼しい顔で紅茶を飲み続けている。
真実の愛の告白
アレックスはくるりと踵を返し、夜の前に立った。
「私は、あなたに恋をしている。あなたこそ私の真実の愛の相手だ。この花をあなたに……結婚してほしい!」
「えーーー?」
店内に全員の驚きの声が響いた。
夜は固まったまま、意味不明な音声を発し始める。
「え?†‰◯″☓▲~☆……」
混乱と笑い
突然、天井の梁から「ぴよぴよさん」が落下してきた。
「!」
ヴィクトリアが素早く動き、見事にキャッチする。
さらに、ヴィクトリアの肩にとまっていた黄色い花ぴよもバランスを崩しそうになったが、彼女はそれもキャッチして見せた。
「……」
一瞬の沈黙の後、壱姫が爆笑し始める。
「あはははは、ははははひ……最高だー!面白すぎるぞー!」
壱姫はテーブルをバンバン叩きながら大笑いする。
雪乃と月、花の反応
「……どういう状況なの?」
月が頭を抱え、呆然とした表情を浮かべる。
「夜ちゃん、大丈夫?」
花が心配そうに声をかけるが、夜は固まったままで動けない。
笑い続けていた壱姫が、ようやく落ち着きを取り戻し、紅茶を飲み干して言った。
「お前たち、これほどの娯楽を用意してくれるとはな。雪乃、今夜の茶菓子は最高じゃ!」
その言葉に、店内の混乱はますます深まるのだった――。