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第37話アレックスの真実の愛2:夜への突然の告白

「夜さん、あなたと初めて出会ったあの日から、ずっとあなたのことが頭から離れないんです!」

アレックスは真剣な眼差しで夜を見つめ、言葉を絞り出した。


その場が一瞬静まり返る。

「夜にお姫様抱っこで店から追い出されそうになった日ですね。」

花がぼそっと呟く。その小声は聞こえた者たちの頬を引きつらせたが、アレックスの熱意は揺らがない。


「私は、真剣です。」

彼のその言葉に、壱姫が腹を抱えて大笑いし始めた。


「あははははっ……引っ、引っ……お、お腹が痛い!」

壱姫はテーブルを叩きながら、涙を浮かべて笑い続ける。


店内の混乱


「壱姉様、笑いすぎですよ。」

雪乃が注意するが、その口元にも微かな笑みが浮かんでいる。


「し、しかし、雪乃!魔道具である夜や、ぴよぴよがフリーズするほどの出来事だ!笑うなと言う方が無理じゃ!」


確かに、夜は完全にフリーズしたまま動かない。梁の上にいたぴよぴよまでもが落下し、慌てたヴィクトリアがキャッチするという異様な光景だった。


壱姫の笑い声が響く中、しばらくして夜が再起動した。


夜の冷静な拒絶


「その申し出は、受け入れられません。」

夜は平然とした声で言い放つ。


「壱姫様の許可なく、それを受け入れることはできません。」


「え……?」

アレックスは動揺し、目を見開いた。彼の頭の中で様々な考えが巡る。そして、ついに一つのとんでもない結論にたどり着く。


とんでもない勘違い


「もしかして……壱姫様!夜さんは、あなたの娘なのですか!?」


「はぁ?娘……!」

壱姫は驚いた顔をしたかと思うと、次の瞬間には再び大爆笑を始めた。


「ハッハッハ!妾を飽きさせぬな!だが……まあ、娘と言えんこともないな!」


その言葉に、アレックスはさらに真剣な表情を浮かべる。

「お義母さん!娘様との結婚をお許しください!」


壱姫のさらなる大笑い


「お義母さんときたか……!」

壱姫は再び大笑いしながら椅子にもたれかかる。


「私は真剣です!」

アレックスは気持ちを込めて訴えたが、その姿を見た壱姫はさらに楽しげに笑う。


花とのやり取り


壱姫はようやく笑いを落ち着かせると、隣にいた花に視線を向けた。

「さて、どうする花?」


「なんで私に振るの?」

花は困惑しながら答える。


「何を言う!妾は夜の育ての母だが、お前は“生みの親”ではないか。」


「そうだけど……話がややこしくなるからやめてよ!」


その言葉に、アレックスは再び驚いた顔をした。

「花さんが生みの親……?失礼ながら、いくつの時のお子さんですか、お義母さん。」


花は思わず頭を抱え、深く息を吐いた。

「あああっ!もう!なんで殿下にお義母さんなんて呼ばれなきゃいけないのよ!」


雪乃の提案


その混乱を見ていた雪乃が静かに口を開いた。

「壱姉様、そろそろ本当のことを教えて差し上げましょう。」


しかし、壱姫は楽しそうに手を振る。

「いやいや、面白いから、もう少し勘違いさせておこう。」


「壱姉様、殿下が可哀想です!」

雪乃の言葉に、壱姫は満足げに微笑んだ。


「まあ、そうじゃの。では、そろそろ真実を明かしてやるとしようか。」


果たして、壱姫がアレックスに真実を告げる時、さらにどんな混乱が巻き起こるのか――店内の緊張は解ける気配を見せなかった。





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