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第41話 4:姫たちの再会――華やぐ王城の一室

夜、大人気!――風姫と夢姫との出会い


壱姫の即位式を前に姫たちが集う王城。久しぶりに顔を合わせた姫たちの話題の中心には、ラルベニアから雪乃たちとともに帰国したホムンクルス、夜がいた。



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夜への関心が止まらない風姫と夢姫


「夜ちゃんって、本当に花が作ったの?信じられないくらい普通の女の子に見えるわ。」

風姫が優しく微笑みながら夜を見つめると、夜は丁寧に一礼した。

「ありがとうございます。初めまして、風姫様。」


「夜ちゃん、すごく礼儀正しいのね。それに……肌もすべすべで、髪も綺麗。まるで人形みたい!」

夢姫が興味津々に夜の髪に触れながら言った。

「夢姫様、それは文字通り人形の延長線上にある存在ですので……。」

夜は柔らかく答えるが、その謙虚さがさらに夢姫の心を掴む。


「こんなに可愛い子がホムンクルスだなんて、信じられないわ。花、あなた本当にすごい!」

夢姫が感嘆の声を上げると、花は少し得意げに答えた。

「でしょ?夜は私の最高傑作よ。」



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夜の対応に感動する姫たち


「夜ちゃん、本当にいろいろできるのね。」

風姫が感心して言うと、夜は控えめに頷いた。

「はい。お掃除やお料理、書類整理など、様々なことを学んでまいりました。」


「料理まで!?今度、私にも教えてくれないかしら。」

風姫が頼むと、夜は穏やかに笑みを浮かべて答える。

「もちろんです、風姫様。何なりとお申し付けください。」


「この子、本当に完璧ね……。私、人間として負けてる気がする。」

夢姫が冗談交じりに言うと、夜は少し慌てたように返す。

「いえ、そんなことはありません!私のような存在と人間を比べること自体が不適切です。」


その謙虚さがさらに風姫と夢姫の心を打つ。

「もう、本当に夜ちゃんって可愛いわね!」

「連れて帰りたくなっちゃう……。」



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雪乃と月の様子


そんな風姫と夢姫の様子を見ながら、雪乃と月は微笑ましそうに眺めていた。

「夜、すっかり人気者ね。」

雪乃が笑いながら言うと、月も頷く。

「まあ、ラルベニアでもお客様に人気だったしね。こっちでも同じよ。」


「でも、ここまで姉様たちに気に入られるとは思わなかったわ。」

雪乃がそう言うと、月は冗談っぽく返す。

「この調子だと、壱姉様以外全員が夜に夢中になっちゃうんじゃない?」



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壱姫の登場


そこへ壱姫が豪快な笑い声を響かせながら現れる。

「妾の妹たちが、夜に夢中とは面白い。夜、よかったな!」


「壱姉様まで……。」

雪乃が呆れたように言うが、壱姫は全く気にせず続ける。

「まあ、それだけ夜がよくできた存在だということだ。花、良い仕事をしたな。」


「ふふん、当然よ。私の最高傑作なんだから。」

花は少し誇らしげに胸を張った。



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和やかな空気の中で


こうして姫たちの再会は、夜という存在を中心に温かい空気に包まれたまま進んでいった。


風姫と夢姫に囲まれて少し困りながらも丁寧に対応する夜。

それを微笑ましそうに見守る雪乃と月。


そして、豪快に笑いながらその様子を眺める壱姫と、得意げな表情の花――。


壱姫の即位式を控えたジパング王城は、久しぶりに家族全員が揃った平和な一日を過ごしていた。


和やかな会話と雪乃のツッコミ


姫たちが夜を囲み、和やかに会話を楽しむ中、雪乃が立ち上がった。

「みんな、少し待ってて。せっかく全員揃ったんだから、手作りスイーツを振る舞うわ。」


「えっ、本当?雪姉様のスイーツなんて久しぶりだわ!」

月が目を輝かせると、他の姫たちも期待に胸を膨らませた。



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雪乃のスイーツ登場


少しして、雪乃がテーブルに色とりどりのスイーツを並べた。ふわふわのシフォンケーキ、甘酸っぱいベリータルト、濃厚なチョコレートムース――どれも彼女の腕前を感じさせる出来栄えだ。


「お待たせ。今日は特別に少し多めに作ってみたの。」

雪乃が微笑むと、姫たちは拍手で応えた。


「わあ、すごい!まるでお店のメニューみたい!」

風姫が感嘆の声を上げると、雪乃は軽く肩をすくめて苦笑した。


「お店のメニューみたいって…私、実際にお店やってるんだけど。」


「あっ、そうだったわね!ごめんなさい!」

風姫が慌てて手を振ると、月がフォローするように笑った。

「でもさ、本当に完璧すぎるわよ、雪姉様のスイーツ。」



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ヴィクトリアのお茶サービス


そのタイミングでヴィクトリアがそっと立ち上がり、淹れたてのお茶をトレーに乗せて全員に配り始めた。

「こちらはラルベニアで仕入れた特別な紅茶です。お菓子に合うように少し濃いめに淹れました。」


「ありがとう、ヴィクトリア。相変わらず気が利くわね。」

星姫がカップを受け取りながら微笑む。


「壱姉様、この紅茶をどうぞ。」

ヴィクトリアが壱姫にカップを渡すと、壱姫は大きく頷いた。

「うむ、気が利くな、ヴィクトリア。妾はお前がいてくれるから、安心しておるぞ。」



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姫たちの感想と賑やかなやり取り


スイーツを一口食べた姫たちは、それぞれに感想を口にした。


「このシフォンケーキ、ふわふわで軽いのに、味わい深いわ!」

風姫が感激したように言うと、月も頷いた。

「雪姉様、さすがね。お店で出してるのもこれなの?」


「ラルベニアでも大人気のメニューよ。これでも店長としてがんばってるの。」

雪乃が微笑むと、星姫が続けた。

「このベリータルト、甘酸っぱくて美味しいですわ!でも、雪乃姉様が店長って、やっぱりすごいです。」


「雪乃姉様の店、私もラルベニアで手伝ってたけど、本当にお客さんに愛されてたわよ。」

月が誇らしげに言うと、雪乃は少し照れくさそうに笑った。

「ありがとう。でも、みんなが褒めてくれると逆に緊張しちゃうわね。」



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壱姫の一言


壱姫はシフォンケーキを一口食べると、大きく頷いた。

「ふむ、見事な出来だな。妾の宮廷で出す菓子としても遜色ないぞ。」


「壱姉様、それ褒めてるの?けなしてるの?」

雪乃が苦笑しながら尋ねると、壱姫は豪快に笑い飛ばした。

「褒めているのだ!妾がここまで言うのだぞ、自信を持て!」



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和気あいあいとしたひととき


紅茶とスイーツを楽しみながら、姫たちはお互いの近況や思い出話に花を咲かせた。

雪乃のスイーツ、ヴィクトリアの紅茶、そして何より姉妹たちの笑顔が、王城を温かく包み込んでいた。


「久しぶりにみんなで集まれて、本当に良かったわ。」

夢姫がしみじみと呟くと、全員が静かに頷いた。


こうして、壱姫の即位式を控えた前夜、姉妹たちは平和なひとときを満喫したのだった――。


姫たちの会話 – 雪乃のジパング進出問題


スイーツと紅茶を楽しむ中、壱姫が思いついたように声を上げた。

「いや、雪乃よ。宮廷パティシエをするつもりはないか?」


その言葉に、姉妹たちが一斉に雪乃を注目する。驚きと戸惑いの表情を浮かべた雪乃は、すぐに首を振った。

「壱姉様、勘弁してください。師匠の夕霧様から『ジパングに店を出さないか』と勧められていて、それだけで十分悩んでるんです。これ以上、悩ませないでください!」


壱姫は腕を組みながら豪快に笑い飛ばした。

「なに?雪乃がジパングに店を出すだと!それは良い!出すが良い!」


「壱姉様、そんな簡単に言わないでください!」

雪乃は頭を抱えながら、困惑の表情を浮かべる。



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雪乃の葛藤


「ジパングに店を出すとなると、ラルベニアの店を閉めなければなりません。」

雪乃のその言葉に、壱姫はまるで何の問題もないかのように手を振った。

「締めれば良いではないか!」


「嫌です!そんな簡単に割り切れる話なら、こんなに悩みません!」

雪乃の反論に、月が小さく笑いながら口を挟む。

「雪姉様、ラルベニアのお客さんたちも雪姉様のこと大好きだから、簡単には割り切れないわよね。」


「そうなのよ!だから悩んでるの!」

雪乃は思わず月の手を取って強く訴えた。



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姉妹たちの提案


星姫が優しい口調で提案する。

「でも、ジパングに店を出すというのも素敵なことだと思いますわ。ラルベニアのお客様たちもきっと理解してくださるんじゃないかしら?」


「そう簡単に理解してくれる人ばかりじゃないのよ。お客さんたちとの信頼って、そんなに軽いものじゃないから。」

雪乃はため息をつきながら答えた。


夢姫が手を叩いてアイデアを出す。

「じゃあどうかな?ジパングとラルベニア、両方で店を持つのは?どっちも大切にしたらいいんじゃない?」


「無理よ!そんなこと物理的に無理なの!距離を考えて」

雪乃が即答すると、花がひょいと手を上げて言った。

「じゃあ、魔道具で雪姉様そっくりのなホムンクルスを作れば良いんじゃない?」


「花!…、絶対やめて!話がややこしくなる!」

雪乃は花を睨みながら声を荒らげたが、花はどこ吹く風で微笑むだけだった。



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壱姫の一言


壱姫はスイーツを一口食べながら、静かに言葉を切り出した。

「まあ、ラルベニアでの店を愛してくれる者たちがいるならば、妾もそれを壊す気はない。だが、雪乃よ。」


「何ですか、壱姉様。」

少し警戒しながら雪乃が答えると、壱姫はニヤリと笑った。


「ジパングの民も妾の妹の菓子を楽しむ権利があると思わぬか?」


その一言に雪乃は言葉を失った。周囲の姉妹たちも、妙に納得したように頷いている。



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和やかな空気の中で


「壱姉様、少しずるいです……。」

雪乃は苦笑いしながら紅茶を一口飲んだ。


「でも、壱姉様の言うこと、一理あるかもね。」

月が微笑むと、姉妹たちも頷いた。


こうして姉妹たちの会話は尽きることなく続き、雪乃の悩みも少しだけ軽くなったようだった――。


姉妹たちの会話:花の転移門の提案


花は机の上に広げた設計図を片付けながら、雪乃と月の質問に答えた。

「ん…手がないこともないんだけど、私、今いそがしくて、ごめんなさい。」


「手?どんな手?」

雪乃が興味を示すと、花は少し得意げな顔で答えた。

「アイディアは、あるのよ。どこでも転移門を作れば、ラルベニアとジパングをつなげることができるの。」


「転移門!?」

雪乃は目を見開き、思わず月の方を向いた。


「月、聞いた?花が何かおかしなことを言ってるわ。」

「はい、雪姉様、花がどこにでもすぐ行けるゲートを作れるとか……なんか魔法みたいなことを……。」

月も困惑しつつ笑顔を浮かべる。



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花の説明


花は設計図を指差しながら熱弁を振るった。

「いやいや、理論上は可能なの。ラルベニアとジパングにそれぞれゲートを設置して、魔力でつなげれば一瞬で移動できるようになるの。」


「そんなの、本当に作れるの?」

雪乃が眉をひそめて尋ねると、花は肩をすくめた。

「まあ、私の頭の中では完成してるけど、今は空中戦艦の製造にかかりきりで手が回らないのよね。」


「空中戦艦って……。」

雪乃は頭を抱えた。



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月の冷静な反応


「つまり、花が今言ってるのは、『どこでもいけるドア』みたいなものを作れるってことですよね?」

月が冷静にまとめると、花は頷いた。

「そうそう!どこでもドアよりも耐久性があって、大人数でも移動できるやつね。」


「……花、それ、普通の人からしたら『おかしい発想』って気づいてる?」

雪乃が呆れた声を出すと、花はにこやかに笑った。



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壱姫の乱入


そこへ壱姫が部屋に入ってきて話を聞きつけた。

「おお、転移門とな?面白い!花、それを即位式までに作るのだ!」


「無理です!」

花は即答し、雪乃と月は同時に「壱姉様!」と叫んだ。


壱姫は笑いながら肩をすくめた。

「転移門ができれば、妾ももっと楽にいろいろな国を回れるというもの。急ぐがよいぞ、花。」


「だから無理だってば!」

花はため息をつきながら答えたが、壱姫の笑顔はまるで聞いていないようだった。



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和やかな姉妹の会話


「……本当に姉妹そろって、おかしなことばっかり言うんだから。」

雪乃は苦笑いしながら紅茶を一口飲んだ。


月は微笑みながら言った。

「でも、雪姉様がジパングに店を出すための解決策として、転移門ができれば便利ですね。」


「そんな夢物語に頼らないで、自分でなんとかするわよ……。」

雪乃はそう言いながらも、少しだけ肩の力が抜けたようだった。姉妹たちとの会話は尽きることなく、和やかな時間が流れていった――。


花の提案:転移門の話


花は設計図を指差しながら、少し考え込むような表情で言った。

「ドアを開くだけで、隣の部屋に行く感覚で移動できるゲートが作れるのだけど……。」


雪乃は驚きの表情を浮かべて聞き返した。

「え?それって本当に可能なの?」


花はさらりと頷き、淡々と続けた。

「理論上はね。ただ、今は空中戦艦の設計にかかりきりで、手が回らないのよ。」


月のフォロー


月が冷静に話をまとめるように口を開いた。

「花、つまり隣の部屋に行く感覚で国をまたぐゲートを作れるということ?」


「そうそう。これが完成すれば、雪姉様もラルベニアとジパングの店を両方運営できるんじゃない?」

花がさらりと提案すると、雪乃は首を振りながら苦笑いした。

「そんな夢みたいな話、すぐに信じられるわけないでしょ。でも……もしそれが実現したら便利だけど、忙しくなって面倒」




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