目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第42 話 即位式

 ジパング王国の中心にそびえ立つ壮麗な王城――

その大広間が、今日だけは一層の華やかさを纏い、荘厳な雰囲気に包まれていた。


純白と金の装飾が施された空間は、まるで神殿のような静謐さと威厳に満ち、集った賓客たちは言葉もなく、その場の空気を味わっている。


――今日、壱姫が正式に国王として即位するのだ。


◆ 壱姫、登場


太鼓の音が鳴り響き、大広間に静けさが満ちる。


やがて、ゆっくりと正面の扉が開かれた。


「……!」


賓客たちが思わず息を呑む。


そこに現れたのは、銀糸が織り込まれた純白のドレスに身を包んだ壱姫だった。


堂々たる足取りで赤い絨毯を歩く彼女の姿は、まさに王の風格そのものである。ドレスの裾が揺れるたび、金糸が光を受けて煌き、あたかも光の道が床に生まれていくかのようだった。


その頭上には、ジパング王家に代々受け継がれる王冠が輝いていた。


背後には、彼女を支える姉妹たちが静かに続いていた――星姫、月、花、そして雪乃。それぞれに思いを胸に、壱姫の背を見守る。


◆ 宣誓の儀


高壇の玉座に腰を下ろした壱姫の前に、厳かな面持ちの大司祭が進み出る。


「壱姫殿下――

ジパングの新たなる国王として、民を守り、国を導く覚悟はおありですか?」


その問いかけに、壱姫はまっすぐに前を見据え、力強く言い放った。


「誓おう。この命にかけ、我が国と民を守り、世界に平和をもたらすことを誓う。」


堂内の空気が震えた。


言葉と同時に、大司祭が王冠を高く掲げ、ゆっくりと壱姫の頭上に降ろす。


「ここに、壱姫をジパングの国王と宣言する!」


その瞬間――


「――おおおおっ!」


盛大な拍手と歓声が大広間を包み込んだ。


◆ 賓客たちの視線


ラルベニア王国からの使節団の列席もあり、第一王子・アレックスはその光景に深く感銘を受けていた。


(さすが、壱姫殿下……威厳と気品、その両方を備えておられる……)


そう呟きながら、隣に立つ金髪の侍女――ヴィクトリアが微笑を浮かべているのに気づく。


「王子、口が開いておりますよ」


「……はっ」


思わず口を閉じたアレックスは、少し顔を赤らめて視線を前に戻した。


◆ 姉妹たちの視点


王家の姉妹たちもまた、それぞれの胸に思いを抱いていた。


星姫は冷静な表情のまま、しかしその眼差しには確かな誇りが宿っている。

月は微笑みを浮かべながらも、どこか感慨深そうに壱姫の背を見つめていた。

雪乃は小さく唇を噛みながら、緊張をこらえていた。

そして花――末妹である彼女は、なぜか得意げな顔で隣のヴィクトリアに耳打ちしていた。


「壱姉様、今日も完璧……でも、もし王冠の裏に魔道装置がついていたら、もっと面白かったのにね?」


その言葉に、ヴィクトリアは静かに微笑み、やわらかな声で諫めた。


「……姫様、どうかご冗談はそのくらいに。万が一、それを実行されたら、私の心臓がもちません」


花はくすりと笑いながら、「冗談よ、もちろん」と肩をすくめた。



◆ 新国王のスピーチ


玉座から立ち上がった壱姫が、壇上から賓客たちに視線を向ける。


その場にいる誰もが、次に発される言葉に耳を傾けた。


「本日、ジパングの新たな国王として即位の儀を終えました。この地位は、ただの栄誉ではなく、民を導くという重責を伴うもの。私は、自由と幸福を守り、我が国をより良き未来へ導くと、ここに誓います」


拍手が再び鳴り響く――


それはもはや“形式”ではなかった。

ジパングの未来に対する期待と、壱姫という王への信頼の音であった。


◆ そして新たな時代へ


式典は滞りなく終了し、その後、賓客たちを招いた盛大な祝宴が催された。


その夜、王都には灯りが絶えず、民もまた新たな時代の幕開けを喜び合った。


そしてその中心には、確かに――

王冠を戴く、壱姫の姿があった。


彼女が導く新たなジパングの物語は、ここから始まっていく――



---


ご希望があれば、この続きを第43話以降も執筆できます。タイトル装飾や章構成の整理なども対応可能です。



この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?