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第52話 国家関係と友人関係の危機4: 尋問と決断



床に倒れ込んだ男は、荒い息を吐きながら、雪乃たちを見上げた。


「……何処まで知ったのかしら?」


雪乃の冷たい声が響く。


男は喉を鳴らし、視線を彷徨わせる。


「場合によっては、皇帝のもとには帰せないかもしれない……」


「え?」


雪乃の言葉に、月が驚きの声を漏らす。


「いや、俺は……その、不思議な娘の秘密を知ろうとしていただけで……。そっちの娘と何か関係がありそうだと思ったが、まだ何もわからない……」


必死に弁明する男。だが、誰もその言葉を信じることはなかった。


「これって、信じていいのかしら?」


雪乃は静かに問いかける。


「信用するわけにはいかない。」


月が厳しい口調で断言する。


「やはり処分を――」


「だから、落ち着きなさい、小夜ちゃん。」


雪乃は小夜の肩にそっと手を置いた。


「南蛮帝国の皇帝にこの男を引き渡し、あらゆる情報を秘匿することを約束してもらうわ。」


「皇帝を信じていいのかしら?」


月の疑問は当然だった。


しかし、雪乃はゆっくりと首を振る。


「今回の件、一方的に南蛮帝国側の落ち度だから、向こうは、こちらの要求に応じるしかないと思うわ。」


雪乃はそう判断した。


「もし、皇帝がこの件を軽視するようなら……それは、南蛮帝国の外交的な信用問題になるわね。」


静寂が訪れる。


男は冷や汗を流しながら、雪乃の言葉を飲み込んだ。


「……結局、俺に逃げ道はないのか……」


小夜は無言のまま、男を冷たく見下ろしていた。


――彼の運命は、もう決まっていた。


決断の時


静寂の中、雪乃は強い意志を込めて言い放った。


「それに、大切な妹に危険が及ぶ可能性があるなら、断じて容認できない。」


彼女の声には、揺るぎない決意が込められていた。


月と花は、雪乃の厳しい表情を見て息を呑む。


普段の穏やかな雪乃とは、まるで別人のようだった。


「……雪姉様。」


月が思わず声を漏らす。


花もまた、目を見開いたまま、じっと雪乃を見つめていた。


彼女たちは知っている。


雪乃が南蛮帝国の皇帝と懇意にしていることを。


だからこそ、この発言がどれほどの覚悟を伴うものか理解していた。


「……なら、もう決まりね。」


雪乃はこの一件の報告書を親書として使者に持たせて派遣することを決めた。


この問題は、もはや個人的なことではない。


ジパング王国の王女として、国の誇りと妹たちの安全を守るため、雪乃は冷静に、しかし強い意志を持って交渉に臨むつもりだった。


皇帝の反応次第では――


国交断絶の覚悟もある。


「さて……どう出るかしら。」


雪乃は深く息を吸い、皇帝の解答を待つ。


南蛮帝国の未来、そして雪乃自身の決断が、今まさに試されようとしていた。

交渉の場


静寂が支配する中、雪乃は凛とした声で言い放った。


「約束を守ってもらえないなら、国交の断絶を壱姫女王陛下に進言するわ。」


その言葉に、室内の空気が一変する。


「……!」


月と花は驚きを隠せなかった。


普段の雪乃とは思えない、厳しい判断だった。


「いいの?雪姉様。」


月が思わず声を漏らす。


花もまた、冷静を装いながらも、わずかに眉をひそめた。


二人は知っていた。


雪乃が南蛮帝国の皇帝と懇意にしていることを。


それだけに、この決断は驚きだった。


「……当然よ。」


雪乃は淡々とした表情で続ける。


「私情を挟むつもりはないわ。皇帝が約束を守らないなら、もはや国として信頼することはできない。」


その言葉には、一切の迷いがなかった。


「それに、この件は個人的な問題ではないわ。ジパング王国の外交問題よ。」


そう言うと、雪乃は捕らえた男を見下ろし、冷たく言い放つ。


「南蛮帝国の皇帝が、どう判断するか……私たちは、それを見極めるだけよ。」


室内に張り詰めた緊張感が漂う。


男は冷や汗をかきながら、呻くように言った。


「……そんな、国交の断絶……そんな大事にすることじゃ……」


「これは"大事"なのよ。ジパングの王族を冒涜する行いしたのよ!」


雪乃の瞳は揺るがなかった。


「南蛮帝国の皇帝が、この問題をどう処理するのか。私たちは、それを見届けるだけ。」


「……くっ……。」


男は何も言えず、唇を噛む。


月と花も、そんな雪乃の決断の重さを理解し始めていた。


「……なら、すぐに皇帝に連絡を取るわ。使者を送るわ。忍、使者として赴いてくれる」

「雪姫殿下の御意のままに」

忍もいつもの喫茶店の店員ではなかった。


雪乃はそう告げると、忍に命じて今回の件についてしたためた親書をとどけさせる。

忍は、雪乃の親書を携え転移門を抜けて南蛮帝国皇帝の帝城へと急ぐ。


南蛮帝国の皇帝が、この事態をどう収めるのか――


それが、今後の外交の未来を決めることになるだろう。




決断の時


静寂の中、雪乃は強い意志を込めて言い放った。


「それに、大切な妹に危険が及ぶ可能性があるなら、断じて容認できない。」


彼女の声には、揺るぎない決意が込められていた。


月と花は、雪乃の厳しい表情を見て息を呑む。


普段の穏やかな雪乃とは、まるで別人のようだった。


「……雪姉様。」


月が思わず声を漏らす。


花もまた、目を見開いたまま、じっと雪乃を見つめていた。


彼女たちは知っている。


雪乃が南蛮帝国の皇帝と懇意にしていることを。


だからこそ、この発言がどれほどの覚悟を伴うものか理解していた。


「……なら、もう決まりね。」




この問題は、もはや個人的なことではない。


ジパング王国の王女として、国の誇りと妹たちの安全を守るため、雪乃は冷静に、しかし強い意志を持って交渉に臨むつもりだった。


皇帝の反応次第では――


国交断絶の覚悟もある。


「さて……どう出るかしら。」


雪乃は深く息を吸い、皇帝の応答を待つ。


南蛮帝国の未来、そして雪乃自身の決断が、今まさに試されようとしていた。



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