:さらなる真相へ
エドワードの行方を探る中で、侯爵家を揺るがす「夜の梟団」の存在が明らかになった。廃劇場の地下で見つけた書類には、エドワードがこの謎めいた組織と接触していた痕跡があり、その行動記録が詳細に記されていた。だが、彼の意図やその裏にある真相は依然として闇の中だった。
カミラは執務室で手に入れた書類を睨みつけながら、指をこめかみに当て、考え込んでいた。
「エドワードが夜の梟団と接触していた理由は何なの?」
彼女は小声で呟く。その言葉に答えるように、ルイスが静かに口を開いた。
「可能性としては二つあります。一つは、彼自身が組織の一員として関わっていた場合。そしてもう一つは、何らかの脅迫を受けて協力を強いられた場合です。」
「どちらにせよ、真実を突き止める必要があるわ。」
カミラは書類を机に叩きつけ、立ち上がった。
「お嬢様、次の手は慎重に選ぶ必要があります。」
ルイスは彼女の目を見据え、落ち着いた声で言葉を続けた。
「これ以上、不確かな情報に基づいて動けば、こちらが罠にかかる可能性が高い。」
「罠であろうと、手をこまねいている時間はないの。」
カミラの言葉には焦燥感が滲んでいた。
ルイスは少し間を置いてから、再び口を開いた。
「では、夜の梟団とエドワードが接触した場所を探りましょう。彼らが活動する拠点は、貴族街だけではありません。」
「どこを調べるつもり?」
「宮廷内です。」
ルイスのその言葉に、カミラは驚きの表情を浮かべた。
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宮廷――それは貴族たちの社交と政治の中心地でありながら、同時に裏社会とも密接に繋がる場所でもあった。表向きの華やかさとは裏腹に、権力争いや陰謀が渦巻く世界だ。ルイスが示唆するように、夜の梟団がその影響力を及ぼしている可能性は否定できなかった。
カミラはルイスの提案を受け入れ、秘密裏に宮廷内の調査を進めることを決意した。
「どうやって宮廷内に潜入するつもり?」
「お嬢様には、表向きの訪問者として堂々と振る舞っていただきます。そして、私が裏で動きます。」
「私が囮になるということね。」
「そうとも言えますが、お嬢様の立場を利用することで、宮廷内での行動範囲を広げることが可能です。」
「わかったわ。その計画に従う。」
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数日後、カミラは正当な理由を装って宮廷を訪れた。彼女は、侯爵家の代表として政務に関する書簡を届けるという名目で宮廷内に足を踏み入れた。美しいドレスを身にまとい、冷徹な令嬢としての仮面を完璧に装ったカミラは、宮廷の貴族たちの注目を集めながらも、何事もないように振る舞った。
一方、ルイスは裏社会との接点を探るため、宮廷内の影に潜む者たちの情報を収集していた。
「宮廷内の一部の者が、夜の梟団に協力している可能性が高い。」
彼は密かに集めた情報をカミラに報告した。
「具体的な名前は挙がっているの?」
「いえ、まだ断定はできません。ただ、彼らが秘密裏に会合を開いていることは確認済みです。その会合に潜入する必要があります。」
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その夜、カミラは一人で宮廷内の指定された場所に向かった。ルイスは影から見守りながら、必要があれば即座に動けるよう準備を整えていた。
カミラが指定された部屋に入ると、そこには数人の貴族が集まっていた。彼らは一見して何の変哲もない会話を交わしているようだったが、その内容には微妙な含みがあった。
「侯爵家が最近騒がしいようだが、何か問題でも?」
一人の男が薄く笑いながら問いかけてきた。その言葉に、カミラは内心で警戒心を高めた。
「何も問題はありません。ただ、宮廷内の動向には常に注意を払っています。」
冷静にそう答えるカミラの表情には、一切の揺らぎがなかった。
しかし、その場の空気が次第に険悪なものへと変わり始めた。男たちの視線がカミラを鋭く見据え、何かを探るような態度を見せ始めたのだ。
「侯爵家が夜の梟団に興味を持っていると聞いたが……それは本当か?」
突然の問いかけに、カミラは心臓が跳ねるのを感じた。しかし、その動揺を一切顔に出さず、冷静に答えた。
「興味というより、ただの噂話に過ぎないでしょう。そんなものに振り回されるほど、私は暇ではありません。」
その答えに男たちは一瞬だけ沈黙したが、次の瞬間、カミラの背後で扉が勢いよく開いた。
「捕らえろ!」
声が響くと同時に、複数の男たちがカミラに向かって突進してきた。
「しまった……!」
カミラが身を引こうとした瞬間、ルイスが影から飛び出し、男たちを制圧し始めた。その動きは速く、正確で、見る間に数人の男を無力化していく。
「お嬢様、ここは危険です!」
ルイスが叫ぶように言い、カミラの手を引いてその場から離れた。
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廊下を走り抜け、ようやく安全な場所に辿り着いた二人。カミラは肩で息をしながら、ルイスに向かって言った。
「危険だとわかっていたけれど……あれほどとは。」
「お嬢様の命を危険に晒す行動は避けていただきたい。」
ルイスの声には、いつもの冷静さの中にわずかな苛立ちが混じっていた。
「でも、これで確信したわ。夜の梟団は宮廷内にも深く入り込んでいる。」
「その通りです。しかし、これ以上の行動は慎重に計画する必要があります。」
カミラは息を整えながら、ルイスに向かって頷いた。危険を乗り越えた先にある真実を追い求めるため、二人の戦いはさらに続いていく――。
:さらなる真相の追及
宮廷内での潜入作戦が危険な結果に終わり、カミラとルイスは侯爵家へと戻った。しかし、ただの後退ではなかった。彼らは重要な事実を掴んだのだ――夜の梟団が宮廷内にも影響力を及ぼしていること。そして、その中に協力者がいる可能性が高いこと。
「これで宮廷も完全に安全な場所ではないということね。」
カミラは執務室で深いため息をつきながら言った。
「お嬢様、宮廷内での影響力は彼らの本質を示しています。権力者たちを取り込み、表では動かず裏で計画を進める。それが夜の梟団の手法です。」
ルイスが冷静に分析する。
「それなら、私たちも同じように動かなければならないわ。正面からぶつかるのではなく、相手の計画を逆手に取るの。」
カミラの言葉にルイスは小さく頷いた。
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二人は改めて入手した情報を整理し始めた。潜入中にルイスが確保した新たな書類には、いくつかの興味深い記録が含まれていた。その中には、「次の会合場所」について記された一節があった。
「『地下水路の集会所』……これが次の拠点かしら?」
カミラが書類を指で叩きながら呟いた。
「その可能性が高いです。」
ルイスは地図を広げ、宮廷付近にある地下水路の構造を確認した。
「この水路は、かつて宮廷への水供給を担っていましたが、今では廃止されています。アクセスできる入口は限られていますが、夜の梟団にとっては絶好の隠れ場所でしょう。」
「それなら、そこに行くべきね。」
カミラは即答した。
「お嬢様、今回も危険が伴います。」
「わかっているわ。でも、このまま手をこまねいていては何も変わらない。」
ルイスは彼女の決意を感じ取り、深く息をついた。
「では、私が準備を整えます。安全を最優先に考えますので、私の指示に従っていただけますね?」
「ええ、約束するわ。」
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夜が訪れ、二人は地下水路への潜入を決行した。入口は宮廷から少し離れた廃墟の建物の地下にあった。そこは外から見れば何の変哲もない場所だったが、中に入ると空気が一変した。湿気の多い空間にひんやりとした冷気が漂い、わずかな光が闇を切り裂いていた。
「ここが地下水路……。想像以上に広いわね。」
カミラが声を潜めて言うと、ルイスが頷いた。
「音を立てずに進みましょう。彼らの気配を探ります。」
二人は慎重に足を進めた。道中、壁に取り付けられた古いランプが微かな光を灯していた。その光に照らされて見えるのは、歴史の積み重ねを感じさせる苔むした壁面と、わずかに流れる水の跡だった。
やがて、遠くから低い話し声が聞こえてきた。
「彼らがいるわ。」
カミラが緊張した声で言うと、ルイスが制するように手を上げた。
「慎重に。近づきすぎないように。」
二人は影に隠れながら進み、声の発生源に辿り着いた。そこには十数人の男たちが集まっており、中央では一人のリーダーらしき人物が指示を出しているようだった。
「次の計画を進める。我々の目的は、侯爵家を完全に崩壊させることだ。」
その言葉にカミラは怒りを覚えたが、ルイスが冷静に彼女を制した。
「まだ動くべきではありません。彼らの目的をすべて把握する必要があります。」
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二人はさらに慎重に耳を傾けた。リーダーの男は、侯爵家の家臣や警備隊に関する情報を口にしながら、次の侵入計画を説明していた。
「内部の協力者が次の手筈を整えている。あとは侯爵家の防備を崩すだけだ。」
「内部の協力者……まだ他にもいるのね。」
カミラは小声で呟いた。その言葉にルイスも深く頷く。
「彼らが具体的に誰と接触しているのか、それを突き止める必要があります。」
その時、突然物音が響いた。二人が隠れていた場所の近くで、足音が近づいてくる。
「誰かいるぞ!」
男たちが一斉に声を上げ、こちらに向かってきた。
「見つかった……!」
カミラが声を上げると、ルイスが即座に彼女の手を引いた。
「お嬢様、急いで逃げましょう!」
二人は地下水路を駆け抜けながら、敵の追跡をかわそうとした。道は複雑に入り組んでいたが、ルイスが的確に進路を選び、なんとか安全な場所まで辿り着いた。
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侯爵家に戻ったカミラは、椅子に座り込み、大きく息をついた。
「またしても危険な目に遭ったわね……。」
「お嬢様、今回の行動で十分な情報を得ることができました。彼らの次の計画を阻止する手掛かりを掴んだと言えます。」
「内部の協力者、そして次の侵入計画……すべてを阻止するわ。」
カミラの瞳には強い決意が宿っていた。夜の梟団との戦いはまだ終わっていない。その深い闇に光を差し込むため、彼女とルイスはさらに行動を進めることを決意したのだった――。
:内部の協力者
地下水路での潜入から帰還したカミラとルイス。今回の調査で得られた情報は、夜の梟団が侯爵家の内部に深く入り込んでおり、次の計画が進行中であるというものだった。特に「内部の協力者」という存在が明確になったことで、侯爵家全体に疑心暗鬼の影が差し込む。
カミラは執務室にこもり、手に入れた資料をルイスとともに整理していた。その内容は、彼らがこれまでに得た情報を補完するものだった。
「内部の協力者……どうやら複数いるようね。」
カミラは書類を指で叩きながら言った。
「そうですね。さらに気になるのは、彼らが詳細な内部情報をすでに掌握していることです。これは、協力者がかなりの地位にいる可能性を示しています。」
ルイスは冷静な声で付け加えた。
「つまり、私たちの身近な誰かが裏切り者だということ……。」
カミラの声には怒りが混じっていた。侯爵家の誇りを裏切り、敵に手を貸している者がいるという事実が、彼女の心を苛立たせていた。
「お嬢様、感情的になるのは危険です。冷静に対処しなければ、こちらが不利になります。」
「わかっているわ。」
カミラは深呼吸をして自分を落ち着かせた。
「まずは、彼らが誰なのかを突き止める必要があるわね。」
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◆不審な動きの洗い出し
翌日から、カミラとルイスは侯爵家内での調査を開始した。侍女や執事、護衛隊員たちの日々の動きを密かに観察し、不審な行動を見逃さないようにする。さらに、夜の梟団が次の侵入計画に使用する可能性の高い経路を特定し、そこを重点的に監視した。
「最近、急に警備隊の一部が交代を希望しているようです。」
ルイスが調査結果を報告した。
「交代を希望?それは妙ね。」
カミラは眉をひそめた。
「その理由は?」
「家族の病気や怪我を理由にしている者が多いですが、偶然にしてはタイミングが良すぎます。さらに、交代を希望している者のほとんどが、裏門の警備に関与している点も気になります。」
「裏門……夜の梟団が侵入を試みた場所ね。」
カミラは納得した表情を浮かべた。
「では、その中に協力者が含まれていると見て間違いないわね。」
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その夜、ルイスはさらに踏み込んだ調査を実行するため、一部の警備隊員の動きを追跡することにした。カミラも協力を申し出たが、ルイスはそれを丁重に断った。
「お嬢様、ここから先は危険な行動になります。私一人で十分です。」
「でも……。」
「ご安心ください。必ず証拠を掴んで戻ります。」
カミラは渋々それを了承し、屋敷内でルイスの帰りを待つことにした。
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◆裏切り者の痕跡
深夜、ルイスは一人で屋敷の裏門付近に潜伏していた。不審な動きが報告されている警備隊員たちの様子を観察するためだ。薄暗い中でしばらく待機していると、一人の男がそっと裏門の鍵を操作しているのが見えた。
「動いたか……。」
ルイスは影に身を潜めながら、その男の行動を注意深く見守った。男は裏門を開けた後、外に出て誰かと接触しているようだった。会話の内容は聞き取れなかったが、彼が何かを手渡している様子が確認できた。
その後、男は再び屋敷内に戻り、何事もなかったかのように持ち場に戻った。ルイスはその隙を突いて裏門の外に向かい、男が接触していた人物の痕跡を探した。足跡や落とされた小物を確認すると、そこには小さな封筒が残されていた。
封筒を開けると、中には簡潔な指示書が入っていた。
「次の侵入は三日後、裏門から行う。必要な準備を整えよ。」
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翌朝、ルイスはこの証拠をカミラに報告した。
「彼が協力者の一人である可能性は非常に高いです。しかし、彼だけではなく、他にも共犯者がいる可能性があります。」
「三日後……それまでに彼らを捕らえる準備を整えなければならないわね。」
カミラの瞳には、冷徹な決意が宿っていた。
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◆疑念の広がり
その日、カミラは屋敷内の全員を集め、簡単な指示を出した。表向きは通常業務の確認だが、彼女の意図は別のところにあった。全員の態度や反応を観察し、誰が動揺しているかを見極めるためだった。
「裏門付近の警備をさらに強化します。そのため、警備隊の中から数名を選び、新しい配置に就いてもらいます。」
カミラの冷静な言葉に、数名の警備隊員がわずかに顔色を変えた。
「動揺している……?」
カミラはその表情を見逃さなかった。
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その夜、彼女は再びルイスとともに計画を練り直した。
「彼らが裏門を狙っているのは間違いないわね。でも、それを利用して罠を仕掛けましょう。」
カミラは地図を指しながら提案した。
「侵入経路をあえて用意し、内部で待ち伏せるということですね。」
ルイスが頷く。
「そうよ。そして、協力者たちを含めて一網打尽にするの。」
二人は深夜まで作戦を練り上げ、ついに夜の梟団と内部の裏切り者を捕らえる計画を完成させた。三日後、その計画が実行される――。
:対決の夜
三日後の夜、侯爵家は普段と変わらない静けさに包まれているように見えた。しかしその裏では、カミラとルイスが計画した罠が着実に機能し始めていた。裏門周辺には、警備隊の精鋭たちが目立たないように配置され、侵入者を待ち構えている。
カミラは執務室の窓から庭を見下ろし、冷静な表情を浮かべていた。だが、その胸中では緊張が高まっていた。
「本当に計画通りに進むかしら……。」
カミラは独り言を漏らす。隣に立つルイスがそれを聞き取り、静かに答えた。
「計画に穴はありません。彼らが動けば、必ず捕らえます。」
「それならいいけれど……。」
カミラは深く息をつき、視線を庭から月明かりに照らされた空へと移した。
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◆侵入者の動き
深夜、屋敷の裏門付近に小さな物音が響いた。それは警備隊員が待ち望んでいた合図だった。影の中から現れたのは、黒いフードを被った数人の男たちだった。彼らは周囲を警戒しながら裏門に近づき、鍵を開け始めた。
「侵入者確認。計画通りです。」
警備隊の一人が小声でルイスに報告する。ルイスは頷き、指示を出した。
「まだ動くな。全員が入ったところで包囲する。」
男たちが裏門を開け、次々と屋敷内に入り込んでいく。その姿は迅速で訓練された者たちのように見えた。裏門の鍵を操作していた男が最後に中へ入ると、警備隊が静かに動き出した。
「今だ。」
ルイスの短い指示とともに、警備隊が一斉に動き、侵入者たちを包囲した。
「動くな!」
警備隊長の鋭い声が響き、侵入者たちは一瞬動きを止めた。しかし次の瞬間、一人が短剣を抜き、抵抗を試みた。
「お嬢様、屋敷内へ!」
ルイスは即座にカミラを屋敷の安全な場所へ誘導しながら、警備隊に指示を出した。
「全員確保しろ。逃がすな!」
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◆内部の協力者の露見
その混乱の中、侵入者の一人が突然、裏門付近にいた警備隊員の一人に合図を送った。その警備隊員は何の迷いもなく持ち場を離れ、侵入者のために別の扉を開けようとした。
「そこで止まれ。」
その瞬間、背後からルイスの低い声が響いた。振り返った警備隊員の表情には動揺が走った。
「な、何のことでしょう……。」
「裏切り者にしては言い訳が拙いな。」
ルイスは冷徹な口調で言い、懐から取り出した書類を突きつけた。それは、彼が三日前に裏門で見つけた指示書だった。
「これはお前が夜の梟団から受け取ったものだな。すべて把握している。」
「……違います!」
警備隊員は震えた声で反論したが、その態度は明らかに動揺を隠しきれていなかった。
「その者を拘束しろ。」
ルイスの指示で、警備隊が彼を押さえ込んだ。
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◆侵入者の制圧
一方、裏門から侵入した男たちは必死に抵抗していたが、訓練された警備隊に次々と制圧されていった。短剣や小型のクロスボウを用いて反撃を試みたが、計画を把握した上で準備を整えていた警備隊に対抗する術はなかった。
「全員捕らえました。」
警備隊長がルイスに報告する。
「ご苦労だった。連れて行け。」
侵入者たちは縛り上げられ、侯爵家の地下牢に連行された。その顔には悔しさと恐怖が入り混じっていた。
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◆カミラの対峙
全員が捕らえられた後、カミラは執務室で彼らのリーダーと思われる男と対峙していた。リーダーの男は堂々とした態度を崩さず、カミラの目を見据えて笑みを浮かべた。
「やるじゃないか、侯爵家の令嬢様。」
「ふざけないで。」
カミラは冷徹な声で言い放つ。
「あなたたちの目的は何?」
男は笑みを浮かべたまま答えた。
「目的?それはもちろん、侯爵家を崩壊させることだ。」
「それが成功するとでも思っているの?」
「お嬢様。」
ルイスが彼女を制するように肩に手を置いた。
「彼らの言葉に惑わされる必要はありません。ここから先は我々が対応します。」
カミラは一瞬ルイスを見つめた後、頷いた。
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◆決意と次の一手
その夜、すべての侵入者と協力者が捕らえられた。だが、これで終わりではない。夜の梟団はまだ動いている。その背後にはさらに大きな陰謀が潜んでいるに違いない。
執務室で一息ついたカミラは、ルイスに向かって言った。
「これで彼らの動きを止められるわけではないわね。」
「その通りです。」
ルイスは冷静に頷いた。
「これからが本当の戦いです。」
カミラは深く息をつき、窓の外に広がる夜空を見上げた。彼女の胸には、さらなる戦いへの覚悟が静かに宿っていた。
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