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第6話 ちょっと強い魔物と戦う【クイナの森編】

 森の奥に入っていくと、スケルトン15体とカイザーオークが3体ほどが現れた。父が再びささやいた。


「ここにも魔族の影響が…。」


 おそらく、野生の魔物に紛れて、魔族の魔物もこのあたりに潜んでいるようだ。

 次に、魔法弾を込めて撃ってみた。今回は9x19mmパラベラム[W]弾だ。念のために言っておくが、これは「草」ではない。この[W]魔法弾を使うことで、弾丸の貫通力が飛躍的に上がり、1発だけで何十体もの魔物の体を貫通することができる。


 初めて[W]弾を撃ってみたが、気持ちよすぎる。撃った瞬間に頭に浮かんだ言葉がこれだった。10発ほど撃つと、スケルトンは簡単に一掃できた。


 残りはカイザーオーク数匹か。しかし、カイザーオークは見るからに強そうだ。


 吊り目で、オークをはるかに超える大きな牙が特徴的だ。その牙は人間に刺さったら即死しそうな大きさだ。そして、一般的なオークの茶色とは異なり、魔物の知識が乏しい者でも分かるほどの色の違いがある。全身が黒赤紫色で、簡単に言えば非常に濃い紫だ。一般的なオークの体長が160cmほどであるのに対し、カイザーオークはオークの4~5倍と言われている。このカイザーオークたちは6~8mはあるだろう。

 なかなか手強そうだ。スケルトンのようには簡単に倒せないだろう。


 念のため、ステータスプレートでカイザーオークのステータスを確認してみる。レベル70ほどだ。やはり手強い。


「オークは足を狙って転ばせて、頭部を攻撃しろ。あと、火属性に弱い。これはオークもカイザーオークも同じだ。」

「分かりました。」


 火属性に弱いと聞いたので、俺はストッピングパワーの高い.45 ACP[エクスプロージョン(少)]弾をサウ1号に装填することにした。さらに、エクスプロージョンの魔法を少し込めた弾薬だ。ちなみに、ストッピングパワーとは、敵を行動不能にして動きを止める力のこと。その能力が高いため、ストッピングパワーと呼ばれている。

 そして、.45 ACP[エクスプロージョン(少)]弾を装填したサウで、3体のカイザーオークの足を狙って撃ってみた。1発ごとに足元で小さな爆発が起こり、転ぶまではいかなかったが、少し効いているように見えた。その爆発に驚いて一瞬ぼーっとしていたら、父の声が聞こえた。

「どんどん撃つんだ。」

「はい。」


 父はファイヤーストーム弾を撃っているようだ。しかし、カイザーオークは中級魔物なので、そこまで怯むことなく俺たちに近づいてくる。体が大きいせいで走る速度は速く、このままでは追いつかれてしまう。そこで、父譲りの身体能力を活かして木の上に飛び乗った。どうやら父も木の上に登ったようだ。


 カイザーオークが木を揺らしてくるが、構わず頭部を狙って弾丸を放つ。1体に何発か命中させ、怯んだところを父と姉と俺で集中攻撃した。カイザーオークが叫ぶ。これはかなり効いている証拠だろう。父と姉がさらに追撃し、俺も弾丸を再装填して追撃する。そして、何とか1体を討伐することに成功した。残りは2体だ。


「ヴェス、やるねぇ。さすが私の弟だ。」

「お姉ちゃん、ありがとう。」

「ヴェス、まだ来るぞ。次はバーサク弾を使ってみよう。中級魔物には恐らく効くだろう。」

「はい、分かりました。」


 そこで、サウ2号に.357 SIG[バーサク]弾を装填する。ちなみに、.45 ACP[バーサク]弾はあまり売られていない。貫通力が低い.45 ACP弾とバーサクの相性が悪いからだ。


 とりあえず、1体ずつに4発ほど命中させた。見事に効果を発揮し、カイザーオークたちはお互いを攻撃し始めた。オークたちから離れつつ、さらにバーサク弾を頭に撃ち込んでいく。かなり効いているようだ。


 そして数分後、銃で攻撃しつつオーク同士が戦っていると、片方が倒れた。そこで、先ほど撃ったもう1丁のエクスプロージョン弾が装填されたサウを取り出し、弾がなくなるまで撃った。すると、残りの1体のカイザーオークも倒すことができた。中級魔物だったが、思ったより簡単に倒せたようだ。









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