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第8話 深紅の竜?【クイナの森編】

 父は銃使いの名人だが、召喚魔法も使える。木の上に飛び乗った父が口を開いた。


「詠唱してる間、できるだけ時間を稼いでくれ。」

「分かりました。」


 そう答えたものの、状態付与の弾丸もあまり役に立たないし、どうすればいいんだろう。とりあえず撃つしかない。そう思い、どの弾にしようか悩む時間もないので、さっきと同じ麻痺弾とエクスプロージョン弾を装填して撃ち続けることにした。


 でも、ハイリザードマンは構わずこちらに向かってくる。俺はすかさず逃げながら撃つ。それを繰り返して2~3分経つと、赤い魔法陣が現れ、大きな光と共に深紅の竜が召喚された。


 これが召喚魔法か。深紅の竜の片方の翼は、頭から足までの2倍以上の大きさがあるほど巨大だ。そんな巨体だから、足だけでも2メートルくらいありそう。これなら勝てるんじゃないかと思えてきた。上級魔物とはいえ、あんな巨大な竜の打撃やブレスを受けたらひとたまりもないだろう。


 感心していると、深紅の竜が上空に飛び上がり、ブレスを放った。ハイリザードマンにかなり効いている様子だ。ブレスを放った後、とどめにと、爪だけで40~50センチはありそうな足を一振り。見事にKOだ。


 悲報:やっぱりこの世界は魔法が強かった。


「父様、やっぱり召喚魔法ってすごいですね。」

「うん、召喚魔法は強力だよ。ヴェスに魔法が使えない子として生んでしまって申し訳ないな。」

「父様が謝ることじゃないですよ。」

「やっぱり父様すごい! 私は召喚魔法使えないもん。」

「姉ちゃん! 俺は魔法自体使えないぞ!」

「あ、ごめんごめん。」

「この装備じゃこの先は危ないから、今日は一旦家に帰ろう。」


 そうして俺たちは家に戻った。帰宅すると、父が言った。


「.500 S&Wマグナムを2丁、お前にやろう。昔、私が使ってた銃だ。お前は天才だから扱えるだろう。」

「ありがとうございます。大事にします!」

「いいね、新しい銃! お姉ちゃんも弟のために、今度コレクションから何かあげようかな。欲しいだろ、欲しいだろ、なぁ弟よ。頭を下げなさい。」


 新しい銃が欲しかったので、仕方なく頭を下げた。


「苦しゅうない。本当に欲しいのか? 頭を地面に擦り付けなさい。」

「姉ちゃん、本当にくれるの?」

「当たり前でしょ。約束するよ。ヴェスが可愛いから、つい私のS心が燃えちゃってさ。どれをあげるか選ぶから、それまで待っててね。」

「ありがとう!」

「ちなみに、どんな銃がいい?」


 正直迷った。姉は銃のコレクターだから、大抵の銃は持ってるはず。スナイパーライフルもいいし、アサルトライフルもいい。いや、サブマシンガンも捨てがたい。俺は前世でロシア製やドイツ製の銃が好きだった。特に前世の第二次世界大戦頃のドイツ銃が好きだから、今すぐ決めるのは難しい。

 まぁ、考えておこう。とりあえず、アサルトライフルかサブマシンガンにしようかな。


「また考えるけど、アサルトライフルかサブマシンガンがいいな。」

「分かった! よーく考えててね。私も我が弟のために銃を買い足しておくよ。」

「ありがとう!」


 今日、父の召喚魔法を見て俺は思った。まだまだ今の俺の力では、召喚魔法にすら遠く及ばない。このままでは魔王を倒せない。だから、もっと修行すると心に誓った。











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