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第18話 魔族襲来

 魔法学校の生活にも少し慣れてきた頃、入学して1ヶ月ほど経ったところで、ある事件が起きた。校庭で先生が血を流して倒れている。これはローカン先生だ。ローカン先生とは話したことはなかったけど、魔法学校の先生の中でも実力者だ。幻影魔法と氷魔法が得意だったらしい。


 俺は血だらけの人を見たことがなかったから、思わず吐いてしまった。前世で飼ってたワンコのことを思い出した。そのワンコは血を吐いて亡くなった。その時は、吐かなかったけど、大声で泣き叫んだな。もう助からないんだって。あの時の気持ちを思い出した。本当に悲しかった。


 ペットがいる人なら分かると思うけど、ペットと言っても人間の家族みたいな存在だから、あれほど悲しいことはなかった。そんな気持ちだ。知ってる人が死ぬってことは…。

 血だらけの先生は回復術室に運ばれ、治癒魔法が得意な先生が何度も魔法をかけたけど、出血が多すぎて助からなかった。この世界では魔法で大抵の病気やケガが治療できるって言っても、さすがにこれじゃ無理なのか。 


 1人の回復魔法の先生が言った。


「ダメです。出血がひどすぎて、助かりませんでした。」


 魔法学校の先生が殺されるなんて…。父親に続き、先生まで殺されるなんて…。


 魔族はおそらく、この世界の人間を皆殺しにして、資源や物資を奪おうとしてるんだろう。 


 2日後、亡くなった先生のお葬式のようなものが行われた。先生のためにも、これ以上犠牲を増やさないためにも強くなろう。大事な人がこれ以上殺されるのは嫌だから、もっと銃の特訓をして強くなることを誓った。 


 図書館で勉強していると、怪しい魔力を感じた。こっそり外を見てみると、魔物らしき影が見えた。おそらく魔族だろう。こんな魔力はなかなか感じたことがない。先生を殺したのもこいつかもしれない。女性らしい体つきで、身長は160cmくらいだ。


 エルフのよう、とがった耳に青白い肌、白い髪。脚が長く、赤と黒が混じった服を着ている。敵じゃなければ、すらっとした長い脚にグラマーな体型でいい女なんだけど…。そんなこと考えてる場合じゃない。すぐに先生に報告しないと…。


 急いで先生を探した。もう帰ってる先生もいるのかなと考えていたら、レーザー先生を見つけた


「先生! 魔族らしき者が学校に来てます。」

「分かった。すぐ先生たちを集めるわ。」 

 良かった。なんとか大事になる前に先生たちが集まってくれそうだ。 


 そうして、先生たちと俺は校庭に集まった。 


 すると、あのグラマーな魔族がしゃべりだした。


「人間ども。この世界は魔族がもらう。この世界は資源も豊富だからな。手始めに、この学校で魔力が高い者を殺してやろう。」 


 もし俺が魔王になったら、この美人?なグラマー魔族とデートしたり、デートしたりデートしたり…できるのかな。人間じゃなく、せっかく異世界に来たんだから、人間以外の女性?雌?とも仲良くなりたいなんて。いかん、そんなこと考えてる場合じゃない。油断するとどんな時でもくだらないこと考えてしまうのは俺の悪い癖だ。 変なことを考えるのをやめ、グラマーな魔族に近づくと、すごい魔力だ。念のためステータスプレートでレベルを見てみる。レベル500って圧倒的な数値だ。こんなの、先生たちが束になっても勝てるのか? それでも先生たちを応援しよう。


 そう考えていると、校庭にグラマー魔族以外にもいろんな魔物が現れた。グラマー魔族が呼び寄せたのかも。これはもう先生だけに任せておけない。誰か知り合いがいないかキョロキョロしてると、幼馴染がいたので声をかけた。

「おーい! レティ、大丈夫?」

「大丈夫だよ。でも、大変なことになったね。」

「うん。みんなで協力して魔族を倒すしかない。」 


 話してると、眼鏡ガリ変態野郎が現れた。

「イチャイチャしてるとこ悪いけど、僕も協力しますぜ、アニキ。」

「イチャイチャしてないわ! ただ話してただけだよ。それにアニキってやめてよ。」

「いいじゃないですか。いろんな女の子のことを知ってるんでしょ? 僕に言わせりゃ、アニキですぜ。」

「そんなふざけてる場合じゃないよ。」 


 なんて言ってると、先生が何やら指示を出し始めた。1年生は校庭の東側を手伝ってほしいと言われたので、早速向かうことにした。この時間はもう暗いけど、木々に魔法を込めて光らせてる。これがこの世界の街灯だ。ただ、銃に魔法を込められるのは、この世界じゃ俺と大賢神様と賢神様くらいのものだ。






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