目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報

第5話 隣国での再会

 ナヴィアとアルマを乗せた馬車が、ついにエトワール王国の城門に到着した。エトワール王国の守衛たちが馬車に近づき、軽く敬礼をする。


「こちらはエスティリス帝国の第5王女、ナヴィア様の馬車です。セリーナ王妃様にお目通りをお願いしたいのですが。」

アルマが毅然とした声で守衛に告げると、守衛たちは驚いた表情を見せた。


「ナヴィア様が……こちらに?すぐに王妃様にお知らせします!」


守衛の一人が急いで城内へ駆け込む。その間、ナヴィアは馬車の窓から顔を出し、広がるエトワール王国の景色を眺めていた。


「ここがセリーナお姉様のいる国……きれいなところだね。」

ナヴィアは無邪気な声で感想を述べるが、その目には不安の色も残っていた。


「アルマ、本当にお姉様はわたしの話を聞いてくれるかな……?」

「きっと大丈夫です。セリーナ様はナヴィア様のことをとても大事に思っていらっしゃいます。」


アルマの言葉に、ナヴィアは少しだけ安心したように笑った。



---


姉との再会


しばらくすると、エトワール王国の城内からセリーナが現れた。優雅なドレスを身にまといながらも、その表情は驚きと心配に満ちている。


「ナヴィア!あなた、本当にここに……!」

セリーナは急いで駆け寄り、小さなナヴィアをしっかりと抱きしめた。


「セリーナお姉様……!」

ナヴィアは姉の温かい腕に包まれながら、涙がこぼれそうになるのをこらえた。


「いったいどうして?帝国で何があったの?ナヴィア、無事でいてくれて本当に良かった。」

セリーナの声には、安心と同時に不安が入り混じっていた。


「お姉様、わたし……追放されちゃったの……。」

ナヴィアは小さな声でそう告げた。


「追放?いったいどういうこと?誰がそんなことを!」

セリーナの声が少し震え、彼女の美しい顔に怒りが浮かぶ。


「宰相さんが、わたしが国家反逆罪だって言ったの。でも、わたし、何もしてないのに!」

ナヴィアは幼いながらも必死に説明した。


セリーナはその言葉を聞き、眉を深くひそめた。


「宰相が……そんなことを……。あなたを追い出して、いったい何をしようとしているの?」



---


ナヴィアの決意


ナヴィアは姉の目をまっすぐに見つめ、小さな拳を握りしめた。


「お姉様、お父様が病気で動けないから、宰相さんが悪いことをしてるの!お父様を助けるために、わたし、お姉様たちの力を借りたいの!」


その言葉に、セリーナは驚きの表情を浮かべた。


「ナヴィア、あなた……。」


「わたし、わからないことばっかりだけど、お父様を助けたいの。宰相さんがこのまま国を好き勝手にするのは、絶対に嫌!」


ナヴィアの小さな体から溢れる決意に、セリーナはしばらく言葉を失った。しかし、次第にその表情は優しく変わり、ナヴィアの手をしっかりと握った。


「ナヴィア、あなたは本当に強い子ね。お父様のためにここまで考えて……。私も力を貸すわ。一緒にお父様を救いましょう。」


「本当に!?ありがとう、お姉様!」

ナヴィアの顔がパッと明るくなり、セリーナも微笑みを浮かべた。



---


協力の始まり


その後、セリーナはナヴィアを城内に案内した。美しい部屋に通されたナヴィアは、少し緊張しながらもお茶を飲み、一息ついた。


「ナヴィア、まずは何をしたいの?」

セリーナが優しく問いかけると、ナヴィアはしっかりと答えた。


「他のお姉様たちにも助けてほしいの。それに、お父様の味方だった皇帝派の人たちにも協力してほしい!」


「皇帝派の人々ね……確かに、彼らの助けがあれば大きな力になるわ。」


セリーナは納得したように頷き、続けた。


「それでは、各国に手紙を送る準備をしましょう。他のお姉様たちにもすぐに連絡を取るわ。」


「うん!お姉様、ありがとう!」

ナヴィアは元気よく答え、その無邪気な笑顔にセリーナもつられて微笑んだ。





この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?