目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報

第6話 支援要請の準備

 ナヴィアとセリーナは、エトワール王国の城内にあるセリーナの執務室にいた。部屋には、エトワール王国の紋章が彫られた重厚な机があり、その上にはセリーナが手配した地図や筆記用具が並べられていた。ナヴィアは小さな体で椅子に座り、一生懸命考えを巡らせていた。


「ナヴィア、手紙を出す相手を整理しましょう。他のお姉様たちにはどんな内容を伝えたいの?」

セリーナが優しく問いかける。


「うん……まず、お姉様たちに、宰相さんが帝国を好き勝手にしてることを教えるの。それから、お父様を助けるために力を貸してほしいってお願いするんだよ!」

ナヴィアは目を輝かせて答えた。


「そうね。それなら、簡潔で分かりやすい内容がいいわね。他のお姉様たちが動きやすいように、具体的な協力をお願いしましょう。」

セリーナは机の上の紙を手に取り、筆を執った。



---


手紙の内容を決める


「えっと、まずクロエお姉様……グランツ王国だよね?」

ナヴィアが確認すると、セリーナは微笑みながら頷いた。


「そうよ。クロエは軍事に長けた国の王妃だから、きっと軍の支援をお願いするのがいいと思うわ。」


「うん、わかった!『クロエお姉様、グランツ王国の兵士さんたちを貸してくれないかな?』……こんな感じでいい?」

ナヴィアが言うと、セリーナは少し微笑みながら首を振った。


「もう少し丁寧な言葉遣いが必要ね。でも、気持ちはそのままで大丈夫よ。」


ナヴィアはセリーナに助けてもらいながら、クロエへの手紙の内容を練った。



---


次に、リリスへの手紙に取り掛かる。


「リリスお姉様にはどうお願いする?」

ナヴィアが尋ねると、セリーナは少し考え込んだ。


「リリスはノーザルド王国の王妃よね。あの国は医療や学術が発展しているから、情報や支援物資をお願いするのがいいかもしれないわ。」


「そっか!じゃあ『リリスお姉様、帝国のことを調べてくれる人を送ってほしいの。それから、怪我をした人たちのために薬もお願い!』って書くね!」


「うん、それでいいわ。」


ナヴィアは筆を握り、一生懸命リリスへの手紙を書いた。時々字を間違えて、セリーナに助けてもらいながらも、少しずつ完成に近づけた。



---


最後に、アイリーンへの手紙だ。


「アルバート王国は貿易が盛んだから……財政支援をお願いするのがいいかしら?」

セリーナが提案すると、ナヴィアは大きく頷いた。


「そうだね!『アイリーンお姉様、戦うのに必要なお金とか、物を用意してほしいの!』って書くよ!」


「いいわね。それに加えて、犯罪者引き渡しの協定についても触れておくべきね。宰相が逃げ込めないようにしておく必要があるわ。」


「なるほど!お姉様、すごい!」

ナヴィアは素直に感心しながら、再び筆を握った。



---


皇帝派貴族への手紙


手紙をすべて書き終えた後、ナヴィアは疲れたように椅子に深く座り込んだ。


「ふぅ、たくさん書いたよ。でも、これで大丈夫かな?」

ナヴィアは少し不安げな表情を浮かべた。


「大丈夫よ、ナヴィア。これだけしっかり書けば、きっとみんな協力してくれるわ。」

セリーナが優しく言うと、ナヴィアは少し安心したように微笑んだ。


「それと、皇帝派の人たちにも手紙を送りましょう。」

セリーナが続ける。


「皇帝派の人たち……?」

ナヴィアは首をかしげる。


「そう。帝国の中には、まだお父様を支持している貴族が残っているの。その人たちに連絡を取って、協力をお願いするのよ。」


「なるほど!お父様を助ける仲間を増やすんだね!」

ナヴィアは納得して頷いた。



---


使者の手配


すべての手紙が書き終わると、セリーナはそれを確認し、満足げに頷いた。


「ナヴィア、これで準備は整ったわ。次は使者を選んで、手紙を届けてもらう手配をするわね。」


「うん、お姉様、ありがとう!わたし一人じゃこんなにたくさんできなかったよ!」

ナヴィアは感謝の気持ちを込めて、セリーナに抱きついた。


「大丈夫よ、ナヴィア。あなたが頑張っているから、私も全力で助けるの。それに、きっと他のお姉様たちも同じ気持ちよ。」


セリーナはナヴィアをそっと抱きしめ、その小さな体を励ました。


「使者が出発するまで少し時間がかかるから、その間にもう少し作戦を練りましょう。あなたの計画は大胆だけど、とても素晴らしいわ。」


「うん!わたし、もっと頑張る!」

ナヴィアの無邪気な笑顔が、セリーナの心を温かくした。








この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?