ナヴィアがセリーナと共にエトワール王国で支援の準備を進めている中、宰相ダリウスは次なる行動を起こしていた。彼は、ナヴィアが国外で協力者を得ることを危惧し、密かに刺客を送り込む命令を下していた。
その夜、エトワール王国の城内では、使者たちが各国へ向かう準備を進めていた。セリーナはナヴィアと共に最後の手紙を確認している。
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警備の異変
「これで最後の手紙よ、ナヴィア。もうすぐすべての準備が整うわ。」
セリーナが微笑みながら言うと、ナヴィアは満面の笑みで答えた。
「ありがとう、お姉様!これでみんなに協力してもらえるよね!」
その時、城内の廊下を慌ただしく駆ける足音が響いた。警備兵が緊張した表情で駆け込んでくる。
「王妃様!城内に不審な影が複数確認されました!」
セリーナはすぐに状況を理解し、冷静に指示を出した。
「全員を守りなさい。特にナヴィアを最優先で安全な場所に移動させて。」
「はい、王妃様!」
ナヴィアは驚きながらセリーナを見上げた。
「お姉様、何が起きてるの?」
「少し危ない状況よ。あなたはアルマと一緒に安全な場所へ移動していて。」
「でも……わたし、何かできることがあるんじゃないの?」
ナヴィアの目に不安と共に強い意思が浮かんでいるのを見て、セリーナは一瞬だけ迷った。しかし、今は安全が最優先だと判断する。
「ナヴィア、お願いだからアルマと一緒に行って。私は必ず状況を収めて、あなたのもとに戻るわ。」
ナヴィアは渋々頷き、アルマと共に奥の部屋へと移動した。
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刺客との攻防
一方、城内では警備兵と不審者たちとの攻防が始まっていた。不審者たちは暗い服装に身を包み、素早い動きで警備兵を翻弄している。
「何者だ!」
警備兵の声が響く中、不審者の一人が低い声で呟いた。
「……この城にいる少女を引き渡せ。それ以上の戦いは望んでいない。」
「そんな要求に応じられるわけがない!」
警備兵たちは武器を構え、不審者たちに立ち向かった。
セリーナも現場に駆けつけ、状況を冷静に観察する。
「この動き……ただの盗賊やならず者ではないわね。」
彼女は部下たちに指示を出し、迅速に包囲網を作り上げた。
「この城の中で好き勝手はさせない。侵入者を全員捕らえなさい!」
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ナヴィアの不安
安全な部屋に避難したナヴィアは、落ち着かない様子で椅子に座っていた。アルマがそっとナヴィアの肩に手を置く。
「ナヴィア様、大丈夫です。王妃様と警備隊がきっと事態を収めてくださいます。」
「でも……わたしのせいでみんなが危ない目に遭うのは嫌だよ……。」
ナヴィアは小さな手を握りしめ、悔しそうな表情を浮かべる。
「わたし、いつか自分でみんなを守れるようになりたい。お姉様やアルマみたいに、強くなりたい……。」
アルマはその言葉に微笑み、小さく頷いた。
「そのお気持ちがあれば、ナヴィア様はきっと立派な方になれますよ。今は、成長するための準備期間だと思ってください。」
ナヴィアはその言葉に励まされ、小さく頷いた。
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侵入者の正体
やがて、セリーナの部下たちが侵入者の一部を取り押さえることに成功した。縄で縛られた侵入者の一人が、不敵な笑みを浮かべている。
「王妃様……この者たちから、何としても情報を聞き出してください。」
部下がセリーナに報告する。
セリーナは侵入者を見つめ、鋭い声で問いかけた。
「あなたたちは誰の指示で動いているの?目的は何?」
侵入者はしばらく黙っていたが、やがてポツリと答えた。
「……我々は、帝国宰相ダリウス様の命を受けて動いている。あの小娘がいる限り、帝国の安定は訪れない……。」
その言葉を聞いたセリーナの目に怒りが宿る。
「ダリウス……やはりあなたね。自分の思惑のために、幼い子供に手を出すなんて。」
セリーナは深く息をつき、部下たちに指示を出した。
「この者たちを地下牢に連れて行きなさい。そして、宰相の次の動きについて詳しく聞き出すのよ。」
「かしこまりました!」
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姉妹の結束
その後、セリーナはナヴィアのもとに戻り、優しく声をかけた。
「ナヴィア、もう大丈夫よ。侵入者たちは全員捕らえたわ。」
ナヴィアはホッとした表情を浮かべながら、セリーナに駆け寄った。
「お姉様、ありがとう……。お姉様がいなかったら、わたし、どうなってたかわからない……。」
セリーナはナヴィアの頭を優しく撫で、微笑んだ。
「ナヴィア、あなたはとても頑張っているわ。これからも一緒に頑張りましょう。」
ナヴィアはその言葉に大きく頷き、小さな拳を握りしめた。
「うん!わたし、お父様を助けるために、もっともっと頑張る!」