ナヴィアはセリーナとともに城内の執務室にいた。広げられた地図の上に、彼女の小さな指が動き、各国の位置を指し示していた。その表情は幼いながらも真剣で、セリーナも圧倒されるほどの気迫を感じ取っていた。
「お姉様、わたし、この作戦を考えたの!」
ナヴィアは勢いよく話し始めた。
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ナヴィアの提案
「宰相さんを倒すためには、ただ1つの国の力だけじゃ足りないと思うの。だから、4つの国が力を合わせて、一気に宰相さんを追い詰めるの。」
ナヴィアは地図に目を落としながら、小さな指で各国を指し示した。
「ここがクロエお姉様のいるグランツ王国。そしてここがリリスお姉様のノーザルド王国、アイリーンお姉様のアルバート王国……それから、エリュシオン王国。4つの国が、四方から帝国に進軍して、宰相さんを包囲するの。」
セリーナは驚きの表情を浮かべながら、地図を見つめた。
「ナヴィア……あなたが考えたの?こんなに大きな計画を……。」
「うん!お父様を助けるためには、これしかないって思ったの!」
ナヴィアは力強く頷き、その目に強い意志を宿していた。
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作戦の詳細
ナヴィアは指を動かしながら、さらに説明を続ける。
「まずは、4つの国に協力をお願いするの。クロエお姉様の国には、兵士さんをお願いする。リリスお姉様の国には、情報と薬を……それから、アイリーンお姉様の国には物資とお金をお願いするの!」
「それだけじゃないの。わたし、エリュシオン王国にも行きたいの。」
ナヴィアの言葉に、セリーナの眉が動く。
「エリュシオン王国?それはどうして?」
「もし宰相さんが追い詰められたとき、この国に逃げ込むかもしれない。だから、エリュシオン王国には、宰相さんを捕まえる協力をしてほしいの!」
セリーナはその言葉に感心したように小さく息をついた。
「なるほど……確かにエリュシオン王国は宰相にとって最後の逃げ道になる可能性が高いわね。でも、ナヴィア、それはとても難しいお願いになるわ。」
「わかってる。でも、お父様を助けるためには、全部やらなきゃダメなの!」
ナヴィアは力強い声で言い切った。
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皇帝派との連携
「それだけじゃなくて、帝国の中にいる皇帝派の人たちにも協力してもらうの。」
ナヴィアは地図上の帝国の中央を指差した。
「わたしが書いたお手紙を、皇帝派の人たちに届ける。それで、宰相さんに反対している人たちを一緒に戦えるようにするの。」
セリーナはナヴィアの話に深く頷きながら、少しずつ計画の全容を理解していった。
「つまり、4カ国が四方から進軍し、同時に皇帝派の人たちが内乱を起こすことで、宰相派を完全に包囲する……ということね。」
「そう!その通りなの!」
ナヴィアは嬉しそうに笑顔を浮かべた。
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セリーナの反応
セリーナはしばらく地図を見つめ、深く考え込んだ。彼女にとっても、この計画は驚くべきものだった。たった5歳の少女がここまでの作戦を考えたという事実に、感心と驚きが入り混じる。
「ナヴィア、これはとても大胆で、難しい作戦よ。でも、あなたの決意は本物ね。」
「うん!お父様のために、わたしができることを全部やりたいの!」
セリーナは微笑みながらナヴィアの肩に手を置いた。
「いいわ。あなたのその覚悟に私も賭けるわ。この作戦を成功させるために、私も全力で協力する。」
「本当に!?ありがとう、お姉様!」
ナヴィアは飛び跳ねるように喜び、セリーナに抱きついた。
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次への布石
その後、セリーナは早速使者の準備を始めた。ナヴィアは自分の書いた手紙を使者たちに手渡し、各国への協力要請を託す。
「お姉様たちに、どうか力を貸してってお願いしてね!」
使者たちは力強く頷き、ナヴィアの手紙を受け取る。
「エリュシオン王国への準備も進めましょう。あなたが自ら行くというなら、しっかりとした護衛をつけなければ。」
セリーナは真剣な表情で話した。
「うん!次の国でも、わたしが直接お願いするの!」
ナヴィアの目は希望と決意で輝いていた。
こうして、ナヴィアの提案した4カ国同盟の計画は動き出し、次の段階へと進むことになった。