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第13話 ヴィクトールとの再会

 エリュシオン王国の王城に到着したナヴィアは、初めて見る壮麗な城に目を輝かせていた。美しい彫刻が施された壁や、鮮やかなステンドグラスの光が差し込む広間は、エリュシオン王国の繁栄を物語っていた。


「ここがエリュシオン王国……本当にすごいところだね!」

ナヴィアが小声でつぶやくと、隣にいるアルマが静かに頷いた。


「ええ、とても美しい城ですね。でも、気を抜かないでください。これからが本番です。」


ナヴィアは深呼吸をして気を引き締め、案内役の侍従に従いながら玉座の間へと向かった。



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ヴィクトールとの再会


玉座の間に入ると、王座にエリュシオン王が座っているのが見えた。威厳ある佇まいの王と、その隣には若い男性が立っていた。ナヴィアはその男性に見覚えがあり、驚きの声を上げた。


「ビクターさん!?」


若い男性――以前ナヴィアを助けてくれた冒険者は、にこやかに微笑みながら答えた。


「久しぶりだな、ナヴィア殿下。」


ナヴィアは目を丸くしながら問いかけた。


「どうしてここに……ビクターさんって冒険者じゃなかったの?」


その言葉に、男性は少し苦笑いを浮かべながら答えた。


「ナヴィア殿下、実は私はヴィクトール。エリュシオン王国の第二王子だ。」


ナヴィアは驚きのあまり声を失い、しばらくの間、ぽかんと口を開けたまま固まっていた。


「え、えぇ!?王子様だったの!?じゃあ、あのとき助けてくれたのも……王子様!?」


ヴィクトールは軽く肩をすくめながら笑った。


「そういうことだ。あのときは冒険者として旅をしていたから、正体を隠していたんだ。」



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感動と再会の喜び


ナヴィアは少し困惑しながらも、感謝の気持ちを伝えた。


「本当にありがとう、ヴィクトール王子様。あのとき助けてもらえなかったら、わたし……どうなってたかわからないよ。」


ヴィクトールは穏やかに微笑みながら答えた。


「そんなことは気にするな。それにしても、あのときの君の覚悟には驚かされたよ。たった5歳で、これだけの計画を立てて行動しているとはな。」


ナヴィアは少し恥ずかしそうにうつむいたが、すぐに顔を上げて真剣な表情を浮かべた。


「ヴィクトール王子様、わたし、お父様を助けるためにどうしてもエリュシオン王国の協力が必要なの。わたしのお願いを聞いてくれる?」


ヴィクトールはその瞳に宿る真剣さを感じ取り、大きく頷いた。


「もちろんだ、ナヴィア殿下。君がどんなお願いを持ってきたのか、詳しく聞かせてくれ。」



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玉座の間での対話


エリュシオン王もまた、ナヴィアに興味を抱いたようで、優しい声で話しかけた。


「小さな客人よ、ヴィクトールが言う通り、君の計画を聞かせてもらおう。君が何を考え、どのように行動しようとしているのか。」


ナヴィアは少し緊張しながらも、しっかりと玉座に座る王を見上げて答えた。


「エリュシオン王様、わたしのお父様、帝国の皇帝は今、宰相さんに操られてとても危険な状況にあります。わたしはお父様を助けるために、周りの4つの国の力を借りて宰相さんを止めたいんです!」


王はその言葉に軽く眉を上げた。


「宰相……その男が皇帝陛下を操り、国を危機に陥れているというのか?」


「はい!だから、わたし、4カ国同盟を作ろうとしているの。そのために、エリュシオン王国の協力がどうしても必要なんです!」


ナヴィアの必死な訴えに、王はしばらく考え込むように沈黙した。



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ヴィクトールの援護


その沈黙を破ったのはヴィクトールだった。


「父上、ナヴィア殿下の計画は現実的で、宰相という脅威を取り除くために必要なものです。彼女はただ帝国を救いたいだけでなく、我々エリュシオン王国にも影響を及ぼす危機を防ごうとしているのです。」


王は息子の言葉を聞きながら、少しずつ表情を和らげていった。


「なるほど……確かにその通りかもしれない。ナヴィア殿下、君の覚悟と行動力は私を感心させたよ。」


ナヴィアはその言葉に希望を感じ、身を乗り出した。


「本当ですか?わたしのお願い、聞いてくれますか?」


王は頷きながら答えた。


「まずは、君の計画を詳細に聞かせてくれ。その後で、私たちがどう協力できるかを話し合おう。」



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