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第14話 エリュシオン王の承諾

 ナヴィアの訴えとヴィクトールの補足説明を聞いたエリュシオン王は、玉座から立ち上がり、静かに歩み寄った。その目には、若き王女の必死な訴えに対する興味と試すような鋭さが宿っていた。


「ナヴィア殿下、君の話は非常に興味深い。だが、このエリュシオン王国が君の計画に協力するとなると、慎重に考えなければならないことが多い。」

その重々しい声に、ナヴィアは少しだけ肩をすくめたが、すぐに気を取り直して力強く頷いた。


「エリュシオン王様、わたしはお父様を助けるために、どうしてもこの国の協力が必要なんです。宰相さんを止めるために……どうか力を貸してください!」



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犯罪者引き渡し協定の提案


ナヴィアは小さな手を握りしめながら話を続けた。


「エリュシオン王国には、宰相さんが最後の逃げ道として利用する可能性があります。だから、犯罪者引き渡し協定を結んでほしいんです。この協定があれば、もし宰相さんがこの国に逃げてきても、ちゃんと捕まえて引き渡してもらえるから……。」


その言葉に、エリュシオン王は少し驚いた表情を浮かべた。


「犯罪者引き渡し協定……なるほど、それは現実的な提案だ。しかし、この国の法律や政治に影響を与えるような協定を結ぶのは容易ではない。」


「わかっています。でも、わたし、どうしてもお父様を助けたいんです!」

ナヴィアの言葉には、幼さを超えた強い意志が込められていた。


ヴィクトールが一歩前に出て、父王に補足した。


「父上、この協定はエリュシオン王国にとっても利益のある提案です。宰相ダリウスのような危険人物が逃げ込んでくることを未然に防げますし、帝国との関係強化にもつながるでしょう。」


エリュシオン王は息子の言葉を受け止め、再び考え込んだ。



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王の懸念


「しかし、ヴィクトール、これが帝国の内政問題であることは変わらない。エリュシオン王国が他国の争いに関与することは慎重でなければならない。」


ナヴィアはその言葉に怯むことなく、一歩前に進み出た。


「エリュシオン王様、たしかにこれは帝国の問題です。でも、宰相さんを放っておいたら、帝国だけじゃなく周りの国々にも悪い影響が出ると思うんです。だからこそ、今動かなきゃいけないんです!」


その真剣な訴えに、王の目が少しだけ和らいだ。


「ナヴィア殿下、君の言葉には重みがある。年若い君がここまで考え、行動していることに感銘を受けた。」


「……本当ですか?」

ナヴィアの目に希望の光が宿る。


「だが、ひとつだけ条件がある。この協定は、帝国が宰相を完全に制圧し、正しい統治を取り戻すためのものでなければならない。それが約束できるのなら、エリュシオン王国はこの協定を承諾しよう。」



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承諾の瞬間


ナヴィアは小さく拳を握りしめ、深く頷いた。


「はい!わたしが責任を持って、宰相さんを止めてみせます!お父様が元の立場に戻ったら、帝国は必ずエリュシオン王国ともっと良い関係を築きます!」


エリュシオン王はその言葉に満足そうに頷き、玉座に戻った。


「よかろう。エリュシオン王国はこの犯罪者引き渡し協定を結ぶ。そして、君の計画を支援しよう。」


その言葉に、ナヴィアの顔がぱっと明るくなった。


「本当にありがとうございます!」


ヴィクトールもまた満足げに微笑み、ナヴィアに向けて親指を立てた。


「よかったな、ナヴィア殿下。これで一歩前進だ。」



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次への準備


協定が承諾された後、ナヴィアはヴィクトールとエリュシオン王に詳しい計画を説明した。王国としてどのように協力できるかを話し合い、具体的な準備が進められた。


「次は他の姉たちの国と連携して、4カ国同盟を完成させる段階です。」

ヴィクトールが提案すると、ナヴィアは力強く頷いた。


「はい!わたし、絶対に成功させます!」


エリュシオン王はその様子を静かに見守りながら、幼いながらも確かな決意を持つナヴィアの姿に深い感銘を受けていた。


「ナヴィア殿下、君の覚悟がこの計画を成功へ導くと信じている。私たちも全力で協力しよう。」


「ありがとうございます!」


こうして、ナヴィアの提案する犯罪者引き渡し協定は正式に承諾され、次の行動に向けて大きな一歩を踏み出すことができた。



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