エリュシオン王国からの犯罪者引き渡し協定と軍事支援の承諾を得たナヴィアは、次の行動へと進む準備を整えていた。エリュシオン王国の城内では、ヴィクトール王子と部下たちが最終的な計画をまとめるための会議を開いていた。
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会議の最後の詰め
広い会議室の中、ヴィクトールは地図を広げ、帝国と周辺4カ国の位置関係を示しながら話していた。
「4カ国同盟が成立した今、次に重要なのは攻撃のタイミングを完全に一致させることだ。それぞれの国が異なる方向から進軍し、同時に宰相派を包囲する。この作戦が成功するかどうかは、我々の連携にかかっている。」
彼の言葉に、部下たちは真剣な表情で頷いた。
「特に重要なのは、帝国国内で皇帝派が動き出すタイミングです。それに合わせて周辺4カ国が同時に動けば、宰相派は逃げ場を失います。」
ナヴィアも地図を指しながら説明を補足した。
「宰相さんが逃げようとしても、このエリュシオン王国が最後の壁になるから、絶対に追い詰められるはずなの。」
その言葉に、ヴィクトールは満足げに頷いた。
「素晴らしい計画だ。君の考えたこの作戦が成功すれば、宰相ダリウスの野望は完全に潰えるだろう。」
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ヴィクトールの提案
会議が終わり、ナヴィアとヴィクトールはエリュシオン王国の城内の庭園を歩いていた。美しい花々が咲き誇る庭園は、穏やかな空気に包まれていたが、ナヴィアの心は次の行動への準備で忙しかった。
「ナヴィア殿下、ここまでよく頑張ったね。」
ヴィクトールが笑顔で話しかけると、ナヴィアは小さく頷いた。
「でも、これからが本当の戦いだよね。わたし、絶対に成功させなきゃいけないの!」
その力強い言葉に、ヴィクトールは少し微笑んだ。
「その通りだ。でも君は一人じゃない。僕も、エリュシオン王国も君を支えるために全力を尽くすよ。」
ナヴィアはその言葉に驚きながらも、安心したように微笑んだ。
「ありがとう、ヴィクトール王子様。あなたがいてくれて、本当によかった。」
ヴィクトールは真剣な表情で続けた。
「僕は君の行動力に感銘を受けている。たった5歳でこれほどの覚悟を持ち、帝国を救おうとしている姿は、僕にとっても大きな刺激になった。」
ナヴィアは少し照れくさそうにうつむいたが、その目には感謝の気持ちが宿っていた。
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別れの時
準備が整い、ナヴィアはエリュシオン王国を後にする時が来た。城門の前には、ヴィクトールとその部下たちが見送りに集まっていた。
「ナヴィア殿下、これから先も危険な道のりが続くだろう。だが、君ならきっと乗り越えられる。」
ヴィクトールはそう言いながら、ナヴィアに手を差し出した。
「ありがとう、ヴィクトール王子様。わたし、絶対にお父様を助けてみせる!」
ナヴィアはその手をしっかりと握り返した。
ヴィクトールは優しく微笑み、別れの言葉を告げた。
「次に会うときは、君が帝国を救った後だろう。その時はゆっくり話をしよう。」
「うん、約束だよ!」
ナヴィアは元気よく頷き、馬車に乗り込んだ。
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未来への希望
馬車が城門を出て、エリュシオン王国を離れると、ナヴィアは深呼吸をした。
「これで4カ国の協力がそろったね。次は帝国に戻って、お父様を助けるために動かなきゃ!」
アルマが穏やかに微笑みながら答えた。
「ナヴィア様、本当に素晴らしい働きでした。ここまで進められたのは、あなたの努力と覚悟のおかげです。」
ナヴィアはアルマの言葉に照れくさそうに笑った。
「えへへ、でも、みんなが協力してくれたからだよ。わたし一人じゃできなかった。」
馬車の窓から外を眺めながら、ナヴィアは心の中で強く誓った。
「絶対に成功させる。お父様を助けて、帝国を取り戻してみせる!」
こうして、ナヴィアは次なる目標へ向けて動き出した。彼女の胸には、ヴィクトールの言葉とエリュシオン王国からの支援という新たな力が加わり、決意がさらに強まっていた。
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