エスティリス帝国では、静かな緊張が空気を支配していた。ナヴィアが計画した通り、皇帝派の貴族たちはそれぞれの領地で準備を整え、宰相派への反乱を起こす合図を待っていた。一方で、周辺4カ国からの同盟軍は、各国の指揮官のもとで進軍を開始していた。
ナヴィアはアルマとともに、戦況を確認するためにグランツ王国に設置された指令本部にいた。広げられた地図の上にいくつもの駒が置かれ、それぞれの動きを示していた。
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同盟軍の進軍開始
「ナヴィア殿下、各国の軍が予定通り帝国へ進軍を始めました。」
グランツ王国の将軍が報告すると、ナヴィアは小さく頷いた。
「ありがとう。これで、宰相さんを追い詰める第一歩が始まったね。」
彼女の言葉には緊張と決意が込められていた。
クロエがナヴィアの隣でその肩を支えるように手を置いた。
「ナヴィア、ここまでよくやったわ。あとは計画通りに進めるだけよ。」
「うん。でも、まだ終わりじゃない。お父様を助けるためには、もっとがんばらなきゃ!」
ナヴィアは地図をじっと見つめ、進軍する同盟軍の動きを確認していた。
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皇帝派の蜂起
帝国内では、ナヴィアが送った使者を受け取った皇帝派の貴族たちが一斉に行動を開始していた。宰相派に不満を抱えていた民衆もまた、皇帝派に加勢し、各地で小規模な戦闘が勃発していた。
「これがナヴィア様の計画の成果だ……!」
皇帝派の貴族の一人が、旗を掲げて仲間たちに呼びかける。
「我々は皇帝陛下を救うために立ち上がる!帝国を取り戻すために戦おう!」
その言葉に呼応するように、多くの兵士たちが声を上げ、宰相派に向かって進軍を開始した。
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宰相派の動揺
一方で、宰相ダリウスは自身の執務室で状況報告を受けていた。その顔には焦りの色が浮かび、指を机に叩きつけるようにしながら苛立ちを露わにしていた。
「皇帝派が蜂起しただと?なぜだ……!彼らは力を失っていたはずだ!」
側近の一人が小さく震えながら答える。
「それが……周辺4カ国が同時に進軍を開始しており、それに呼応する形で……」
「4カ国だと!?何故だ……ナヴィアの仕業か!」
ダリウスは拳を固めて机を叩いた。
「だが、まだ終わりではない。すべての手段を使って反乱を鎮圧するのだ。逃げ道は考えさせるな!」
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同盟軍の包囲
帝国の各地では、同盟軍が順調に進軍を続け、宰相派の拠点を次々に制圧していた。北方ではセリーナ率いるグランツ王国軍が敵の補給路を断ち、南方ではクロエが指揮する軍が圧倒的な戦力で前進していた。
東方からはマリエ王国軍が帝都近くに迫り、西方からはエリュシオン王国軍が包囲の輪を広げていた。
「ナヴィア殿下、帝都はほぼ完全に包囲されました!」
報告を受けたナヴィアは、地図を確認しながら大きく息を吸い込んだ。
「これで、宰相さんを追い詰める準備ができたね……。」
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決戦への準備
ナヴィアは指令本部での最終的な確認を終え、進軍する軍に向けて最後の指示を出した。
「みんな、ここまで本当にありがとう。でも、これが最後の大きな戦いになると思う。みんなで力を合わせて、お父様を救おう!」
その言葉に、集まった将軍たちは力強く頷いた。
「ナヴィア殿下のために、必ずこの戦いを勝利に導きます!」
ナヴィアはその言葉に微笑みながら、再び地図に目を戻した。
「宰相さん、覚悟してね。今度はわたしがあなたを追い詰める番だから。」
こうして、ナヴィアが計画した4カ国同盟の発動が成功し、帝国を取り戻すための大きな一歩が踏み出されたのだった。
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