宰相ダリウスが捕らえられたことで、帝都内の戦いは沈静化し、宰相派の残党も次々と降伏していた。しかし、ナヴィアの心は安堵することなく、ひとつの目標に向かっていた。
「アルマ、早くお父様のところへ行かなきゃ!」
ナヴィアは執務室を出ると、護衛の兵士たちを率い、皇帝が囚われていると言われる離宮へと急いだ。
「ナヴィア様、危険です。まだ宰相派の残党がいる可能性があります!」
アルマが心配そうに声を上げる。
「それでも行かなきゃ!お父様がずっとあんなところで苦しんでたなんて、放っておけないよ!」
ナヴィアの強い意志を感じ取ったアルマは、それ以上何も言わず、彼女の後を追った。
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離宮での捜索
離宮に到着したナヴィア一行は、荒れ果てた建物を目の当たりにした。長い間管理されていなかったのか、建物の外壁は苔むし、廊下には埃が積もっていた。
「ここにお父様が……?」
ナヴィアは小さく呟きながらも、奥へと進んでいった。
「ナヴィア様、こちらです!」
兵士の一人が声を上げると、ナヴィアはその声の方向へ走った。そこには重々しい鉄の扉があり、鍵がかかっていた。
「開けて!」
ナヴィアが命じると、兵士たちは力を合わせて扉をこじ開けた。
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皇帝との再会
扉の向こうには、簡素な寝台がひとつ置かれた薄暗い部屋が広がっていた。その寝台の上には、憔悴しきった皇帝の姿があった。髪は乱れ、頬はこけているが、それでも威厳を感じさせる雰囲気は失われていなかった。
「お父様!」
ナヴィアは叫びながら駆け寄った。皇帝はその声に気づき、薄く目を開けた。
「ナヴィア……なのか?」
かすれた声でそう呟く皇帝に、ナヴィアは涙を浮かべながら手を握った。
「お父様、ごめんなさい!わたし、もっと早く助けに来たかったのに……」
皇帝は弱々しく微笑み、ナヴィアの手を握り返した。
「よく来てくれた……ナヴィア……お前がここまで来られるとは……父は誇りに思うぞ。」
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皇帝の救出
兵士たちはすぐに皇帝を寝台から運び出し、応急処置を施した。宰相ダリウスが皇帝に投与していた毒の影響で、皇帝の体調は完全には回復していないものの、生命に別状はないと判断された。
「お父様、もう大丈夫だからね。わたし、絶対にお父様を元気にするから!」
ナヴィアは涙を拭いながら力強く言った。
皇帝は小さく頷き、ナヴィアの顔をじっと見つめた。
「ナヴィア、お前は本当に立派になったな……父が不甲斐ないばかりに、幼いお前にここまでの苦労をさせてしまった。」
「そんなことないよ!お父様がずっとわたしのことを守ってくれたから、わたしも頑張れたんだよ!」
皇帝はその言葉に目を細め、静かに目を閉じた。
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残党の一掃
皇帝の救出が完了すると、ナヴィアはすぐに次の指示を出した。
「宰相さんの残党がまだいるはずだよね。みんなで協力して、帝国を平和に戻そう!」
兵士たちはその言葉に応じて動き出し、宰相派の残党を一掃するための作戦を開始した。帝都内の混乱は徐々に収まり、人々の間にも安堵の空気が広がり始めていた。
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再建への第一歩
皇帝が安全な場所に移され、医師団が治療を開始した頃、ナヴィアはアルマとともに皇帝の部屋を訪れた。
「お父様、ゆっくり休んでね。これからはわたしが、帝国を平和にするために頑張るから!」
ナヴィアの言葉に、皇帝は静かに頷いた。
「ナヴィア、お前ならきっとできる。父は信じているぞ。」
その言葉に、ナヴィアは微笑みながら答えた。
「ありがとう、お父様。でも、わたしだけじゃなくて、みんなが協力してくれるからできるんだよ。」
ナヴィアの中には、これから始まる帝国再建への強い意志が芽生えていた。