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第115話 エロいタコにお仕置きしちゃいます

うねうねとうねりまくるピンク色の触手。

それが美緒たちを捕らえようと縦横無尽に動き回っていた。


「うええ、気持ち悪い。ねえ美緒?これ何なの?」


浄化に特化した聖剣『キュアラル・ビスト』を振りぬきながらルルーナが困惑の声を上げた。


「ルルーナ、コイツは呪われてもいないしアンデットでもない。生物なの。でも違う摂理、いわゆる邪神。……くうっ、きりがない!!」


修行僧をカンストし、今の美緒は武闘家。

音を置きざりにするすさまじい踏み込みで、すでに数十体目になる本体、ダゴンを物理で消滅させていた。


(やっぱり倒してもきりがない。……どこかに居る本体、それを倒さないと)


正直ここにいるメンバー。

誰一人戦闘力では引けを取らない。


しかし倒しても倒しても湧き出すように増えていく本体と触手。

気付けば在り得ないような夥しいそれに美緒たちは囲まれていた。


「美緒!?きりがないっ!!」

「リンネ?っ!?危ないっ!!」

「えっ?きゃああああああああ―――――――!?」


新たに湧き出した今までとは違う細く見えにくい触手。

それがリンネを絡め取り、一瞬で体に巻き付いた。


「く、こ、このっ?!うあ、いや、あああっ?!」


そして突然彼女の服の下に這い潜る触手。

リンネの顔が真っ赤に染まる。


「あ、あん♡…や、いやああああ♡」


そして彼女の立派なたわわをまるで刺激するように外と中、同時に怪しく蠢いた。

ますます張りを増す最近のリンネのそれ。

いやらしく強弱をつけながら変形を繰り返す柔らかいたわわ。

同時にリンネの切ないような甘い吐息が響き渡る。


「うあ?リ、リンネ様?……ゴクリ」


その様子に純情なロッドランドは顔を染めてしまう。


さらには太ももに絡みつき収縮、敏感な場所を求めもぞもぞと蠢く触手。

ビクンと体をはねさせるリンネ。

そしてリンネの肌を刺激しながら触手の先端から滲み出るどろりとした白濁した液体。


「リンネ様っ!?こ、このっ?!きゃああああああああああ―――――!???」


リンネを助けようと飛び込むルルーナ。

一瞬のスキを突かれ続けざまに囚われる。

何故か集中してルルーナの美しいFカップに幾重にも絡みつく触手。


彼女もまた女性らしい美しい場所をいやらしくからめとられ刺激を与えられていく。

そして同じく彼女の服の中へと侵入、メチャクチャエロい。


「あっ、やあ♡……んんっ♡……み、見ないで……んっ♡」


羞恥に顔をしかめ、涙目。

漏れてしまう声が非常に色っぽい。


その様子に新たに出現したダゴンの本体がいやらしく顔を歪め、鼻の下を伸ばし恍惚の表情を浮かべ、ニタリとした視線を私に向けた。


「くはは。強かろうが所詮はおなご。くくくっ、素晴らしい感触!!はあはあはあ、どうじゃ?我がテクニック。くくく、お前もすぐに天国へ連れて行ってやろう」


何故か膨張し、ビクビク痙攣しているそいつの下半身。

さらには夥しい、そいつの下半身から放たれた何故か白っぽい粘液まみれの触手が美緒を包み込んだ。


「美緒っ!?ぐううっ、許さん!!はあああああっっ!!!『朧月下・千切』」


思わず連想できてしまういやらしい状況。

レルダンがブチギレ、一瞬ですべての触手を切り裂いた。


レルダンの神業で無傷で解放されたリンネとルルーナ。

すでに顔はありえないような羞恥で真っ赤に染まっていた。


そして彼女たちの体にまとわりつく白濁したダゴンの体液。

男たちはあまりの状況につい目を逸らしてしまう。


「ぐうっ、美緒?!美緒―――――!!!!!」


レルダンのアーツでも切れなかった美緒を包む触手の塊。

レルダンの顔に絶望が浮かぶ。


「美緒っ!?ああ、美緒っっっ!!!!!」



※※※※※



悍ましくいやらしさ満載の触手。

ビクビク痙攣しながら先っちょから滴り落ちる白濁した液体を、なぜか美緒は冷静にその目に映していた。


(……まったく)


実は美緒、凄まじい魔力圧で自身をガードしていた。

包み込んでいる触手と白濁した体液は美緒には届いていない。


何故かいやらしく歪むダゴンの顔が脳裏に浮かび、むかむかとだんだん腹が立ってきていた。


(リンネとルルーナ……無事ね……よくも私の可愛い妹と大好きな親友を……ユルセナイ)


そして目を閉じ美緒は魔力を極限まで広げていく。

彼女は隠蔽を極限まで併用しながら時渡のスキルを使用していた。


遡る時間。

ダゴンの足跡。


(っ!?…いた……やっぱりね)


ダゴンの本体。

なんと300年前に存在、創造神の過去の悪戯心で作られ放置され海の奥深くにあったアーティーファクト、それに触れたタコがその正体だった。


(何が違う次元の神よ!?あんた只のタコじゃん。それにしてもおばあ様?適当に捨てるとか?……今度会ったらお説教ね。まったく)


正体は分かった。

でもどうする?


流石に300年もの遡行は、膨大な魔力がいる。

いくら隠蔽しても気付かれるし、下手をするとタイムパラドックスでこの世界が崩壊してしまう恐れがある。


そんな美緒に、レルダンの絶望する心が届く。


(いっけない。心配かけちゃった……レルダン…レルダン…)



※※※※※



「こんのエロ触手があああああああっっっ!!!!」

「女の敵!!!すべて滅べっ!!!!!!」


まさに地獄が広がっている社前の広場。


猛る狂うルルーナとリンネの猛攻が、ほとんどの触手とダゴンの本体を滅ぼしていた。


「ははは、は。……女の人って怖い…」


つぶやきながらも一生懸命剣を振るロッドランド。

さらには打ちひしがれた様子のレルダンがまるで幽鬼のように生気のない、それでいてまったく無駄のない動きでひたすら敵を切り裂いていた。


「……大丈夫かな?」


ちらりと美緒の包まれた触手の塊に視線を向ける。

実はロッドランド、正直あんまり心配していなかった。

何より彼女の魔力、驚くほど安定していた。


何度か一緒に戦った美緒。

彼女がこの程度でやられるわけがない。


(きっと何か考えているんだ。美緒さんは凄い人。絶対そうだ)


そんな時美緒から念話が届く。


どうやら『レルダン宛て』のようだがきっと力加減を間違えたのだろう。

ここにいる仲間全員にその声が届いていた。


『レルダン?心配かけてごめんなさい。…私は大丈夫よ?あのえっちい触手、私にはまったく触れていないわ!もちろん白く濁った体液もね。……あの時あなたが優しく包んでくれた私の体、まだきれいよ?心配しないでね♡……リンネとルルーナは触れられちゃったけど。……だからね私、今スッゴク怒っているの。大切な妹に大好きな親友。絶対にこのエロ魔神、ぶっ飛ばすから。心配しないで皆を守ってください。……ど、どうせ抱きしめられるのなら……や、やさしい貴方が良いもの。あうっ♡……大好なレルダン?私はあなたを信じています』


美緒は天然だ。


だから今の内容、どんな効果をもたらすかきっと彼女は気づいていない。

しかも美緒はまさか全員が聞いているとは思っていない。


それにきっと心細さもあったのだろう。

若干甘い内容に、皆の顔が赤く染まる。


そして気付き皆が目を向ける。


レルダンの顔からおびただしい湯気と、普段絶対に見られないであろう、だらしなく緩んだ顔がそこにはあった。


「う、うおおおおおおおおおおおおおおっっっっっ!!!!!!」


在り得ない魔力が吹き上がる。

美緒を愛するレルダン42歳。


彼は今、まさに天にも昇る興奮に包まれていた。


そして流れる電子音。


『ピコン……条件を満たしました……年の差、コホン…『時を超える愛』獲得しました…指定したモノ……その『時の効果』を打ち消す……獲得しました……』


何故か間違える電子音?

何はともあれ今一番必要なスキル、対象の時を打ち消す、必殺のスキルをレルダンは手に入れた。


まさに究極のご都合主義!!


美緒を思うレルダンの心。

実は若干年齢差を気にしていた彼。

即座に繋がり美緒は目を見開く。


そしてはじけ飛ぶ触手の塊。

興奮冷めやらぬ美緒は思わず力いっぱいレルダンに抱き着いた。


「ああっ、レルダン。あなた最高!!もう大好き♡」


感じる愛おしい人の体温に柔らかい感触。

妻を亡くし相当の年月感じることのなかった甘い女性の香りにレルダンの意識は爆発寸前だ。


どうにか精神を立て直し、優しく抱き返し美緒を見つめる。

にっこりと笑う最愛の人。


「レルダン?今のスキル、使えこなせますか?」

「……ああ。任せろ。……美緒を守る。だから俺は何でもできる」


優しく美緒を放し今まさに湧き出すダゴンを睨み付ける。

レルダンは精神を集中し先ほど得たスキル『時を超える愛』それをダゴンに適応させた。


「っ!?ぐううっ?!!グギャアアアアアアアアア―――――――――――――」


まるで沸騰するかのように波打つダゴンを名乗る化け物。

激しく体液をまき散らし徐々に縮んでいくその姿。


時を超えるその権能を打ち消す。


そして―――


「ねえ美緒?コイツ、焼いて食べちゃう?」

「あー、私はいいかな。ちょっと気持ち悪い」

「そうね。……『神の業火』」


「プぎゃあああああ―――――   ―――   」


「ふん。いい気味だわ」


ニヤリと悪い顔を浮かべるリンネ。


今この瞬間、マサカドが神と崇め、時間遡行という超チートスキル。

その権能が完全に消失した瞬間だった。


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