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第11話 証拠の活用と動き始める反撃

 館に戻ったステラは、机に小瓶を置き、その透明な液体をじっと見つめていた。この小瓶こそがカトリーナの陰謀を暴く鍵だと確信している。しかし、これをどう活用するかが問題だった。


「証拠は掴んだ。でも、これをどう見せつけるかやな。」


飴を口に放り込みながら、ステラは考え込んだ。エリオットが隣でその様子を見守りながら口を開いた。


「これをそのまま王宮に持ち込んで訴え出るのはどうでしょうか?」


「いや、それはあかん。カトリーナがこの程度のことを隠す手段を持っとらんはずがない。」


「確かに…では、どうしますか?」


ステラは机の上に広げた紙に何かを書き込みながら、しばらく黙っていた。そして、ふと顔を上げて不敵な笑みを浮かべた。


「せや、これをあの女の目の前で突きつけたる。逃げられん場所でな。」


「しかし、それは危険すぎます!」


エリオットが驚いて言ったが、ステラは自信たっぷりに頷いた。


「危険を恐れとったら、勝負なんかできへん。浪速魂で正面突破や。」



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地方貴族への協力要請


翌日、ステラは早速行動に移した。まず向かったのは、近隣の地方貴族たちの屋敷だった。彼らは王宮とは距離を置いているため、カトリーナの影響力が及びにくい。ステラはここで味方を増やすことを考えた。


最初に訪ねたのは、地元で商業を支える貴族の一人、ローレンス男爵だった。彼は領地内の商業振興に力を入れており、浪速魂を持つステラに共感しやすい相手だと踏んでいた。


「お初にお目にかかります、ローレンス男爵。ウチ、ステラ=ルミエールと申します。」


ステラは飴を一つ差し出しながら、にこやかに挨拶をした。


「おや、これはご丁寧に…しかし、飴ですか?」


「せや。甘いもんは心の潤滑油や。これで話がスムーズに進むやろ?」


そのユニークな自己紹介に、ローレンス男爵は思わず笑みを浮かべた。


「面白い方ですね。さて、今日は何のお話でしょうか?」


「実はな、ウチ、カトリーナが企んどる陰謀の証拠を掴んだんや。でも、これを暴くには力が必要や。男爵、ウチに力貸してくれへん?」


ステラの真剣な言葉に、ローレンス男爵は少し考え込んだ。そして、彼は頷いた。


「分かりました。あなたのその熱意に賭けてみましょう。」



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王宮に戻る準備


ローレンス男爵の協力を取り付けたステラは、館に戻るとさらに計画を練った。王宮でカトリーナの陰謀を暴くには、彼女を追い詰める確実な場が必要だと考えた。


「カトリーナが一番目立つ場所…それは、王宮の舞踏会やな。」


エリオットがその提案に少し驚いたように反応した。


「王宮の舞踏会ですか?確かに多くの貴族が集まる場ですが、警備も厳重です。」


「せやけど、あそこなら彼女の行動を監視する目も多い。それに、ウチの証拠を見せたら、貴族たちの支持を得られるかもしれん。」


「しかし、ステラ様、その舞踏会に参加するには招待状が必要です。」


その指摘に、ステラは笑みを浮かべた。


「それなら心配いらん。男爵が力を貸してくれる言うてくれたからな。」



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招待状を手に入れる


数日後、ローレンス男爵の手配で、ステラは舞踏会への招待状を手に入れた。その手には小瓶も握られており、これからの反撃に向けた準備が整った。


「さて、ここからが本番や。」


ステラは深呼吸をして、自分の胸に手を当てた。そして、自分を奮い立たせるように小さく呟いた。


「カトリーナ、覚悟しときや。ウチがあんたの嘘を全部暴いたる。」


その決意とともに、ステラは再び王宮への道を歩き始めた。



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