館に戻ったステラは、机に小瓶を置き、その透明な液体をじっと見つめていた。この小瓶こそがカトリーナの陰謀を暴く鍵だと確信している。しかし、これをどう活用するかが問題だった。
「証拠は掴んだ。でも、これをどう見せつけるかやな。」
飴を口に放り込みながら、ステラは考え込んだ。エリオットが隣でその様子を見守りながら口を開いた。
「これをそのまま王宮に持ち込んで訴え出るのはどうでしょうか?」
「いや、それはあかん。カトリーナがこの程度のことを隠す手段を持っとらんはずがない。」
「確かに…では、どうしますか?」
ステラは机の上に広げた紙に何かを書き込みながら、しばらく黙っていた。そして、ふと顔を上げて不敵な笑みを浮かべた。
「せや、これをあの女の目の前で突きつけたる。逃げられん場所でな。」
「しかし、それは危険すぎます!」
エリオットが驚いて言ったが、ステラは自信たっぷりに頷いた。
「危険を恐れとったら、勝負なんかできへん。浪速魂で正面突破や。」
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地方貴族への協力要請
翌日、ステラは早速行動に移した。まず向かったのは、近隣の地方貴族たちの屋敷だった。彼らは王宮とは距離を置いているため、カトリーナの影響力が及びにくい。ステラはここで味方を増やすことを考えた。
最初に訪ねたのは、地元で商業を支える貴族の一人、ローレンス男爵だった。彼は領地内の商業振興に力を入れており、浪速魂を持つステラに共感しやすい相手だと踏んでいた。
「お初にお目にかかります、ローレンス男爵。ウチ、ステラ=ルミエールと申します。」
ステラは飴を一つ差し出しながら、にこやかに挨拶をした。
「おや、これはご丁寧に…しかし、飴ですか?」
「せや。甘いもんは心の潤滑油や。これで話がスムーズに進むやろ?」
そのユニークな自己紹介に、ローレンス男爵は思わず笑みを浮かべた。
「面白い方ですね。さて、今日は何のお話でしょうか?」
「実はな、ウチ、カトリーナが企んどる陰謀の証拠を掴んだんや。でも、これを暴くには力が必要や。男爵、ウチに力貸してくれへん?」
ステラの真剣な言葉に、ローレンス男爵は少し考え込んだ。そして、彼は頷いた。
「分かりました。あなたのその熱意に賭けてみましょう。」
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王宮に戻る準備
ローレンス男爵の協力を取り付けたステラは、館に戻るとさらに計画を練った。王宮でカトリーナの陰謀を暴くには、彼女を追い詰める確実な場が必要だと考えた。
「カトリーナが一番目立つ場所…それは、王宮の舞踏会やな。」
エリオットがその提案に少し驚いたように反応した。
「王宮の舞踏会ですか?確かに多くの貴族が集まる場ですが、警備も厳重です。」
「せやけど、あそこなら彼女の行動を監視する目も多い。それに、ウチの証拠を見せたら、貴族たちの支持を得られるかもしれん。」
「しかし、ステラ様、その舞踏会に参加するには招待状が必要です。」
その指摘に、ステラは笑みを浮かべた。
「それなら心配いらん。男爵が力を貸してくれる言うてくれたからな。」
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招待状を手に入れる
数日後、ローレンス男爵の手配で、ステラは舞踏会への招待状を手に入れた。その手には小瓶も握られており、これからの反撃に向けた準備が整った。
「さて、ここからが本番や。」
ステラは深呼吸をして、自分の胸に手を当てた。そして、自分を奮い立たせるように小さく呟いた。
「カトリーナ、覚悟しときや。ウチがあんたの嘘を全部暴いたる。」
その決意とともに、ステラは再び王宮への道を歩き始めた。
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