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第14話 儀式への潜入準備

 ステラが山賊問題を解決し、村での信頼を少しずつ取り戻しつつある頃、彼女の元にエリオットが新たな情報を持ち込んできた。


「ステラ様、カトリーナが計画している儀式の詳細が判明しました。」


エリオットは険しい表情を浮かべながら、手元の書類を広げた。その内容を覗き込んだステラは、飴を口に放り込みながら真剣な表情になった。


「これは…あの女、またしょーもないこと考えとるな。」


書類には、王宮で行われる儀式が「聖女の真実を証明する試練」と題されていること、そしてその儀式が完全にステラを貶めるためのものとして設計されていることが記されていた。


「なんやこれ、どの試練もウチを偽聖女に仕立て上げるためのもんやんか。」



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儀式の内容


エリオットがまとめた情報によると、儀式には以下の3つの試練が含まれていた。


1. 神託の石への祈り

 聖女の力が宿るとされる「神託の石」に祈ることで光が放たれるとされる試練。しかし、石はカトリーナの魔法で操作され、ステラには反応しないように仕掛けられていた。



2. 清浄なる水の試練

 清らかな聖女であれば、その手に触れる水が輝きを放つという試練。実際には、カトリーナの指示で水に特殊な魔法がかけられ、ステラが触れると逆に濁る仕組みになっている。



3. 最後の審判

 神官たちによる審判が下されるとされるが、彼らはカトリーナの手下であり、判決は最初から「ステラは偽聖女である」と決まっている。





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ステラの反応


「ほんま、あの女、どこまで姑息なんやろな。」


ステラは飴を噛み砕きながら書類をテーブルに叩きつけた。


「これをそのままやらせたら、ウチは完全に偽聖女として葬られるやん。」


「ええ、ですからこれを阻止するための準備が必要です。」


エリオットの真剣な表情に、ステラは小さく頷いた。


「分かった。ほんなら、まずは儀式の会場に潜り込む方法を考えなあかんな。」



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潜入準備


ステラとエリオットは、侍女たちの協力を得て、儀式の会場に潜入するための準備を進めることにした。


「侍女たちが王宮内で協力してくれるのはありがたいけど、バレたら全員ただでは済まへん。」


「そのリスクを理解した上で、彼女たちは協力を申し出ています。それほどまでにカトリーナへの不満が募っているのです。」


エリオットの言葉に、ステラは感心したように頷いた。


「ほんなら、ウチも全力で応えなあかんな。」



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情報収集


侍女たちは王宮内で密かに動き回り、儀式の詳細や仕掛けの位置を調べ始めた。


「神託の石は広間の中央に置かれる予定です。周囲には魔法陣が描かれ、カトリーナが操作する仕組みになっています。」


「ほう、魔法陣か。ほんなら、それを逆に利用したらおもろいやろな。」


さらに、清浄なる水の試練では、水に魔法がかけられる瞬間を突き止めることが必要だった。


「その作業をしているのは、カトリーナの側近である魔法使いです。儀式の直前に仕掛けるようです。」


「ほな、その魔法使いを見張って、仕掛けを解除するタイミングを狙おうか。」



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対策の策定


情報を集め終えたステラたちは、儀式の仕掛けを無力化するための計画を立て始めた。


1. 神託の石の魔法解除

 侍女たちと協力し、儀式の前夜に石の魔法を解除し、ステラの力に反応するよう改造する。



2. 清浄なる水の魔法解除

 魔法使いが仕掛けるタイミングを見計らい、侍女が魔法を中和する薬を用意する。



3. 神官たちの混乱を誘発

 神官たちが判決を下す直前に、カトリーナの陰謀を証明する証拠を公表し、彼らの信頼を失わせる。





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侍女たちの決意


侍女たちは、ステラの計画に協力することを誓い合った。


「ステラ様、私たちは命を懸けて協力します。どうか私たちを信じてください。」


「おおきに。みんなが味方でいてくれる限り、ウチは絶対に負けへん。」


ステラは侍女たち一人一人に飴を渡しながら、彼女たちの手を力強く握りしめた。



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浪速魂の再確認


その夜、ステラはエリオットと計画の最終確認を行っていた。


「これで準備は整ったな。」


「はい。しかし、儀式当日は予期せぬ事態も起こるかもしれません。」


「そんなん、当たり前やん。せやけど、ウチは浪速魂で乗り切るで!」


飴を噛み砕きながら微笑むステラに、エリオットは小さく笑みを返した。


「分かりました。全力でお支えします。」



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次への一歩


儀式の準備が進む中、ステラは心の中で覚悟を新たにしていた。カトリーナの陰謀を暴き、名誉を取り戻すための戦いは、もうすぐ始まる。


「ウチがここまで来れたんは、みんなのおかげや。ほんなら、次はウチがみんなのために全力でやったる。」


満月が輝く空を見上げながら、ステラは静かに拳を握りしめた。



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